自宅のテレビであるアーティストを見ていた。

過去のシングルの映像が流れていた。

「僕が僕らしくあるために」という歌詞の部分が流れ、

相方が言った。


「僕らしくいられなくて(覚せい剤)やっちゃったんだね」


相方は芸能人やスポーツ選手でも平気でこき下ろすタイプ。

私は個人的に知らない人のことは有名人だろうが言わないタイプ。


ちょっと楽しくないので、ちょっと相方に意地悪したくなる。


「君も自分らしくいられないから(不倫)やっちゃたんでしょ」


冗談で軽く言ったんだけど、相方一気に不快そうになる。


「だって前科つかないだろ!」


なんで怒ってるのかわからない。

とりあえず、思う。

“あぁ、そうなんだ、そういう考えか。

前科つかないから不倫はいいんだ。

倫理に反してるだけで、法律に反してないから。逮捕されないから”


確かに犯罪で逮捕なんかされたら大問題だ。

だけど不倫を“前科がつかないから”と表現されて肯定されたらね、

不倫された方の気持ちはどうなんのよ。

不倫は犯罪じゃない。でもパートナーを裏切ることは変わらない。

不倫を犯罪だと感じる人だってたくさんいる。



ここで相方の悪友たちの事を思い出す。悪い事してたって言ってたなぁ。


「じゃあ、前科つかない程度に悪いことしてたってこと?」


「またかよ。またそういうこと言うのかよ」


相方、不快の度合いが高まる。


「そうこと言うって何よ。何か都合悪いの?」


「またかよ。そういう・・・」


相方、あんまり不快そうなので、私、黙る。

珍しく自宅で家族3人だけの夕食なのだ。それを壊してはいけない。

黙ったまま時間が流れる。


わからない。

冗談にかみつくほど、なんでそんなに不快?

たかだか不倫を犯罪と同列に言われたから?

悪友の話に触れたから?

やっぱり何かヘン。


結局お互いに黙ったまま1時間半くらいが過ぎ、

私が普通の話で普通に話しかけて、なんとなく普通の夜。


なんで?

触れちゃいけないことに触れた?

まだなんかある?


なんか埋まらない、心にあいた穴。
彼女の事以外で、穴が大きくなるとは思わなかったけど。