7月初め、隣県の地図を眺めてる私に相方が聞いた。


「どっか行くの?」


「うん」


「行ってらっしゃい」



“行ってらっしゃい”、それだけですかぁ?

どこ? いつ? 何も聞かないわけ?


それじゃ去年までと変わらないような気がしちゃうんだよ。

いや、去年は無愛想に断わられたから、正確に言えば去年とは違うんだけど。

でも結果だけ見ちゃうと、去年と何も変わらないような気がしてくる。



「(子供が)夏休みなんだから、1泊くらいどこかへ行ってほしいんだけど」


「そうだね」



ゲーム画面を眺めながら言う“そうだね”は、適当な相づちにしか聞こえない。

今こっちが食い下がっても、ちゃんと聞いちゃいないので話を終わりにしておく。


「1泊くらい真面目に考えてみてくれないかな」


「はい」



「はい」と言ったからって、そう簡単に考えてくれるわけがない。

漠然と“旅行しようよ”と言ってては話が進まない人なのだ。

具体案で攻めていかないと。



2日後、私は作戦を変えた。


「今週、結婚記念日があるでしょ。○×ホテルでいいから泊まれないかな?」


子供が夏休みだから1泊でも旅行してと言ったのだが、まだ夏休みじゃない。

でも結婚記念日をたてにでもしないと相方自身も休もうとしないし、

相方母もなかなか休みをくれないのだ。

○×ホテルは会社の取引先関係だから、相方も相方母も文句を言わないだろうし。

(3月の私の誕生日の時は無関係の旅館に泊まったので、遠回しに文句を言われた)


そもそも結婚記念日と言っても、入籍しただけの日だ。

それも相方の実家に婚姻届を送って、相方父が提出しに行ったので、

自分達はただ会社でそれぞれ仕事していただけの日なんだけど。


実際の挙式の日は相方父母の都合で決められて、

挙式・披露宴も全て相方父母が仕切ったので、

せめて入籍の日くらい自分で選びたかったのだ。


それもスーパーにミラクルに記憶力のない相方なので、

(いまだに子供の誕生日が覚えられない・・・)

ゾロ目で意味のある日を選んだだけのことだ。

だから思い入れのある日ではない。


でも“結婚記念日”だ。



案の定というほどでもないけれど、わりとあっさりゴーサインが出た。

(ホテル側が券を売りたいイベントがある時に行ってくれたほうがよかったのにと相方母に言われたけども)

取引先関係なので予約は相方母&相方におまかせ。


別に何も起こらないんだけど、つづく。