舞台「4000マイルズ〜旅立ちの時〜」を観に行きました。

 

全員芝居上手なんだけど、やっぱり高畑さんが良い。
お婆ちゃんの「よっこらしょ」感が上手い(口にするわけではない)。
岡本圭人くんは、セリフがとっても聞き取りやすかった。

この作品は暗転が多く、暗転のたびに緞帳が降りてけっこうゆっくり間をとる。
場面のほぼ全てがヴェラの家。
(第2幕2場で一度だけセットが変わり、屋外になる)

主人公レオが祖母ヴェラの家で過ごした1ヶ月の物語。

⚠️以下はストーリーの内容に触れています。



第1幕はゆっくり進む。
レオは最初から何かから逃げるような精神状態。
彼の逃げたい現実は何だろうか?気になる。

友人4人で行くはずだった自転車の旅。
レオの彼女は現れず、一人が怪我で離脱、最終的にレオと親友マイカの二人旅になる。どういう経緯か、マイカは旅の途中で亡くなっている。

第2幕で、レオは心に刺さったトゲ(マイカの死)をヴェラに語るのだが、補聴器を忘れた彼女はあまり聞こえていなかった(このオチは要るのか?)。
それでも、ヴェラは傷付いた孫を優しく抱きしめる。

話の中で、ヴェラとレオに血の繋がりが無いことがわかってくる。レオの母親はヴェラの再婚相手の連れ子。
たぶん、アメリカでは珍しいわけじゃなく、あっちのクリスマスカード売り場には「Parents (両親)」向けと「Dad & his wife (パパと奥さん)」向けが既製品で存在していたのを思い出した。

ヴェラは、レオと過ごす日々の中で夫を亡くした喪失から前を向くが、「80代の会」で毎月食事をしていた仲間の、最後の一人を見送る。
次々とやって来る喪失を受け入れながら生きている。

レオが就職すると聞いて、ヴェラはパッと顔を輝かせる(このときの高畑さんの表情がホントに嬉しそう)。
しかし、それが遠く離れたコロラドでの仕事と知り、また独りの暮らしに戻ることを悟る。
「大丈夫、これまでも一人でやってきたのだから…」
弱々しくつぶやく(自分に言い聞かせているのだろう)。

最後に、スピーチの内容を二人で考えながら、だんだんとレオの声は生き生きと、ヴェラの声は力強くなっていく。

"大丈夫。
二人は、きっと大丈夫。"
ささやかで優しい、そんなラストだった。

作:エイミー・ハーツォグ
翻訳:#小田島恒志 さん #小田島則子 さん
演出:#上村聡史 さん

【出演】
レオ:#岡本圭人 さん
ベック:#森川葵 さん
アマンダ:#瀬戸さおり さん
ヴェラ:#高畑淳子 さん

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