流れるように想いが過ぎていったんだ。


きのうのYさん。

Yさんは(入浴したくない )以来、まだ強制入浴が続いていた。

そのことを覚えていて、あたりに聞こえるような大きな声で独り言苦情を訴えるようなこともあった。

『とんでもないことをする!もうここへは来ない!』と。


ところが先週、娘さんがYさんのお部屋に泊まっていったときのこと。

娘さんになんとか入浴するようお話してもらって、気持ちよく入浴してもらったんだ。

Yさんはあまりの気持ちよさに

『こんどは1週間に2回くらい入ろうかな・・・・・』っていう約束までしてくれたんだ。


でもやっぱりその約束は果たされることはなかった。

毎日お誘いするけど

『風邪を引いているから調子が悪いと・・・・・』


あれから1週間経った。

さて、どうしよう。


でも先週娘さんが誘ってくれて入ったこと、これはなにか可能性を感じた。

娘さんが来ていてとても気分がよかったことも影響しているけれど。

なにか、漠然としているけど可能性?


それできのう、ちょっと考えて。

「今息子さんから電話があって、明日急に病院に行くことになったから、今日のうちにお風呂に入っておくよう言われました」と。

最初はいつものように

『風邪で具合が悪い・・・・・』だったけれど、

なんどか同じことで誘ううち『入る』ことになった。


気持ちよく入れたんだ!!

うれしかったね。


「病院」ってことを伝えたのだけれど、Yさんにとっていつのまにか「会合」になっていたんだ。

そういえば今年の初め1週間入院して帰ってきたときも「会合」に行って来たって言ってたっけ。


夕食時、あることがきっかけでまたHさんへの文句が始まった。

Hさんはいないのに文句が止まらない。

これが始まると1時間は言い続ける。

食事どころでなくなる。


何気なくYさんに声をかけた。

「あら、Yさん今日お風呂に入ったの?」

『・・・・・入ったかな・・・・・あ・・・・入ったかもしれん。忘れてしまってぼけてしまった』

「気持ちよかったですか?髪の毛がきれいですよ!」

『気持ちよかったよ。明日なんだか会合に行くもんで。』

「会合?ですか。会合って?」

『ん・・・・・会合ってよりあいっていうか!ハハハ!昔はよりあいって言ったんだよ』

「そうですか。よりあいに行くんですね」

『ん・・・・なんだかそんなこと誰か言ってたよ』

「気をつけて行ってきて下さい」


この会話でとりあえずHさんへの文句は忘れたようで、Yさんの頭の中は明日のよりあいのことにスイッチが切り替わったようだ。


しばらく何も言わずにご飯を食べた。

そしたら急に

『おねえさん!あしたの会合だけど、わたし時間や場所を聞くの忘れてしまって、困ったけど知ってるかい?』

「あらーYさん!知らないの?さっき電話があって明日の会合は中止になりましたって連絡がありましたよ」

『あら、そう!!よかった・・・わたしなにも聞かなくってどうしようかと思って。それじゃ行かなくっていいんだね。よかったー!!!どーもありがと。よかったー!!!』


ほんとに安堵した言い方だった。

あんなに安堵した『よかった』は聞いたことがなかったな。



結論として「お風呂に入った」こと。

それも「気持ちよく」入れたことは収穫だったね。

それに加えて、億劫な会合にも出かけることなく安堵したこと。

Yさんにとって最高の一日だった。


やっぱり自分の意思で「お風呂に入る」ことがどれだけお互いにとって気持ちよいか、痛感した出来事だった。


そしてこの最高の『安堵』の言葉を残してくれたYさんの『想いの流れ』がきれいだった。

想いにきれいも汚いもないけれど、こちらの声がけに実に素直に反応して、想いを素直に表現してくれるYさんに寄り添えたような気持ちよい気持ちになったんだ。


この過程をたった一人のスタッフの関わりではなく、チームでできていることがまた気持ちよいと想ったんだ。


流れるような想いを想像して創造し、

流れるような想いに寄り添っていきたい。