皆と昼食を食べていたら、社長が顔を出して私に何か目で訴えている。
その顔はちょっと硬直してて困った表情に見えた。
そばによると小さな声でこう言った。
「玄関に人がいるんだけど・・・・・。寂しいから話を聞いて欲しいんだって。友達もいないって言ってるんだ。」
玄関に行くと小柄な女性が立っていた。
玄関のチャイムを鳴らさずに入ってきたのだろう。
50歳くらいの年恰好。
眉間にしわを寄せ私に必死に訴え始めた。
立ち話では落ち着かないので事務所へ入ってゆっくりお話を聞いた。
話をするがその話はとりとめがなく、若干支離滅裂、内容に一貫性がなくすぐに別の話になってしまう。
それでも私の質問や話にはきちんと耳を貸してくれるので、要所要所肝心な質問をさせてもらって話の大筋が見えてきた。
彼女の話によると
『もう何年も前からうつ病で精神科に通っている。先生に勧められてデイサービスにも通ってみたが話ができる人が少なくて気の合う人もいなくてぜんぜん面白くない。友だちもできないし行きたくない。
夫と二女家族と暮らしているが私がこんなんだから二女が疲れている。私に辛く当たる。食事も満足ではなく家でも居場所がない。
知り合いに私のような人の話を聞いてくれて相談にのってくれる場所があるはずだと言われた。この建物(花縁)は何度か見たことがありここがそうなのかも知れないと思ったので寄ってみた。
とにかく寂しい、友達がほしい、話し相手がほしい。』
というものだった。
時間は丁度お昼。
途中食事の話になったので、もしかしたら空腹かもしれない?と思い、その日のメニューのパンが1つあるので勧めると食べてくれた。
女性はとにかくよく話していた。
特に切ない思いをよく話していた。
沢山話してパンを食べて女性は自転車で帰って行った。
午後、彼女が通院しているといっていた病院のソーシャルワーカーと顔見知りだったので、電話して彼女のこと伝えておいた。
「話を聞いているとうつ病だけではないようですね、なにか他にもありそうですね。」との感想。
何気なく自然にコンタクトをとってみると話してくれた。
彼女が「認知症」ではないこと、彼女は彼女が通うべきサービスをすでに受けていること、彼女は彼女の病気の治療をしていること・・・・・等々勘案すると、花縁で彼女に積極的に支援をすることは難しい。
それでも仮に彼女が花縁に出入りするようになったら、花縁のじじ様ばば様になんらかの影響が及ぶだろう。全くないとは言えないだろう。
でも『いま』『ここで』『目の前に』困っている人がいたら、その人が手を求めていたら、差し出したい。
その気持ちだけは明確にある。
それを明らかにした出来事だった。