今日は写真展に行ってきました。

 

 

写真家の吉田亮人さんの写真展。

 

この12年間、毎日毎日、チェキのカメラを

 

奥さん、3人の娘さん、そして家族に関わる人たちに向け、

 

シャッターを押し、それをスケッチブックに貼り、

 

コメントと共に残してこられました。

 

 

 

 

全部で116札あるアルバムの中には、

 

お子さんが初めて描いた丸、

 

お父さんの誕生日会の司会のカンペ、

 

家族旅行で沖縄に行った時の貝殻、

 

たくさんの思い出のかけらも一緒に綴じられていました。

 

 

 

このアルバムは公にすることを前提に作られたものではなかったと

 

吉田さんは言います。

 

『超私的な家族の記録が果たしてどう作品として成立するのだろうか』

 

それをみんなで考えたいと試みたのが今回の展示会なのだそうです。

 

 

 

 

会場には116冊、すべてのスケッチブックが時系列ではなく、

 

ランダムに並べられていました。

 

4000ページ以上ある記録を全てを見ることはできませんでしたが、

 

手にしたい冊子(これも縁なのかもしれない)を手に取っては

 

ページをめくっていきました。

 

1秒ほどでめくっていくページも多くある中で、

 

何十秒も見つめていたい写真が出てきます。

 

 

 

子どもを寝かしつけながら一緒に寝落ちしてる写真。

 

大きいパパの足と、小さい娘の足、でも形はほぼ一緒っていう写真。

 

お風呂上がりに姉妹揃ってドライヤーで髪の毛を乾かしてる写真。

 

妹をはじめてお風呂に入れてあげる写真。

 

 

温度、寝息、サイズ、気の緩み具合、感情、、、、

 

そういうのがリアルに伝わる写真が

 

まさに自分にとって残したい家族の風景なんだと気づかされました。

 

 

 

一見、超私的な家族の記録は、普遍的なメッセージが詰まっていました。

 

自分の家族写真ではないのに、

 

1枚の写真から呼び起こされる自身の記憶、

 

一生大切にしたい風景が浮かび上がりました。

 

10年以上、同じ撮影者が同じ被写体を撮る定点記録というのも

 

歴史を感じることができ、説得力が増しました。

 

 

 

おじいちゃんやひいおばあちゃんの棺にもカメラは向けられていました。

 

お花に囲まれ、一生のお別れをした数日後に、

 

お子さんが運動会でがんばった証の1枚がありました。

 

悲しみ苦しみを抱えながらも、毎日を送り、

 

よりよい1日を重ねていこうという人間の気高さをも感じ、

 

これこそ、まさに生きるだなって心の底から思いました。

 

 

 

まちがいなく作品として成立し、価値の高いものだと確信。

 

吉田さん、絶対、絶対、作品にしてほしいです。

 

 

 

 

今回、展示会に行くのを躊躇する自分もいました。

 

会場は車で1時間ほどの距離だし、

 

鑑賞の場に1才になったばかりの娘を連れて行くのは大変かなって。

 

でもなんか、どうしても行かなくてはと思ったんです。

 

それはやっぱり母を亡くしたからなんだと思います。

 

亡くなってから母の写真を何度も見返し、

 

記録の価値の高さ、写真がもつ力を涙ながらに実感していたところでした。

 

 

 

今日の展示会へ足を運んだことで大きな気づきがありました。

 

最近、これからの未来、母が映る写真がこれ以上増えないことが絶望でした。

 

母がこの世に存在しなくても、母を感じる写真を撮りたいけれど、

 

どうしたらいいんだろうと思っていました。

 

でも今日の展示を見て思いました。

 

 

 

お線香をあげる。

 

仏花のお水を取り替える。

 

お墓に水をかける。

 

空が人の死を理解した時、おばあちゃんとの写真を見返す。

 

 

 

こういう場面にカメラを向けることで母を感じられる写真にになるのかもしれない。

 

娘のこの寝顔を見ながら、改めて『いま』の旬を残したいと決意。

 

 

 

 

全然まとまらないけど、今日感じたことを残しておきたいと思ったので

 

このままアップします。

 

おやすみ〜。

 

 

(最近、未来に残しておきたいと思った1枚)

 

 

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Photo Writer かどまどか  / Kado Madoka

 

 

上から読んでも下から読んでも、かどまどか。
撮り手で書き手。
主に旅、ライフストーリー、文化、家族をテーマに執筆。
教科書の教材やインタビュー記事も執筆している。
執筆テーマに沿った素材の撮影はもちろんのこと、家族写真も撮影。
写真ストックの中から写真提供も行っている。
中学校で命、生き方、国際理解をテーマにした出前授業も行う。

 

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HP: http://kadomadoka.com/

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