右内頚静脈よりエコーガイド下でCVカテを挿入しました。ガイドワイヤーが静脈内を走行していることを確認後、カテーテルを挿入、挿入後良好な血液の逆流を確認し、カテーテル先端が血管内にあるものと判断しました。

 確認のための胸部X線写真は以下の通りです。

 肺の中にカテーテルが!と一瞬思いましたが、気管が胸椎の棘突起より右に写っていることから、やや左前斜位であることが分かります。カテーテルの走行が通常より右側に寄っているのは左前斜位であるためと思われます。ただしただし最初の印象のようにカテーテル迷入の可能性も0ではないと思い、側面像(左→右)を追加しました。筆者は小心者なので・・・。

 右内胸静脈にカテが迷入していれば胸壁付近を走行するはずです。そのような走行はしていないので、右内胸静脈への迷入はないようです。また逆血は良好であり、胸膜を貫通して胸膜腔や肺内にあるということもないでしょう。気胸の所見も見えません。これ以上調べたければCTを撮るしかありませんが、その必要もなさそうです。

 右内頚静脈からのCVカテが迷入する静脈は右鎖骨下静脈、左腕頭静脈、右内胸静脈、奇静脈などがあります1)。右内頚静脈の穿刺は体の前面(腹側)から行うため、ガイドワイヤーやCVカテは背側に向かうので、血管の腹側から分岐する右内胸静脈には向かわないはずですが、血管の蛇行などで腹側に向かう可能性は0ではありません。ガイドワイヤーの先端がJ字になっていれば細い静脈には入りにくいはずですが、これもまた絶対ではありません。

 胸部正面X-Pでは、右内胸静脈への迷入は、カテーテルが上大静脈の右縁より右を走行している場合に疑います。CTを撮れば確実ですが、そこまでしなくても、側面像を撮れば判断できます。右内胸静脈へ迷入していればカテが胸壁を走行しているので一目瞭然です。

 

参考文献

1)中心静脈穿刺ビジュアルガイド 杉本大輔 編 羊土社 

2)必ずうまくいく!PICC末梢挿入型中心静脈カテーテルの挿入テクニックから管理まで 羊土社

3)ポータブル胸部X線写真の読み方 松本純一 編 メディカルサイエンスインターナショナル