「引き寄せの法則」に対する批判
「引き寄せの法則」が宇宙全体で適応される限り、本来は以下に挙げるような「引き寄せの法則」に対する批判が展開されるのはあり得ないことなのです。
しかし現実には数多くの科学者や宗教家が、この突然現れた新しい理論にいろいろな手段で反対して来ました。
引き寄せの法則への疑問、批判には様々なものがありますが、その中でよく見られる代表的なものには以下の様なものがあります。
おそらくこれが大方の人が持つ疑問、批判だと思いますので内容を要約してご紹介しましょう。
引き寄せの法則に対する疑問、批判
1.「法則」と名付けるところに疑問がある
自分の願望を紙に書いたりイラストにしたり写真に撮るなどビジュアル化して願望すれば、望みが叶えられるというのは一部は当っているかも知れない。
何故ならば受験生が壁に「○○大学合格」などと書いた紙を貼り付けて、自らの士気を鼓舞するのは昔から行なわれていることで、それなりの効果があるのは分かっている。
しかしそれを法則とまで言うのには無理がある。
2.引き寄せの法則というのは誰が何時証明したのか?
数学の法則は一旦公式が証明されたら、後は誰が数字を当て嵌めても同じ答えが得られる。
法則というのはそういう普遍的なものを言う。
引き寄せの法則にその様な普遍性があることを、いったい誰が証明したのか?
そもそも「これが宇宙の法則」などと断言出来るのは、神様以外には出来ない相談である。
3.引き寄せの法則は正にカルト
人間の運命というものは極めて変数が多く、人生においては成功と失敗が繰返されるのは当然の姿である。
それを良いことが起きたのは自分が良い波動を出したからで、悪いことが起きたのは全て自分が悪い波動を出したからと言えば、現在、過去、未来において起きたこと、これから起きることは全て一口で説明がつく。
カルト宗教の教祖に「あれだけ信心したのに病気になった」と文句を言えば、必ず「それはあなたの信心が不十分だから」と言い返される。
又、カルト宗教では信者を勧誘する時、「あなたが病弱なのはあなたの心が邪悪なものを引き寄せているからだ」という様なことを言って、まず相手を脅かすことから勧誘がスタートする。
そしてそれを祓うにはこの宗教の信心しかないと言うのが結論。
引き寄せの法則で言っているのは正にこのカルト宗教の屁理屈と同じである。
そもそも全てを宇宙の愛にゆだねれば良いなどと言う考えは、それこそが究極の他力本願ではないのか?
4.引き寄せの法則で成功した人の確率は?
引き寄せの法則のバイブルとも言えるロンダ・バーンの著書「ザ・シークレット」は全世界で860万部売れたそうだが、その内何人がその本の内容を実践して尚且つ成功を納めたのか?
860万人もの読者がいればその中から成功者と言える人は当然現れるだろうが、その人達の数は860万分のいくつなのか?
又、その成功者と引き寄せの法則の因果関係は、きちんと分かっているのか?
それが分かっていないのなら、引き寄せの法則はとてもじゃないが「法則」などと呼べるものではない。
ひょっとしたら確実に因果関係があるのは、著書がヒットして印税がガッポリ入るロンダ・バーンとその尻馬に乗った、いわゆる「引き寄せの法則関連本」の著者と出版社だけではないのか?
5.引き寄せの法則は宗教書
要するに引き寄せの法則というのは最初に「この法則は正しいものである」という結論があって、それに後からあれこれと現実の事象を結果論で当て嵌めようとしているだけではないのか?
