誰しも好物には目がいく。


Yさんの好物は『いなりずし』

ある日の昼食、いなりずし3個ずつ。


その日は風邪を引いてしまった人が何人かいて、その人たちの対応をしているうちに、食卓に着くのが遅れてしまった。


私が席に着いたときには、Yさんはもうすでに『いなりずし』は全て食べてしまい丁寧にお口を拭いていた。

たぶん他のおかずには手をつける気はないのだろう。

いつもそうなのだけれど、好みのものしか手をつけない。

大好きなおいなりさんをたいらげて幸福感に浸っていたんだろう。


でも、、、、、私がお膳を持って席に着いたとたん、視線を感じた。

Yさんがニヤニヤしながら見ている。


そして

『あら!おねえさんだけ違うもの・・・・・あげがかかっとる・・・おいしそうだ。わたしの大好物』

「・・・・・・・」


大好物なのは知っているけど、今食べたのはいったい何?

「あげようか?」

と言ってみた。

そしたら

『いや、もういらない。おなかいっぱいだから』

という。


でもなんだか、そのいなりずしをパクパク食べるのには抵抗感を覚える。

だからだと思うけど、こんな風に聞いてみた。

「おかあさんは、なに食べたの?」

『わたし?わたしは、ただのおにぎり』

「そう。ひとつあげようか?」

『そう・・・・・じゃもらおうかしら』


そういっておいしそうに4つ目のいなりずしを食べた。


ただのおにぎり・・・・・になってしまったいなりずしの巻。