「インヘリタンス-継承-」(前篇 4回目)を観に行きました。


今日はお客さんの笑いが多かった。

本を小道具として使うのが面白い。

スマホ、小切手、ボトル、グラス、タオル、メモ帳、シェーカー。


残りは後篇しか観ないので、総まとめを書いておく。


⚠️以下はネタバレを含みます。



 

第1部(前篇)

メッシュの緞帳にコンスタンディノス・カヴァフィスの詩が投影されている。

客電は点いたまま。

新原泰佑くんが、客席上手後ろのドアから入ってきて、ゆっくりとステージに進む。


「いっそのこと、トビーの留守電から始めよう。彼氏宛ての」


ハンプトンから逃げ帰ってきたトビーに、エリックは出かけようと誘う。

「ねぇ、一緒に行かない?」

トビーの股間に向かって言っている😆


アダムがエリックの家を訪れるシーン。

ラヴェルの曲について印象を語る。

それは、そのままトビーの人生を暗示していた。

第2楽章は、叶わぬ愛。燃やし尽くす。


下手の机付近にいるモーガンが、ずっと小芝居をしている。

中央の芝居を見がちだけど、注目して見ていると面白い。


エリックは、プロポーズした日に家の退去についてトビーに言わなかったのはなぜだろう?

「他の考え」とは?

言おうとしかけていたけど、機会を失っただけなのかなと思ってた…。


ウォルターの遺言を燃やすとき、ライターがなかなかつかなくて、ハラハラした。


第2幕も客電がついたままスタート。

シカゴのクラブ。


福士誠治さんが急ぎ気味に客席通路を歩いて、ステージに上がる。


「最愛の少年」のシカゴ公演。

演出家と主演俳優が絶賛され、作家のトビーはさほど評価されなかった。

自信を持っていたトビーの挫折。

ここから、トビーの人生は少しずつ破滅へと向かう。


「僕が何に一番傷付いているか分かる?僕のこと、愛したことある?」

「あるよ」

トビーは初めて、愛していることが伝わっていなかったと悟る。


他人を手玉に取り、征服する力を自覚したアダム。

思ったより簡単にトビーを支配した。

全裸で誘惑する(シースルーカーテン越しに、目立たない色のTバック1枚なのが分かる)。

トドメに、プラハのハッテンサウナの体験を話す。トビーが聞きながら自慰にふけるのを見て、勝利を確信する。

この時点で変わってしまった。

人は力を手に入れると変わってしまう。


自己評価が高いトビーとは反対に「自分を過小評価している」と言われ続けるエリック。

中流階級の出身でイェール大学を出た秀才なのに、自分は何もなし得ないと思っている。

ヘンリーは、正しい評価を気付かせようとする存在だった。


ヘンリーとともにウォルターの家に到着する。

「外へ出て良い?探検したいんだ」


かつてここで死んでいった亡霊たちが迎える。

「おかえり、エリック」

(了)


キャストみんなちょっとずつセリフを間違えたけど、それが気にならないくらいの熱演だった。


劇中歌が気になって、調べた。

大統領選の日。ヒラリーが敗北した夜にかかっていた曲は "Get Happy / Happy Days Are Here Again" (Judy Garland and Barbra Streisand)。


作:マシュー・ロペス

(E・M・フォースターの小説「ハワーズ・エンド」に着想を得る)


演出∶#熊林弘高 さん


出演∶#福士誠治 さん #田中俊介 さん #新原泰佑 さん #柾木玲弥 さん #百瀬朔 さん #野村祐希 さん #佐藤峻輔 さん #久具巨林 さん #山本直寛 さん #山森大輔 さん #岩瀬亮 さん #篠井英介 さん #山路和弘 さん #麻実れい さん(後篇のみ)


#インヘリタンス

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#観劇記録