例えばある人に不幸な出来事が起きれば、「それはあなたのマイナス思考が不幸を呼び寄せたのだ」という具合である。
この論理は「神は(仏は)絶対に正しい」ということが大前提になっている宗教書と同じである。
つまり「神(仏)」という言葉の部分を、「引き寄せの法則」という言葉に置き換えただけ。
まだまだいろいろな疑問や批判がありますが、その主なものを書き出してみました。
もちろんこれに対しては、引き寄せの法則の支持者からの反論もたくさんあります。
但し、この手のいわゆる賛否両論の場合は、どちらかと言えば、疑問や批判を投げかける方が楽です。
何故ならば言いっぱなしで良いからです。
科学
最も強硬な批判者の中には「引き寄せの法則」が基盤としている科学的な根拠に焦点を当ててパッシングする人達もいます。
この科学的理論はマイケル・ J・ロサイアーの最近出版した小説「引き寄せの法則」の中で説明されていますので以下に引用します。
「プラス思考には心理学的な根拠があり、その効果で引き寄せの法則が生まれます。
高校の科学の授業で教わった内容を覚えているかもしれませんが、エネルギーには様々な種類があります。
原子エネルギー、熱エネルギー、電動エネルギー、運動エネルギーおよび電位エネルギー。
エネルギーは決して壊れることがない存在です。
またあらゆる物質は原子で構成されており、原子は陽子と電子で構成されて中性子を持っており、中性子は電子の周りを、軌道を描いて回っています。
原子の中の電子は常に「環状道路」(つまり原子の安定性を確実にするエネルギーレベルとして定められたもの)の中にある中性子の周りを、軌道を描いて回っています。
電子はエネルギーを加えることによって、より高い軌道を回るように強いられます。
反対にもしもより低い軌道に落ちてしまった場合は、電子はエネルギーを放出することになります。
原子と原子がつながると運動力を生み出し、全てを同方向へ引っ張ります。
これが波動と呼ばれるものです。
それは金属が分子をつなぎ合わせて、同方向へ磁化するのとほぼ同じことです。
このプラス極とマイナス極が出来ることは、自然および科学の真理です。
科学ではもしも特定の場所で目に見えて数値化出来る物理の法則が存在するならば、他の場所でも同様の法則が必ず存在するということを証明しなければなりません。

http://ja.wikipedia.org/wiki/原子
引き寄せの法則は空想の法則でも、新時代の魔力のようなものでもありません。
これは自然の法則であり、体の全ての原子が自分が気づくと気づかざるとに関わらず常に従っている法則なのです。」
以上がマイケル・ J・ロサイアーの説明です。
この説明でも言われている様に引き寄せの法則について、「科学的根拠が無く妄想に過ぎない」と批判するのは間違いです。
彼の説明の中に含まれている考えは、本書でも既に「引き寄せの法則」の根拠に関するところで簡単に触れています。
しかしこれらの仮定を取り巻く議論を理解する為には、先ずこれらの仮定がどのようなものなのかを理解しておく必要があります。
この理論を支持する人達は「引き寄せの法則」の効果は、物理の分野や量子メカニズムの分野で支持されている真理に由来していると主張しています。
量子力学(量子論)はミクロの世界(原子、電子、素粒子、重力など)を解明する最新の物理学ですが、近年はこの量子力学によって宇宙の成り立ちに関する新しい発見がどんどんされています。
例えば今の私達は特に物理学者ではなくても、光の性質が波であり粒子であることは知っています。
しかしこの光の性質は量子力学が誕生するまでは、解明出来なかったのです。
量子力学による新しい理論のひとつに、「超弦理論」と呼ばれるものがあります。
これは宇宙というのは1本の紐の様なものであり、その紐が振動する時の波動でエネルギーが生まれ、そのエネルギーによって物質の性質が維持されているのだという理論です。
引き寄せの法則はこの量子力学でいうところの「波動」に関連する法則です。
この言葉も皆さんはよくお聞きになると思いますが、波動の世界には「共振」という現象があります。
共振というのは同じ波長の波動が重なり合ってやがて大きなエネルギーに変わるというもので、引き寄せの法則では自分が強く念じたことと波長が合う出来事が引き寄せられると解説されています。
つまり自分の願いが叶うということです。
しかしこの引き寄せの法則に対する量子力学的アプローチについても、反論は実にたくさんあります。
結局多くの形而上的な現象に対する反論は、それらの起源が憶測の域を出ない内は状況証拠以上のものが存在しない、従って信用することは出来ないということなのです。
では、一体誰が実際に現代科学の土壌に深く根ざしている理論の正当性について、異議を持つのでしょうか?
