「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」(5回目)を観に行きました。


ついにmy楽。なんと2階。

久々にS席2階を引いた…!💦

(いつも前方を用意してくださる事務所なんだけど)

この作品。

今年は人気が出たのか、チケットは外れこそしなかったものの、前方は無くて、だいたい真ん中だった。


今年一番アッパレだと思ったのは松村雄基さん。

昨年は(特に序盤)、ややいっぱいいっぱいな感じがあったのと、生来真面目な方のようで、「狸おやじ」から「良い人」が滲み出ていた。

それが、今年は見事な狸おやじぶり。明らかにステージ上で余裕が生まれ、生き生きとジドラーを生きていた。

その伸びしろに乾杯🥂

どんなにベテランでも、何歳でも、進化することはできるんだ、と勇気をもらった。


そして。

ベイビードールのシュート・チェンさんのハイトーンがいつもステキだった。


2人のサティーン。

それぞれ特徴を出していたと思う。

平原さんはコメディ路線で、客席を何度も笑わせた。

象の中で、セクシーなんだけどオバチャン直前みたいなノリのあーやサティーンを目にして、怯えて数歩、後ずさりする芳雄クリスチャンも面白かった。

平原さんとの対比で、望海さんは悲劇に寄せたように思う。華奢な身体が脆く崩れそうで、儚さがあり、それに合わせてクリスチャンの悲しみがより濃くなった。


「貴方には何も感じない、何も」

公爵の指示通り、クリスチャンの心をズタズタにした後のサティーン。

平原さんは、クリスチャンが去る前(目の前にいるとき)から苦しみが顔に出ていて、去った後に慟哭。号泣して崩れ落ちる。

望海さんは最後までポーカーフェイス。

公爵の手前もあり、苦しみを見せる素振りもできず、ひたすらグッと耐える。

これは…私は、その後の流れ、特に芳雄クリスチャンはCrazy Rollingでサティーンへ憎しみを募らせていくので、望海さんの芝居が正解だと思った(あくまで芳雄クリスチャン相手の場合)。


その後Opening Nightに姿を現したクリスチャンが、劇中劇のフランソワとしてサティーンに呼びかける「マリー?」。

その恐ろしく冷ややかな響きに、ゾッとしてしまった。

芳雄さん、ここまで声で芝居できるなんて、すごいな…。


昨年で好みが固まってしまって、今年はひたすら好みのキャストを追いかけた。

次に再演があったら…観るだろうか?

芳雄さんは、次はさすがにやらないだろうなぁ…。


演出:レックス・ティンバース


【出演】

サティーン:#平原綾香 さん

クリスチャン:#井上芳雄 さん

ハロルド・ ジドラー:#松村雄基 さん

トゥールーズ ロートレック:#上川一哉 さん

デューク(モンロス公爵):#伊礼彼方 さん

サンティアゴ:#中井智彦 さん

ニニ:#加賀楓 さん


先日、Chandelierで舞台機構のトラブルでストップしたと聞いて、今日はその場面転換に注目した。

その日、セットがはけず残った状態で松村雄基さんが「これは警告!」まで言い切ったと聞いて、あらためてビックリ。

タンゴのイントロが流れ続けていたので、止めるわけにはいかなかったのだろう。

本来なら、セットが全てはけ、キャストもクリスチャンとジドラー以外ははけて、下がったセットの裏からニニとサンティアゴが現れ、ジドラーと3人で動き出す。

それを、セットから出られないニニとサンティアゴ無しで1人でイントロの口上を言い切ったということか…。

俳優は、自分で芝居を止めるわけにはいかないから正しいんだけど、やりにくかっただろうな🙄


サティーンのお芝居について、もう少し。

今年、平原さんは翔真くんとペアで稽古をしていたそう。

翔真くんはCrazy Rollingで自分に銃を突き付けているので、憤りはサティーンよりも自分に向けていることを明白にしている。それなら、平原さんの「何も感じない」でクリスチャンに苦悩を見せる芝居は成り立つ。

しかし芳雄さんの流れでは、弾を込めた銃を誰に向けるのか分からないまま進む(しいて言えば、宙に向けている)。

初見の多くの人は、サティーンに向けるのではないか?と想像すると思う。ムーランルージュの舞台で実際に自分に向けるまで、誰を撃つつもりなのか、お客さんに分かるような演技をしていない。

お芝居は相手とその場を生きるもの。

ペアが変わったときに、相手がどう解釈して演じているのか話し合っていないのかな?と思ってしまった。

Crazy Rollingはクリスチャンの見せ場なので、サティーンの平原さんが2人のクリスチャンに合わせて変えてあげたら良かったと思う。

象の中のシーンで芳雄さんが、サティーンに合わせて芝居を変えていたように。


あらためて、芳雄さんは芝居も上手いな、と感じた次第。