実家の大掃除をしていたら、小学校6年生のときに書いたおもしろい作文が出てきました。
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『世界一のおじいちゃん』 飯澤 円
私のおじいちゃんは五十八歳。
でも、まだまだ元気印。
職業はバスの運転手。
いつも神経をつかっているせいか、つかれた顔で帰ってくる。
帰ってきてからは、お酒を飲んで、ごはんを少し食べて寝てしまう。
こんな一日が、おじいちゃんの日課になっている。
ふと、こう思う時がある。
「ただのつかれなのだろうか。どこか具合が悪いのではないのか」と心配になってしまう。
たまに、連絡なしにいつもよりおそい時刻に帰ってくる。
私は、帰ってくる時刻がおそくになるにつれて心配になってくる。
おばあちゃんも私より十倍、いや百倍も心配していることだろう。
私は、一回だけおじいちゃんが運転しているのを見たことがある。
それは、真剣な目つきで運転している。
まるで何かをにらみつけているようだ。
おじいちゃんに運転中に何を考えているか聞いてみると、
「今日一日は、絶対に事故を起こさない。というのを頭にたたきこんだいるよ。」
と目をかがやかせながら言った。
私は「そんなおじいちゃんを見習いたい」と思った。
もう一つおじいちゃんが、毎日がんばっている仕事がある。
それは、畑仕事。
一日でも欠かしてしまうと、野菜等のおいしさがにげてしまうという。
家の家族は漬物にだけは何かとうるさい。
おじいちゃんは、そんな家族のために、もいできゅうりと、丸茄子を漬物にして食べてもらう。
また、近所の人たち、会社の人たちにも食べてもらい、評価してもらう。
おじいちゃんは、「おいしい。と言われるのが、おじいちゃんにとって最高の言葉だよ。」と言う。
「おいしい」と言うのは、たった四文字だけど、
人に与える喜びが四文字の中に強子たたきこまれているのだと思う。
私も、たまにだけど、畑へ行く。
私は、着ていた服のままで畑に行くけど、
おじいちゃんは気合いが入ったかのように、畑専用の四点セットに着がえる。
その四点セットというのは、長袖、長ズボン、蚊とり線香、長ぐつ。
この四点セットがないと始められないのだ。
「真夏の暑い中、よく着てられるな」と感心してしまう。
畑に行くと、絶対と言っていい程、蚊にさされる。
私は「長袖、長ズボン着てくればよかった」と後悔する。
でも、かゆい事なんて忘れて、きゅうり、なすをもいで汗だらだらで帰る。
帰ってきたら、まず、おじいちゃんとお風呂に入る。
そして、背中を流してあげる。
おじいちゃんの背中は大きく洗うのが大変!
おじいちゃんは、がんばり屋さん。
会社の仕事、畑仕事も何でもがんばっちゃう。
「こんなおじいちゃん世界一!」
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夜勤もある三交代のシフト制の仕事をしていたおじいちゃん。
いつもカレンダーには油性のマッキーで
1とか、2とか、3とか、大きく太字で書かれていた。
3の日は、夜じいちゃんがいなくてちょっぴり寂しかったのを覚えてる。
あれから24年の月日が経った。
58歳だったおじいちゃんは82歳になった。
腰は曲がり、畑仕事もできなくなってしまったけれど、
じいちゃんの漬物好きと運転への自信は変わらない。
そろそろ免許を返納した方がいいんじゃないかと家族で心配するけれど、
まだおじいちゃんにはその気がないみたい。
いつまでも元気で、安全運転を。
世界一のおじいちゃんへ。
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かどまどか / Kado Madoka
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