現代科学の土壌に深くそのルーツが根ざしている理論に対しては、誰もが信頼を寄せるものです。
しかし残念ながらこれまで「引き寄せの法則」を支えてきた多くの「科学的証拠」は結果的には不十分で、「引き寄せの法則」を自然の法則と考えてもらえるまでに至っていません。
その結果引き寄せの法則に対する疑問、批判が絶えません。
科学の世界を取り巻く全体軸は当時最高の物理学者と賞賛され、その著書や教えが現在も多くの書店や大学のキャンパスでも目にすることが出来る※リチャード・フェインマンによって最も上手く表現されています。
(※注記)アメリカのマンハッタン計画(第二次世界大戦中における原子爆弾の開発計画)にも参加した20世紀を代表する物理学者で、ノーベル賞受賞学者。
彼はその著書「Six Easy Pieces」の中でこう語っています。
「今日我々が理解している自然は、実験上はこれから起こることの予測を正確に行うことが不可能なものであるという、基本的な考えの上に立っている。
これは非常に恐ろしい考えであり、また一方で哲学者達は根本的に科学に必要なものの1つとは、同じ条件の中からは同じ結果が起こるということだと言っている。
これもまた真実ではない。
これは決して科学の基本条件などではない。
我々はあらゆる考えの正当性の唯一の評価基準は実験であると述べている。
もしもある実験においてキトでもストックホルムでも同じ結果を出たのであれば、その実験結果は一般法則を形成するものとして扱われるべきである。
我々は将来、様々な実験の成果を簡単に取りまとめる方法を発見するだろう。
そしてこの方法がどのようなものなのかを事前に告げられる必要もない。
もしも同じ実験は常に同じ結果を生むと言われるのであればそれでも良いが、我々が行えばそうではなくなるかもしれない。」
偉大なる科学者の口から直接真実がこのように告げられています。
これは我々がこれまで教わってきたことに反して、必ずしもある種の実験をはっきりとした結果が出るまで繰り返されなくても良いと言っているのです。
これは非常に重要な教訓であり、人生を通して覚えておくべきことでしょう。
しかしながら一般的にはひとつの理論が法則として確立される為には、その理論を立証する為に別の研究機関において実験した場合においても再現可能なものでなければなりません。
科学においては別の研究機関、別の科学者によって再現されないものは法則としては認められないのです。
引き寄せの法則の実験的な試験は行われていますが、 その結果これが実際に法則と呼べるものなのかどうかは、かなりあいまいな状態のままにされています。
この実験では研究者は制御可能な物理的なものではなく、人間の霊能力を扱っているので適切なテスト条件を確立することが難しく、その結果高次の正確さの保証も完全に公平な結果も出すのが困難なのです。
引き寄せの法則の実験を疑う余地のない決定的なものにする為には、被験者は細心の注意を払ってガイドラインに従わなければなりません。
つまり被験者は自分の心の中から完全に、全てのマイナスのエネルギーを取り除かなければいけないということです。
これは「ミッション・クリティカル」と呼ばれる状態ですが、これを研究者がコントロールすることは今のところ不可能です。
被験者に対してどの様な方法を使っても、他人が強制的に潜在意識の中にあるマイナスの思考を取り除くことは出来ません。
それ以前に被験者自身が自分の心の中にマイナスの思考があるかどうかということすら、気付かないこともあります。
(だからこそ潜在意識と呼ばれるのですが)
引き寄せの法則で成功を見つける重要な鍵となるのは、プラスのエネルギーで自分の思考を全て支配することです。
そして顕在化している意識から離れた深い脳の深部に隠されているわずかなマイナスのエネルギーをも除去しなければなりません。
マイナスエネルギーが少しでも残っていると、それは引き寄せの法則の実験に良くない結果をもたらすからです。
更に引き寄せの法則の実験では研究者は人間の霊能力を扱っている為、科学的な方法を用いて公式に証明することが出来ず、その結果人間の心の力として受け止められているという、別の困った要素もあります。
恐らくそう言うと非常に困惑する人もおられるでしょう。
引き寄せの法則においては成功を見つけるために利用するものが人間の心の力であるのに、なぜ人間の心の力が実験ではそれ程にも問題になるのだろうかと疑問にも思うことでしょう。
その理由は単純なものです。
人が目標を達成する際に立ちはだかる主なる要素はふたつあります。
ひとつは体。
そしてもうひとつは環境です。
しかし実際には人が引き寄せの法則を利用してそれぞれ自分の選んだ目標を達成する為の能力を働かせる際には、これらの影響は非常に小さいものなのです。
体や環境という様な要素は、引き寄せの法則を失敗させたり成功させたりする重要な鍵にはなりません。
それでは重要な鍵になるのは何でしょうか?
それは人間の心です。
人間の心こそが人とその人の夢の間に立ちはだかる、第一の障害になります。
もしも今ある人が引き寄せの法則を利用して何かを得ようと考えているなら、その人は目標を達成する際にそれを阻害しようとする悪環境や社会的障害物を、自らの力で克服しなければなりません。
その様な悪環境や社会的障害物を克服する為には、まず自分の力を信じることです。
そうでなければ恐らく困難を克服することは出来ないでしょう。
逆に如何なる逆境にあっても必ず目標達成できると自らが強く信じていれば、成功は保証されたも同然です。
但し、これは必ずしも宇宙の波動の影響によるものではないと考えられています。
では何の影響なのでしょうか?
