映画『かがみの孤城』(原恵一監督、辻村深月原作) | kaede1750のブログ

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離婚と不倫、離婚後の経済的余裕を求めてのFXについて。好きな女性と絶対に幸せになる。

宇多丸さんがとても評価しているのを読んで、2回観ました。

すごくいい映画だと思いました。
ここまで丁寧に作られたアニメは、そうはないと思います。

絵と声の演技がすごく細やかで、主人公含め、登場人物の心の動きが伝わってきて、痛みを覚えます。
母親の「行かないのね。・・わかった。」という言葉や、「マジ死ね!」という言葉が、本当にこちらの胸に突き刺さるように感じました。

主人公は設定上、セリフも多くなく、感情表現の幅も大きくないのですが、細かな絵の表情や声の感じでそれが伝わり、見事でした。
「心」役の當真あみさんは声優初挑戦とのことですが、「心」そのものという感じで、よく見つけたなあと、キャスティングした監督はすごいと思います。

子どもが置かれた過酷な状況を、エンタテインメントの枠の中で、ただの物語のネタにとどめずにここまでちゃんと描こうとした映画は稀だと思います(現実のサバイバーにとっては、それでも現実はもっと過酷だと感じるとは思いますが・・・)。
例えば『竜とそばかすの姫』などは、その点が不十分だったと感じます。

この映画というより、この物語に対して、現実の問題が何も解決されていないとの批判があるようです。
でも、たとえ城での記憶が消えたとしても、皆で過ごした1年の間に、それぞれの生活に現実の変化を与えたと思うし、それにより影響を受けた性格や考え方まて消えるわけではないと思います。
誰かを信じる、頼ることができるという気持は、残り続けるのだと思います。

また、謎解きの部分が批判されることもあるようですが、そもそもファンタジーなのだし、論理的整合性のあら捜しをしてこういう映画を楽しめないとしたら、不幸なことだと思います。
それを言ったら、ほとんどの名作にだってご都合主義での展開はあります。

ひとつだけ不満があるとすれば、音楽。
控えめで繊細な演出に比べ、張り切りすぎ、盛り上げすぎに感じました。
インタビューを読むと、監督は大変満足しているようですが・・・。

でも、観るべき素晴らしいアニメだと思いました。
原作も読もうと思います。