3/7(土)明治座へ行ってきました。
 


この日は、とにかく風が強くて、案の定、幟がくるくるしちゃっていてショック
でも、一瞬やんだ時に、どうにか撮れたのがこれ。右下に、次回出演するミュージカルの告知映像が写ってます。
 


他の方々のは、こんな感じになってしまったダウン
 


ロビーには、こちらがありました。
 



舞台化を知った時、正直に言えば、「なんと無謀な事をするんだろう」と思いました。
NHKで放送されたテレビドラマの長さを考えると、仮に休憩抜かして3時間くらいに収めるにしても、一体どんな風にするのかと…
いや~、脚本のマキノノゾミさんも凄いし、演出の栗山民也さんも、凄い拍手
まさか、こんな構成で舞台を仕上げてくるとは…

見たい俳優さんが出演する事が多いので、比較的栗山さんの演出の舞台を見てると思うのですが、舞台装置を極限までなくすイメージがあります。
今回は、中国という広大な大地がメインですから、余計そうなるかもしれませんが、今回ほど「あ~本の行間を読むように、舞台の余白を自分たちで埋める感じなんだなぁ~」と思いました。観客の想像力にゆだねるというか…

兄妹でありながら、別々の人生を歩み、生きた二人の人生は、あまりに過酷で、哀れで、かける言葉もない。私は、泣いたけど、決して号泣ではなかった。やり場のない怒りの方がまさってしまったせいかもしれない。拳をにぎりしめたくなるような感じ。

兄である一心の育ての両親たち、とりわけ父親は、実の子でなくても、無償の愛を注ぎ、いつくしむ事ができるかという究極の姿だと思った。あんな風になれるなんて、まるで仏様か、神様のようにさえ思える。

一方で、妹が嫁ぐ事になる家の母親も、ある意味、息子の為と家の為に、彼女を引き取り、育てる。貧困の中、育てた事には変わりないかもしれない。ただ、あつ子の後半の独白を聞くと、心底哀れで、遅すぎた兄との再会さえも、気の毒に思えてしまう。
生きて、娘と再会できなかった父親の思いは、いかばかりか…

井上君が命拾いしたベッドの上での様子も、妹の再会の時も、その慟哭が胸をついたし、語り部役でもあった奈緒さんが、前半淡々とした様子から、後半彼女の心情を吐露するに至ると、それは悲しすぎて、涙も枯れ葉てた人生を生きる事の過酷さを不憫に思った泣奈緒さんの消え入りそうな声が、実にリアルで、出したくても出せなかった声も、感情も、誰にも気づいてもらえず、夢も希望も捨て、何も期待しない人生は死んだと同じだったかもしれない。

山西さん演じる育ての父親の深い愛情が、一心に人生を諦めない真の強さも育んだのかなとも思えたし…山西さんの父親役、本当に胸を打たれましたえーん

益岡さんが演じた実の父親は、生きた息子と亡くなった娘との再会で悲喜こもごもですが、再婚した女性とも死別で、家族との縁の薄さがやりきれない。私、ラストの演出が、正直あまり好きではないです。益岡さんがガックリと膝をつき、うなだれる感じが…
一緒に暮らせるというのは、淡い期待だったはず…息子がどう生きるかもわかっていたはず。直接的でなく、背中で見せて欲しかった…そこは、余白を持たせないの?と…まぁ、観劇好きのド素人の言う事ですから、聞き流してください。

上白石さんが演じる妻は、その背景ゆえに、芯の強さと、本来進むべき道を、周りの人達にも納得させる様子が、実に頼もしく、こういう人がリーダーになるべき器だと、しみじみ思いました。山西さん演じる父親とは違う、愛情深さを細やかに演じていた気がします。

一心が、辺境の地で出会う浅野さんは、自由のない苦境の中、どこか希望の光を照らしてくれる大らかさがあって、あの出会いも一心の人生を変えたと思うから、人との出会いで良くも悪くも変わっていくものだと、痛感する。

浅野さんをはじめ、脇を固める方々の演技も、舞台経験豊富だからこその、じんわりにじみ出てくる雰囲気を感じました。

出演者は、この方々。

陸一心(松本勝男):井上芳雄
張玉花(あつ子):奈緒
江月梅:上白石萌歌
陸徳志:山西惇
松本耕次:益岡徹
袁力本:飯田洋輔
黄書海:浅野雅博
増子倭文江 / 山﨑薫 / 山下裕子 / みやなおこ / 石田圭祐 / 櫻井章喜 / 木津誠之 / 武岡淳一 / 薄平広樹 / 岡本敏明 / 加藤大祐 / 越塚学 / 西原やすあき / 咲花莉帆 / 清水優譲 / 武市佳久 / 田嶋佳子 / 常住富大 / 角田萌果 / 内藤裕志 / 松尾樹 / 松村朋子 / 丸川敬之 / 松坂岳樹 / 本宮在真 / 藤田緋万里 / 森葵

影で見せたり、映像で見せたりする部分もありますが、大半は見えるはずのない景色を、自分の中に映し出して見せてもらった気がします。その場で号泣しなかったけれど、思い出すと泣けてきます泣くうさぎ
昔、「ミス・サイゴン」初演を見た後、しばらく立ち上がれず、帰宅する電車の中で、思い出しては涙をふきふき帰った事を思い出します。

今だからこその舞台。今見るべき舞台。今見る機会に出会えて、良かったと思います。

井上君の記事:井上芳雄 エンタメ通信
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00752/00066/?n_cid=nbpent_twed