「インヘリタンス-継承-」(前篇、3回目)を観に行きました。


今日も2階席は閉鎖。

2階のチケットを持っている人は1階へ振り替え(階段にロープがあって、張り紙が出ている)。

1階席は、後方の下手ブロックの一角がごそっと空いていた。


冒頭の詩はコンスタンディノス・カヴァフィス。

初めて聞いた名。彼も同性愛者。

おんなじように、初めて聞いた名は他にもある。

ハーヴェイ・ミルク。

彼をテーマにした映画が2本もあった。どちらも観たことはなくて、初日観た後にだいぶ調べた。

全てが理不尽…。


⚠️以下はネタバレが含まれます。




第1幕オープニングは、新原泰佑くんが客席通路を歩いて登場する。

第2幕オープニングは、福士誠治さんが客席を歩いて登場する。

シンクロしていて面白い。


エリックの友人たちのシーンでは、トリスタンがハグする相手にあぶれて、自分で背中に手を回してて面白かった。


継承。

ゲイが今よりも生きづらかった頃、存在を主張するためにあった、コミュニティやシンボリックな文化。

そんな特別な主張無しで生きていけるようになったとしても、エリックはかつてあったものを継承していきたいと言う。


今はストレートの女の子が言う「Yas queen」も、ゲイの人たちの文化だったが、垣根は無くなり、由来も分からず使われる。

それが良いことなのか、悪いことなのかは意見が分かれる。


エリックはユダヤ人。

祖母はホロコーストの経験者。

彼自身には生まれた時から安心できる「家」があり、生命の危険を感じることがなくても、ホロコーストの話は継承していくものだと考えている。


ウォルターは、おそらくそれを聞いた時、彼に田舎の家を引き継いでもらおうと考えたのかな、と思う。


しかし、ヘンリーがエリックに渡したものはデカンタ。

それ自体は、ウォルターの祖母のものであり、価値ある形見分けだと思う。

ヘンリーにとって、田舎の家はビジネスの不動産の一つだった。そしてそれを継承するのは、息子たちだ。


アダム。

上品な振る舞いをしたかと思えば、したたかな本音がチラリ…。

トビーを誘惑して支配し、征服すると放り出す。狡猾さが恐ろしい。

キレイな薔薇には棘があるってやつか…🌹

そして、自分に他人を征服する力があることを自覚した。

後篇でエリックは彼と再会したとき、きっと、彼の変化に気付いてしまったのだと思う。


しかし前篇のトビーって、普通に嫌なヤツだよな…。


「家」が象徴的だ。

祖母から引き継いだエリックの家、かつ、トビーにとって初めての安心できた家。

ウォルターが持っていた田舎の家。

ヘンリーのビジネスである家(不動産)。

成功の代名詞である高級住宅街…。


前篇終演時、ヘンリーは客席にいる。


カーテンコールで立つ人がいなかったのは、前篇だから?🤔


昨日「若者たちの中で一人だけ脱がない」説を聞いて、今日じっくり見た。

ホントだ。佐藤さんかな?シャツはだけるだけで脱がない。

そこに演出上の意味があるのかな?と考えたけど、よく分からなかった。

誰か一人脱がない人がいても良いかな、くらいなのかも。


作:マシュー・ロペス

(E・M・フォースターの小説「ハワーズ・エンド」に着想を得る)


演出∶#熊林弘高 さん


出演∶#福士誠治 さん #田中俊介 さん #新原泰佑 さん #柾木玲弥 さん #百瀬朔 さん #野村祐希 さん #佐藤峻輔 さん #久具巨林 さん #山本直寛 さん #山森大輔 さん #岩瀬亮 さん #篠井英介 さん #山路和弘 さん #麻実れい さん(後篇のみ)


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