煙突の見える場所 | まーのブログ

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実際は4本なのに見る場所によっては3本にも2本にも1本にも見える「お化け煙突」がある東京北千住の下町を舞台に、慎ましい生活を送っている夫婦と、その夫婦に部屋を間借りしている二人の若者が織り成す人間模様を描いた作品で、原作は椎名麟三の『無邪気な人々』、監督は五所平之助、出演は上原謙、田中絹代、芥川比呂志、高峰秀子等です。


(1953年度:新東宝)


隆吉は安月給だけど真面目なサラリーマン。その妻・弘子は内緒でアルバイトをして貯金を貯めるしっかり者。しかし、事実を知った隆吉はそれが面白くない。健三は人のいい税務署員。仙子は街頭放送の女子アナで物怖じしない性格。健三は仙子が好きだが、仙子の方にその気はない。前半は隆吉と弘子のちょっとした衝突、健三と仙子の微妙な関係が描かれ、中盤以降は捨て子が巻き起こす騒動とその顛末が描かれていきます。戦争の傷痕がまだ色濃く残っていた時代の庶民の生活が興味深く、突然現れた赤ちゃんによって、それまで良好な関係とはいえなかった4人が結束していく展開にはオーソドックスながらも人情味がありました。芥川比呂志演じる健三の奮闘ぶりが特に印象的です。時折挿入される煙突の映像も効果的で、見応えのある秀作でした。ただ、登場後しばらく泣きっぱなしの赤ちゃんの泣き声がうるさくてウザかったです(苦笑)。

 

 

(NHK-BSで鑑賞)