ふと、浮気相手の人生を考えてしまった。
父との関係は、姉と私が産まれる前からだったようだ。
20年以上、父と愛人関係でいた人。
年頃は両親と同じくらいだと思う。
結婚して自分の家庭を持たず、
子供も作らずに、
ただ女として父と繋がり続けた人生。
まだ若い私には純愛のように、ただひたすら父を愛し続けた人にも見えた。
それでも、
その人が父と付き合い続けているせいで、
母は苦しんだのは間違いないし、
姉も私も夫婦の問題でなくて、
家族の問題として、母の苦しみを分かち合おうとしたし、
辛い思いもした。
父と愛人。
この2人の関係が、ひょっとしたら、
私達娘の養育にも影響を及ぼしていたのかもしれないし、
生活には多大な支障をきたしたことは間違いない。
到底、許せることではないけれど
父は、
この人の人生も潰してしまったのかもしれない。
そう思ったら、母がやり直すと決めたのも納得できた。
離婚したら、一緒になるだろう。
50を過ぎた女が、20年以上も情を通じてきた男のことを諦めるのは
並大抵のことじゃないと思った。
こんな屑みたいな男より、
いい男がいたかもしれないのに。
人の不幸の上に成り立つ幸せなんて、
本当の幸せと言えるのか。
父が愛人と一緒にいた時のとびっきりの笑顔は、私には見せない顔だった。
父をあんな笑顔にさせる人。
不憫だと思うのは愛人が可哀想だろうか。
きっと、2人は切れないだろう。
漠然とそう思った。