腰を使えないから、指だけでハノンの速度練習ばかりやっているおかげで、少しは速度が元の速さに近づいてきた。
    でも急がない。
 
    ゆっくりとした曲を探しては弾いてみる。右手が高音に行っても、左手が低音に行っても、ゆっくりなら大丈夫。少しずつ始めた家事作業よりも簡単だ。
 
    ただし、全曲通して楽な曲は、そんなにはない。シベリウスの「樅の木」は、冒頭は細かい音符のアルペジオで始まるし、ドビュッシーの「月の光」は、ゆったりと弾き始めても、ページが変われば..である。
 
   それでもいいや、と思う。ライブを控えているわけではないのだから、曲を始めから終わりまで弾かなくたって、いいのだ。 
    この曲のこの部分だけ弾けたら、という、まさに『お気楽』精神で始めよう。
 
   今回の『お気楽コンサート』は来週に迫っている。お気楽に、と言ってるのに、たぶん、皆さん緊張はしてるだろう。
 
    以前、発表会として小さなホールで演奏をした頃は、緊張の度合いが凄かった。弾き終えて、お辞儀もそこそこに、顔も上げずに引き上げてくるので、それはダメです、と言った覚えがある。聴いてくれてありがとうごさいます、のお辞儀をしないと。
 
    何とか緊張を和らげて、と始めたのが『お気楽コンサート』
   身内だけでお茶とケーキ。半年ぶりの顔合わせで、やあやあとおしゃべり、その流れでどさくさに紛れて弾いてしまえばいいのだ。
 
    レッスンもずっとなしだが、皆さんどうしてるだろうか。私も、練習ゼロをストップして、この一週間、一日30分を目標に練習を始めた。
 
    腰を痛めてから、早くも一ヶ月半が経ってしまった。今の私の生活は、ひたすら「めざせ鉄骨」
 
   朝起きたら、雪印メグミルクすっきりCa鉄、小魚ぽりぽり、魚の缶詰の残り汁にはスキムミルク、ポタージュにもスキムミルク、小松菜の味噌汁、夕飯は味噌汁の残りにスキムミルク、これはちょっと不本意だが仕方ない。コーヒーにだって、鉄骨のためと言い聞かせてスキムミルク。
    晴れればベランダで、ちょいと紫外線を。
    運動が大事なのに、調子に乗らないで、との医者の言いつけを守り、軽く歩くだけ。
    優等生だね、と自分で自分に感心する。もっと早くに..ではあるが、ここは悔やむばかりでは始まらない。「今からでも遅くはない」でいくしかない。
    
    おっと、話がそれてしまった。頭がすっかり鉄骨になっているのだ。
 
    病院で渡された半年に一回の注射の記録ノートには、欄がたくさんある。うへー、これから先、いつまで続くのやら。
 
   レパートリーを増やして、ライブをやってと、ただでさえ欲張りな計画が、すべて白紙に戻ってしまった。
    後悔と愚痴でぐちゃぐちゃしてる頭を鉄脳に変えて、1から出直しだ。
   
    一日30分の練習を続けて、来春の『お気楽コンサート』には絶対出よう。お気楽メンバーの一員として。