午前4時30分の幻 -2ページ目

卍卍 Ⅱ 卍卍卍卍 紋 章 卍卍卍卍卍卍

初めまして、本日は、貴方様のお気に召します様、私をご使用くださいませ。


小さなキャンドルが灯された薄暗い部屋の中、

朽ちて、(ひび)割れた黒い革のソファーに座る紳士は、

左手に、細かい銀細工が(ほどこ)された鎖を握っている。

その鎖の先には、ある老舗(しにせ)の銀細工職人に作らせた首輪が繋がり、その首輪が捕えているのは、30歳前後のスマートな全裸の女性だ。

 長い黒髪の女性の胸のタトゥーは、主である所有者の紋章が彫られており、女性を所有する主の所有物で在る証しが(ほどこ)されている。

彼女は四つん這いになり、紳士の足元が自分の棲家(すみか)で在るが如く安らかな表情を浮かべ、足を組む紳士の革靴の尖端を舐めながら、熱い吐息を(こぼ)している。

紳士は、葉巻を(たしな)みながら、至福の時間を煙に託して(くゆ)らせる。