これはちょっとしたジレンマですね。
このジレンマを具体的に大学を出たてで、仕事を始めたばかりの青年の目を通して考えてみましょう。
もしこの青年が自分の選んだ仕事に対して自分がその仕事に適していないと感じていたり、その仕事を遂行する能力に疑問を感じていたらどうなるでしょうか?
おそらく彼の心はマイナスの意識になり、その結果はやがて本当に仕事の上でも成功することが出来なくなるでしょう。
仕事に対しての積極性も失われやる気も無くなって来ますので、悪循環の輪の中に落ち込んでしまいます。
反対にこの青年が「この仕事こそは自分が天から与えられたものだ」と感じていたらどうでしょうか?
彼は自信を持って仕事をすることが出来、その自信は彼の言動のひとつひとつに現れてきます。
その結果循環の輪は良い方向に廻り始め、やがては彼はその業界での第一人者としての地位と報酬を得ることが出来るかも知れません。
ただこの事例での青年の成功、不成功が引き寄せの法則によるものか、それとも単に職業選択の良し悪しによるのかは結果だけでははっきりとは分かりません。
引き寄せの法則に関する実験結果を再現によって検証することが不可能である限り、こうした良い結果が人間のやる気の問題と言うよりもむしろ宇宙の波動の影響なのだということを100%言い切ることは不可能でしょう。
このケースでは科学的な視点から 「引き寄せの法則」の物理的存在を裏付ける、確固たる証拠がないに等しいからです。
科学の非形而上的な特性に関わる他の多くの実験とは違い、「引き寄せの法則」についてはそれを科学者が個人の構成要素にまで立ち入って調べることは不可能です。
体から放出される波動は未だに概念上のもので、科学者が体から放出されるエネルギーの明確な特性を突き止めることは現時点の科学レベルでは出来ません。
つまり体から放出されるエネルギーが良いものか悪いものかを判断したり、今体から出ている悪いエネルギーを食い止めることは出来ないのです。
又、現在の科学ではある出来事を構成するエネルギー波を特定する技術も出来ません。
自然界の現状に変化を引き起こす要素を科学的に解明するには、特定の結果を次々と引き起こす原因(波動、エネルギーなど)となるものと、その原因を基にして起こる変化の「連鎖反応」の両方の詳細なデータが必要なのです。
実際にはこうした出来事のエネルギーベースの根拠があるかどうかを決めることは不可能なことですし、様々な形のエネルギーがお互いに協力し合ってどの様に作用し、そこからどの様にして結果を出すかも未だに謎です。
波動やエネルギーを科学的に解明するのはまだ道遠しです。
引き寄せの法則では良い出来事は更に良いことを引き寄せ、悪い出来事は更に悪い出来事を引き寄せるという、いわゆる乗数効果(波及効果)というものが現れます。
昔から言うところの「類は友を呼ぶ」ということです。
例えばお金はとても寂しがりやなので、仲間が大勢いるところに集まって来るそうです。
だから世の中ではお金持ちは益々お金持ちになるという、非常に不公平な現象が起こります。
乗数効果(波及効果)については下記のURLのサイトをご参考にしてください。

http://ja.wikipedia.org/wiki/乗数効果
引き寄せの法則を科学的に証明しようという試みは、これまでも多くの科学者によって試みられて来ました。
しかし「引き寄せの法則」の理論は多くの科学者チームによって試みられた如何なる実験方法によっても筋が通らず、科学的方法を用いて証明することが出来ませんでした。
引き寄せの法則は人の心に働き掛ける法則です。
しかし人の心というのは極めて曖昧な部分が多く、又、非常に非合理的な部分があります。
実は現代科学が最も苦手とするのがこの「曖昧」や「非合理的」といわれる様な部分です。
現在コンピュータが更に進化したものとして「人工知能」の研究が進められていることは多くの方がご存知だと思いますが、この人工知能の研究はなかなか進みません。
それは人間の心、すなわち脳の働きではごく当り前の曖昧さや非合理性というものを電子的に表わすのが、最新のコンピュータ技術を持ってしても非常に難しいからです。
「引き寄せの法則」が人の心というものと密接に関係している限り、科学的な方法で立証するのはとても難しいのです。
それでは引き寄せの法則は何処かで科学界と決別すべきなのでしょうか?
それについてはYESともNOとも言えません。
多くの人が未だに答えを探し続けているとだけ申し上げておきましょう。