GORCH BROTHERS 2.1「MUDLARKS」を観に行きました。

 

「荒んだスタンド・バイ・ミー」という感じ。
Juvenileという言葉がピッタリ。
どんよりとしたグレーの世界。

明日を夢見たり将来を考えることなく、刹那を生きるウエイン。
彼は友達とバカをやっている今が幸せで、それをずっと続けられると思っている。
たぶん、大人になどなりたくないのだと思う。

大人にならなければいけない時期に来たと、気付いているのはチャーリーとジェイク。

しかし、二人の捉え方は違う。

ジェイクは、チャンスを掴んで貧困のループから抜け出し、成功する未来を思い描く。

チャーリーは、今の環境に足を取られ嵌ったまま抜け出せないと考えている。
待ち受けるのは、このまま底辺を這っていく人生だけ。
彼はジェイクにも「お前は何者にもなれない、ここにいるんだ」と言い放つ。
映画「スタンド・バイ・ミー」は、クリスがゴードンに、こんなところで燻っていないで町を出ていくんだ、と諭すが、この作品は真逆だ。

ウエインはジェイクに「一緒に行こう」と言い、ジェイクはそれに笑顔で返すも拒否する。

泥沼のような水辺に朝がやってくる。

⚠️以下はネタバレが含まれます。

朝は来るが、清々しさは無い。

「チャーリーを助けなきゃ、置いていけない」と言っていたウエイン。
しかし結局彼を見捨ててしまう。

ジェイクはウエインに、自分のために罪をかぶってほしいと頼む。
一人、前途洋々な未来を歩こうとするが、掴みかけたチャンスがすり抜けて行くのを悟り、身を投げる。

ウエイン。
親から捨てられたうえに、友を失った現実が待っている。
電気も止められ、食料も無く、幼い弟が泣いている家に帰らなければならない。

3人とも全く幸せにならない…。
苦しさが残るエンディング。


今日はアフタートークがあり、ゲストはサイモン・スティーヴンスさん(リモート出演)。
ファンキーで明るく熱いオジサマだった。
彼の言葉には、希望や光が常にある。
 ・リモートで繋がることが出来る時代だからこそ、劇場に人が集まり、同じ空間で演劇を観ることに意味がある。
 ・I like people.
 ・世界が苦しい状況でもoptimisticであることだ。
 ・pandemicはこれからも続いてやって来るだろうし、戦争は無くならない。そんな状況でも、世界は良くなるのだと信じて物語を綴る。
 ・人はどこまでも想像することが出来る。

と、いうことは…?
この作品は、終始暗いテイストで進んでいく。
でも言いたいのは、苦しみや人の哀しさではなく、その向こうにある一筋の光を想像することなのかもしれない。

つまり、残ったウエインに光を見出すことが大切なのかなと思う。

作:ヴィッキー・ドノヒュー
翻訳:#髙田曜子 さん
演出:#川名幸宏 さん
出演:#玉置玲央 さん #永島敬三 さん #田中穂先 さん

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