舞台「建築家とアッシリア皇帝」(2回目)を観に行きました。

 

二人の役者が、地面を転がり、走り、登り、飛び、叫び、歌う。
演劇の基本と原点を観たと思った。
これが芝居ってヤツだな、と。

作品は、ひとことで言えば「剥き出しで猥雑な世界」
冒頭は「時計じかけのオレンジ」みたいな雰囲気。

〈衝撃的だった芝居〉
岡本さん:
建築家が出て行った後のモノローグと、第2幕の証言者たちの演じ分け。

その、モノローグ。
十字の枝に服を着せて皇帝を作り、それまで自分が演じていた皇帝に見立てて、自分はかつての自分自身を演じ始める。
オマルにまたがって踏ん張り続け、「最近便秘気味なんです…」と、うなだれたと思ったら、しばしの間…(その表情!)
そして、オマルに座ったまま、恋した女性について語り出す。
パンツ🩲、ガーターベルト、網タイツ、ピンヒール👠を身に着け、ヒールを脱ぎ捨てると、修道女の服を着る。
修道女は妊婦。産んだのは地球🌍(地球儀)。

成河さん:
「もぅー、いかせてちょーだいー!!」と絶叫して、皇帝のお尻に顔を突っ込む😮

椅子を女性に見立てて絡み合った後、「かってーな」とひと言(椅子ですから!🤣)

「全部食べるんだ」と言われた後の、不敵な笑み。

脳みそをすする表情!怖い感じは無く、エナジードリンク飲んでるみたいなパワーチャージふう🤣

山をどかす顔。
人が山を動かす時ってこんな顔をするんだなぁ…と思った。逆に、こんな顔をすれば山を動かせる、と成河さんは考えたのかなとも思う。

ぶたなかった皇帝に腹を立てて姿を消した後、地面から出てきた時のドヤ顔がカワイイ。

〈岡本さんが演じたもの〉
皇帝、馬、象、猿、牛、島に来る前の皇帝、修道女と神父と医者、皇帝の母、皇帝の妻、皇帝の弟、パチンコを邪魔した酔っ払い、母親の友達など。
これだけのものを演るのもスゴイが、皇帝と「皇帝が演じる○○」では芝居が違う😮
象が秀逸。「私たちが考える象のイメージ」を表現している!と思った。

〈成河さんが演じたもの〉
建築家、皇帝の奴隷、島に現れた想像の女性、猿、犬(ジャーマンシェパードのブロンディ)、裁判官、皇帝など。
皇帝から手下のように見られながらも、その実、彼を翻弄する本質を秘めた建築家を演じていた。さすが舞台の基礎を積んでいるだけあり、身体表現は見事!
独りになった後(建築家にしてみれば以前に戻った後)の変化に戸惑う姿も良かった。

「愛してるよ」「友達だよ」
建築家は、皇帝が街の生活で得られなかった言葉を甘美にささやく。
これは喜んで良いのか、疑うべきなのか?

ラストで太陽に目が出現。
皇帝は「上(天)から見られている」と言っていた。
全ては天のコントロールにあり、人には抗い切れない宿命があるということか?

作品の解釈に正解は無いのだそう。
ただ、ヒントになる言葉は残されているらしい。
私が耳に残ったワードは、初見のときと同じ「孤独」
皇帝「独りにしないでくれ」
建築家「後悔している。孤独だ。聖人なんだろ?奇蹟を見せて…」

建築家「教えてくれ、どうやったら幸せになれる?」
皇帝はこれに答えなかった。

⚠️以下はネタバレが有ります。


 


幕間に起きる出来事は…成河さんの片付けタイム🤭
「あ"ー!」って言いながら葉っぱの束や散乱した紙を片付け、第2幕のセッティング。
遅れて戻って来たお客さんを見て「え!😮まだ着席してなかった?」みたいな顔をしてた😆

建築家が皇帝を殺して独りになると、自然や動物の反応が遅くなった(まだ操れた)。
皇帝を吸収すると、彼らは無反応に…。
文明は自然をコントロールしているようで、そっぽを向かれているということか。

天へとそびえる樹が、なんだか仁王立ちする人に見えた。
皇帝が「一緒にバベルの塔を作る」と言っていた。この島の、二人の、バベルの塔はこれか?

前回は下手側、今回は上手側と、2枚取れたチケットが良いバランスだった🥹

作:フェルナンド・アラバール
翻訳:#田ノ口誠悟 さん
上演台本・演出:#生田みゆき さん

出演:#岡本健一 さん #成河 さん

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