映画「水平線」舞台挨拶付き上映に行きました。
登壇者の清水優さんがXで呼びかけていたので行くことに。
最初に映画上映。その後にトークイベント。
冒頭、船の上でトランクボックスを開けると、ビニール袋に小分けされた白いものがいくつも入っている。
闇の取引でもするのかと思ってしまったが、反社の話ではなく、普通の人々のお話。
海洋散骨って、灰を振り撒くのではなくて、袋のまま海に入れるのか…。
ジャーナリストは正義なのだろうが、ベクトルがおかしな方に向いてしまうと「ナントカ警察」みたいになるんだな…。
東京から来た人間が、被災者に向かって「被災者を代弁する」とは、ずいぶん滑稽だ。
⚠️以下はネタバレが含まれます。
海洋散骨業者・井口のもとに犯罪者の遺骨が持ち込まれたことで巻き起こる不協和音。
ジャーナリストに焚きつけられた被害者遺族を巻き込み、騒動に発展する。
遺族からは、海を見ると思い出してツライからと、散骨をやめるように言われる。
「ではどうしたら?」と井口が問うと、「トイレにでも流したらいい。私に関係ありますか?」という答え。
依頼を受けただけの散骨業者はもっと関係ないだろうよ…。
それに、トイレに流したらいずれ海に辿り着くよね?と思ったら、井口が同じ反論をしていた。
遺骨を持ち込んだ弟に返そうとするが、土壇場で引き返す。
遺骨は行場を失うし、弟を苦しめるだけだと気付いたから。
自分の娘にも責められるのはツライ。親父の言い分も聞いてやろうよ…。
だが彼女も、亡き母の代わりに父親を支えようと必死だったことが分かる。
けれど親としては、家に縛られず娘のやりたいように生きてほしいと願っていた。少しずつ胸の内を明かし合い、それぞれが前を向いて、新しい朝を生きていく。
前向きな結末だった。
タイトルの「水平線」は、井口の言葉。
「死んだらみんな星になって、朝になると水平線へ向かって千鳥足で帰っていく。夜を待ちながら…。」
死んだ魂は、みんな平等だと言いたいのだろうと思った。
上映後、アフタートーク。
登壇者は、小林且弥監督、押田岳さん、清水優さん、大堀こういちさん、遊屋慎太郎さん。
小林監督、イケメンさんだなと思ったら俳優だそうで。
本作が映画初監督。
以下はトークのメモ。
キャスティングは、オファーとオーディション。
大掘さんはピエール瀧さんと旧知だとは知らずにオファーしたが、井口の友人で理解者という設定にピッタリだった。
遊屋さんはオーディション。
「松山は、兄が犯罪者だから身バレすると生きづらい。だから、目立たないように、印象に残らないように生きて来ただろうと考えて、井口を訪ねるシーンもそのことを意識して演じた」そう。
清水さんは監督とは「腐れ縁」。
監督が映画企画の話をしたら「出せ!」と。
オーディションの場にもいたし、栗林さんの芝居の相手もした。
撮影は3年前。12日間のオールロケで実施。
前半3日間、後半9日間に分かれて行われた。
スナックのシーンが初日。
ピエール瀧さんは、午前8時に「勝手にシンドバッド」を熱唱した。
福島の方言は、60代以上の人だと何を言っているかわからないくらい。そのままだとお客さんに伝わらないので、セリフは標準語に寄せた。
渡辺哲さんだけは、地元の人に発音してもらったアクセントをそのままにやってもらった。
作中で、井口のことを「シャコ野郎」と罵る。
これは脚本にあったもの。
シャコが悪口になるとは意外だが、シャコは骨を養分にして生きているという話があって、散骨業者を揶揄して言っている。
井口の家は制作部の方の実家。
家は高台で、映画の中でもあったとおり、海が見渡せる。しかし、震災前は海との間に松林があって、海は見えなかった。
すぐ下まで津波が来て松林が流された結果、見えるようになったのだと、その家のお婆さんが話してくれた。
「これから新しい景色が出来ていくんだよ」と。
このお婆さんの言葉は、なかなかの哲学だと思う。救われるような、爽やかな気持ちになった。
失ったものも多いが、新しい景色が出来ていくことは、再生の証だと思う。
以前の松林を忘れたくない人も、もちろんいるだろう。
忘れたい人と、忘れたくない人と、それぞれのかたちで前を向いていけたら良いだろうな、と思う。
トークの最後は、撮影タイム。
監督:#小林且弥 さん
脚本:#齋藤孝 さん
出演:#ピエール瀧 さん #栗林藍希 さん #足立智充 さん #内田慈 さん #押田岳 さん
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