本当は中島京子という作家の新作を読みたかったのだが、仕事を休んでいる今、なるべく出費は抑えておきたいので、当然、図書館へ。


ところが新しい本というのはとても人気で、25人も私の前にいるという。

これでは年内に読むのも難しそうではないか。

早く読みたい訳だし、こんなことなら買ってしまおうかと悩んでいる。


ついでに、この作家のことを調べてみたら映画になった作品が二つもあるというので、

まずはそちらを読んでみるか、ということになって手にしたのが『小さいおうち』であった。


小説は意外にって言ったら失礼ですけど、ストーリーも面白いし、文体もさらりと読めるのに、なんか深い。読んでしばらくしてからも、なにかスーーんとしたものがやってくる。

いいな本は!と最近思ったきっかけがこの小説だった。ネットで余韻を楽しむという経験をしてないから、やはり本はいい。



確か、Netflixにこの映画があったなと思って、見始めた。

映画の方は私の体調のせいで、細切れにしか観ることが出来なくて、女優の黒木華さんが第64回ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞したそうだが、彼女の演技を十分に堪能できたかどうかは微妙である。



小説と映画を比べると、なかなか映画に軍配が上がらないと思い込んでいた私だが、1箇所だけ、ものすごく心に刺さったシーンがあった。


ちょっとネタバレになるが、黒木華演じる女中は自分が仕えている家の奥さんがすごく好きなのだ。

好きすぎて苦しくて、ある小さな事件が起こったときに女中はオイオイと泣くのだ。


女中はいわゆるLGTBQではないと思う。表現力が足りなくてうまく説明できないのだけれど、仲良しのさらに濃いめな関係、恋愛未満といった感じだろうか。


そんな感情が男子にもあるのかわからないが、確かに

その「好き」の経験が私にもあったなあと思い出したのだ。

なかなか濃いめの女同士の友情みたいなもの。

または、歳の離れた姉やが幼い自分を置いて知らない男のところへ嫁に行ってしまい、幼いなりにももう姉やは自分の手の届かないところへ去ってしまった悲しさと恋しさみたいな。


今からもう30年近く前のことになるのが驚きだけど、

学生時代に一緒に暮らしていた友人Kが、私の嫌いな男と結婚すると聞いて、大泣きしたことがあった。どうして泣くのか、その頃は自分でも訳が分からなかった。


Kに今付き合っている男を紹介すると言われて、会わせてもらったとき、第一印象で、ダメだ!と思ってしまった。

そしてKにも、この男はあんたを幸せにしないよ!とハッキリと言った。

なのに、その男がいいと結婚を決めた友人。


案の定、Kの結婚生活はなかなか気苦労の多いものになったようだ。

だから、あの男は辞めろと言ったのに!




この夏、数年ぶりにKに再会。

なんとその前回の再会まで20年以上音信不通だった。


向こうは私に嫌われていると思っていたそうで、

確かに嫌いになってたけど…


お互いに人生の色々が忙しくて、友情を温め直すどころではなかったんだろうな。


やっとお互いに大人になって、お互いのダメなところ、嫌なところも含めて愛おしい存在になったから、思い出話を肴に会うことができるようになった、ということかもしれない。




映画と小説では、その女性達のその後が描かれているが、私はまだ生きていてKとも交流が出来ることに感謝した。