母、生き抜きました。

 

57歳でした。

 

 

血液のがんである悪性リンパ腫と診断され、数年に渡り闘病していました。

 

ママ、つらかったね。

 

ほんとに、ほんとにがんばったね。

 

 

 

自分のため、そして家族のために1日でも長く生きようと、

 

迷い、苦しみながらも積極的な治療を選んできた母が、

 

『きっとね、寿命ってあるんだと思う』とある日言ったのです。

 

少しでも望みがあるなら治療を続けてほしいという私のわがままは

 

手離さなくてはいけないと思った瞬間でした。

 

最後は家族みんなでたくさん泣きながら話し合い、

 

母の気持ちを真ん中に、

 

積極的な治療をやめ、在宅医療の緩和ケアに切り替えることを決断しました。

 

1週間という短い時間だったけれど、

 

大好きな家という空間の中で大好きな人たちと過ごすことができました。

 

病状が急変し、意識が遠のき、呼吸が荒くなった母の傍らで

 

力強くおっぱいを吸う娘。

 

2人の精一杯生きる姿に涙が止まりませんでした。

 

みんなで手を握り、母に安心してもらえる言葉、

 

そして伝えきれないほどのありがとうを伝え続けました。

 

そして迎えてしまった最期のとき……


時間がもう少しあると思ってたからまだまだ自宅で看取るという覚悟ができていませんでした。


慌てふためいて、ママ、ママと叫び、穏やかな気持ちではいられなかった。


私たちの看取りはママにとってどうだったんだろう。

 

この2週間、ずっと胸につかえています。


ママが最期に見た景色が幸せに包まれていたらいいな。

 

 

 

 

葬儀も終わり、日常が戻ってきました。

 

お線香とお花のにおいが辛いです。

 

どんなに母の死を疑っても、現実逃避しても、このにおいが現実に引き戻します。


母がいないことが1日、1日、より濃い現実になる。


たまらない気持ちです。

 

この4月に、母と、娘の空と一緒に遊んだ公園に行き、

 

空を抱きかかえて遊んでくれた遊具に手をあてると涙が溢れました。



 

あちこち母の姿を探します。

 

探して、探して、もう一生この世界では会えないんだと

 

母の不在を突きつけられ、苦しくなります。

 

 

 

 

数日前、大阪に戻ってきました。

 

毎日、手を合わせていた延命地蔵

 

泣きながらお地蔵さんに、

 

『ありがとうございました。

 

 これからもみんながみんならしく生きられる日が1日でも多くありますように』

 

と手を合わせました。

 

1年前にブログに書いていた良きサポートの形、

 

ちゃんとできていたんだろうか……。

 

 

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できないことが増えていき、できることが失われていったとしても

 

その人自身が大切にしてきた人、好きなもの、信念、性格、、、

 

そういうのは失われてはいけないものであって、

 

それこそがその人そのもの。

 

そういうものを大切にするってことこそ、

 

病気に勝った負けたではなくて『生きる』ってこと

 

なんじゃないかなと思うようになりました。

 

そういうものを尊重してあげる、一緒に大切に想う、

 

それが私にできる一番のサポートなのではないかなと思うようになりました。

 

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読み返すと、全然足りてなかったんじゃないかと胸がしめつけられます。

 

『あんなことも、こんなこともしてあげたかった。

 

 もう少し時間があると思っていたのに』と。

 

この想いを消化せずに、問い続けながら

 

母の話をしては泣き、笑い、そうやって1日を送っていき、

 

母を弔っていきたいと思います。

 

 

 

私の大好きな花、紫陽花の季節に旅立った母。

 

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雨に濡れ大輪を咲かせる紫陽花。

 

その様は、まるでみんなの涙の中で美しく旅立った母のようです。

 

毎年、あじさいを見てママを想うよ。


パパと茜と一緒にね。

 

ママ、ありがとう。

 

まだまだママがいないことがさみしすぎて、辛くて、

 

離れていてもずっと一緒という感覚には全然なれない。

 

もう少し時が経ったら、そういう気持ちになれるのかな。

 

でもずっと忘れず、ずっと想うことは今からできる。

 

いつも心は寄り添ってるよ。

 

ママの娘でよかった。

 

私を生んでくれてありがとう。

 

空はもうすぐ歩くよ。


ババって言えるようになったんだよ。聞こえてる?

 

空のママ、精一杯がんばるから。


空から見てて。

 




(亡くなる前日に撮った動画。一生の宝物)


(保育園の卒園式。卒業証書を母に渡すと涙を流していた母)

 

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 (母とのお気に入りの1枚)


 

 

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Photo Writer かどまどか  / Kado Madoka

 

 

上から読んでも下から読んでも、かどまどか。
撮り手で書き手。
主に旅、ライフストーリー、文化、家族をテーマに執筆。
教科書の教材やインタビュー記事も執筆している。
執筆テーマに沿った素材の撮影はもちろんのこと、家族写真も撮影。
写真ストックの中から写真提供も行っている。
中学校で命、生き方、国際理解をテーマにした出前授業も行う。

 

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