(だいぶまわってるなぁ)

会話もお酒もだいぶすすみ、イイ気分になっているみゆき。顔は紅潮し、目元はとろんとしている。

「そいえば、みゆきちゃんて彼氏いるの?」

「あ…はい~。でもいま喧嘩ちゅうなんです~…」

みゆきがろれつの回らない口で答える。

「ひどいんですよ~~わらしというものがありながらぁ、いっつも他の女の子と遊んでるんです~。浮気ですよねぇ?」

しょうが笑う。

「オレならそんなことしないのになぁ」

みゆきは残った缶チューハイを一気のみして言う。

「…ぷはぁっ。……しょうさんが彼氏だったら良かったぁ~…」

うつむくみゆき。

「……じゃ、オレにする?」

しょうがみゆきの顔を覗き込む。

みゆきも、とじかけの瞳でしょうを見つめる。

しょうの顔が近づき、みゆきの唇に、唇が触れた。

後ろに倒れ込むみゆき。

上にかぶさるしょう。

「…オレにすれば?」

つづく
「全然綺麗じゃないですか、ビックリした」

缶チューハイ入りのコンビニ袋を持ったみゆきが、部屋を見渡して言う。

「そう?まぁ、ちょっと綺麗にしたからね。」

しょうがハハッ、と笑う。

「好きなとこ座って。オレビール持ってくる」

しょうがキッチンの方へ入った。

みゆきが、緊張した面もちでソファーにちょこん、と座る。

きょろきょろ、と周りを見渡すみゆき。

部屋はかなり質素で、余計なものはなにもない。

部屋は高層マンションの23階。窓はかなり広く、夜景が一望できる。まるでホテルの一室のよう。

(本当に、なんで出会い系なんてやってるんだろう)

自分と違いすぎる世界に驚いているみゆき。

(…夢だったりして)

「お待たせ、グラスこれでイイ?」

「ありがとうございます」

グラスいっぱいにビールを注ぐ、しょう。
「乾杯」


つづく
「オレんち来る?」

ドライブし始めて30分後の事だった。

そろそろ夜も深まり、小腹が空いてきた時間。

この時間だと、居酒屋くらいしか空いていない。しかし、運転者は当然飲めない。

じゃあ、コンビニで何か買って、うちでちょっと飲もうか。 という話になっている。

「ハハッ。大丈夫だよ、なんもしないよ。朝も送るし」

不安そうな顔のみゆきに笑いかける。

(やっぱり、男の人の家に行くってことは…)

当然、暗黙の了解、と言うところだ。

(しょうくんなら…別に良いんだけど…)

やはり、喧嘩中の彼が気になる。

半年、つきあってきた彼だ。簡単に裏切ることはできない。

「…ゴメンね?困らせたね。そろそろ帰ろっか」

しょうがみゆきを気遣い、提案する。

(…このまま終わっちゃうの…?)

みゆきの胸は高まったまま。

むしろ、さらなる刺激を求めていた。

(…なんにもしないっていってるし。)

(逆に、それを信じないのもひどいよね)

(こんな誠実な人が初めて会った娘に何かするわけないよね)

自分に言い聞かせるみゆき。

まるで罪悪感をふりほどくかのように、考えを巡らす。

「…おうち…行ってもイイですか?」

「え…オレは良いけど…大丈夫?」

「はい!もうちょっと、しょうさんと話がしたいですし」

あえて、なにもしないかを確認しない。

みゆきは、燃え上がった本能に抗えず、また、気付かずにいた。