20日から利用されている方のこと。


小規模多機能ホーム花縁すずらん館を利用するにいたるまでの経過は、


ある町で一人暮らしをしていたが認知症を発症し息子様ご夫婦の家で同居していた。

認知症が徐々に進み、様々なサービスを利用。


直前の利用状況は月~水までショートステイ。

木・金がデイサービス。

土・日は自宅。


さらにその前は月~金までショートステイだったという。

しかし何か困ったことがあってご家族がおっしゃるには

「ショートステイのみなさんに迷惑をかけるので短くしました」とのこと。


よくよく聞くと毎日毎日とにかく帰りたいと訴えるのをなだめることができず息子様に電話をし、説得または迎えに来てもらっていたという。

迎えにいくということはショートステイを途中で切り上げ中止するということ。


こんなふうに施設の方に迷惑をかけるのでショートステイを短くしたのだという。


利用のご相談を受けたときは、グループホームにいきなり入居させるのではなく、ショートステイを長くしながら土日は自宅で過ごさせて、というようなイメージを抱いていたが、いざ本格的に申込し、契約したらロングステイを希望された。


ご家族は「疲れている」ように、私には見えた。


ご本人をよく知らないわたしには、想像の域を脱しない。

詳しい話を聞いても認知症に関して専門家ではないご家族が正しく伝えられるわけがないし。


そんな過程を経過して

20日午前、その方は息子様ご夫婦とお孫様といらっしゃった。

息子様に説得されていて、険しい目つき、ぼそぼそとなにやら話すが下を向いていて聞き取れない。


一日目、仕事をしにきていると思っている様子。夕方から「帰る」と訴え始め、夕食もとらずスタッフと町内を歩いて日が暮れた頃、たまたま通りかかったスタッフの車で帰ってきた。非常にご機嫌で夕食を召し上がり8時ごろ休まれる。


二日目、お昼ごろから「帰る」と訴えていたが、話の切り替えがしやすく、気持ちの切り替えも早く、気分の起伏が激しい。しかし話を気分のいい方向へもって行くことが結構しやすいらしい。帰る支度のコートはずっと着ていた。みなさんと夕食を済ませ、同じ時刻に就寝。夜は良く寝ることが出来る。


そうして本日三日目。

私が朝出勤したら晴れやかな顔でみんなとお掃除をしていた。今日はコートを着ることもなく、さっきはみなさんと歌の練習。


ここで気がついたことがある。

息子様に電話を入れるタイミングがわからない。

前のショートステイでは毎日のように電話をしていたと言うけれど、いったいいつどんな目的でかけていたのか。


一日目、外に行く前玄関で怒っているようすだったので、声をかけてみた。

「息子様に電話してみましょうか」

そうするとすごい口調で怒られた。

『息子なんて関係ありません!ばかにして!』


昨日も今日も一度だって息子様のこと呼んでほしいとか電話してほしいといわない。


今の彼女には息子様は関係なく、必要ない。

そんな風に見える。

帰る家は自分が住んでいた家で、息子様の家ではないのだから。


なのに、ショートステイでは息子様を呼び、迎えに来てもらい、息子様の家へ帰っていたのだ。

どういうことだろう。


今日、生活するのに足りないものがあるのでご家族に電話をした。

彼女の様子を聞いてひどく安心していた。




不安なことは当たり前で、

帰りたいことも当たり前。


わからないことに困っていて、

だから自分が一番分かる家に帰りたい。


しなければいけないことがあって、

それをしないといけないと焦ってしまう。


知らない人のお世話にはなれないし、

知らない人から食事をもらうこともできない。


家に

帰ったら食べるものはあるし、

帰ったらすることがあって

帰ったら自分が一番落ちつく。


だから帰りたいの。

ただそれだけのことなんだ。


それを『帰宅願望があって・・・・・』と言われてしまう。


ちょっとだけ、一緒にいることはできないの?

少しだけ外を歩くことできないの?

ちょっとだけ一緒に話を聞いてもらえないの?


これだけのことでかまわないと、わたしは思うけど。