「インヘリタンス-継承-」(後篇)を観に行きました。
ステージ下の客席の床に本が置かれている📚
2冊ずつ7ヶ所に分けて…。
これらは、本屋のシーンの小道具だった。
最前列のB列は、第二部でも演出で使われた。
みんな長台詞が多い。
前篇でものすごいセリフ量だった田中俊介さんは、後篇ではしばらく舞台からはけるタイミングがあって、多少はラクになったかも…?
篠井英介さんも、前篇は出ずっぱりだったが最後に物語から抜けるので、後篇はややセリフが減った感じ。
⚠️以下はストーリーに触れています。
後篇。
田舎の家に着いたところから始まる。
ウォルターとの思い出の家のはずが、ヘンリーは「二度と来ないだろう」と、振り返りもせず去っていく。
トビー。
彼の人生は「孤独」がつきまとう。
貧困家庭で育ち、高等教育は受けられず、自力で這い上がったという自負がある。
「持てる者」に対する妬みがあり、それが彼のコンプレックスでもあるようだ。
そのせいで売れない時代を支えたエリックを簡単に捨ててしまう。
成功者のあるあるかなぁ🙄糟糠の妻を捨てるという…。
エリックを捨てたことで、友人もトビーから離れていく。
トビーは自己愛が強い人に見えるが、愛されて育っていないから、愛を信じられないのだと思う。
失って初めて大切なものに気付くことや、あのときこうしていればと思うことは、誰にでもあるはず。
昨夜「あのとき告っていたらどうなった?!」っていうTV番組がやっていたのを思い出した。
人生の分岐点。
「今朝に戻りたい、エリックと別れた日に戻れたら」と泣くトビー。
その側にはレオがいるのに。ここにきてもなお、大切なものに気付かないなんて…。
ヘンリーは、パートナーのエリックとは性的関係は持たず、男娼を呼んでいた。
自分は大事にされていないのでは?と感じるエリックだが、後に理由が分かる。
ヘンリーは、HIV感染が死を意味した時代を生き抜いており、大切な人ほどそういう関係になれなかった。
自分や相手に、死をもたらすものだと感じてしまうから。
HIVの説明のとき、T細胞を鬼殺隊に例えていた。
「柱やってきた」😳
トビーのエージェントがスポーツトレーナーを紹介するシーンの、ボディビルが面白かった。
レオはHIVウイルスの感染を「継承」と呼んだ。
誰かから引き継いだのに、助けてくれる誰かはいない。
トランプ政権誕生は、ゲイのコミュニティにとって、自由や権利からの後退だったことは想像できるが、トリスタンがカナダへの移住を決意するほどの衝撃だったとは…。
そういえば彼は「自分が払う税金は自分の望む使い方をしたい。壁なんかに使われたくない」と言っていた。
(※後日追記∶言ったのはジェイソンでした)
そしてヘンリーは、その壁を作る資金を提供していた一人になるわけで…。
仲間が反発するわけだ。
政治に絶望する人は、今の日本にも大勢いる。
劇中で「社会を変えるのは社会運動か、資本主義の利益か」という議論があった。
日本には、今どちらも無い気がする、と思った。
「許してほしい」
トビーも、ヘンリーも、愛した人に許しを請う。なんて切ないのだろう。
トビーは、エリックが放った言葉通り「両親のように孤独に死ぬ」。エリックは、なんという呪いをかけてしまったのか…。
対して、ウォルターはヘンリーに「生きて」と言う。
ラスト。
ステージの上に並んだ靴が、ここで眠る死者の影に見えた。
作:マシュー・ロペス
(E・M・フォースターの小説「ハワーズ・エンド」に着想を得る)
演出∶#熊林弘高 さん
出演∶#福士誠治 さん #田中俊介 さん #新原泰佑 さん #柾木玲弥 さん #百瀬朔 さん #野村祐希 さん #佐藤峻輔 さん #久具巨林 さん #山本直寛 さん #山森大輔 さん #岩瀬亮 さん #篠井英介 さん #山路和弘 さん #麻実れい さん(後篇のみ)
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