【𝟐𝟎𝟐𝟑.𝟒.𝟐𝟗 昼公演、夜公演】

「エンジェルス・イン・アメリカ」を観に行きました。


<第一部>「ミレニアム迫る」
<第二部>「ペレストロイカ」

第一部と第二部は別日に観ても良いし、マチソワがある日は同日にイッキ見しても良い。
私は同日にした。
上演時間は約3時間半+約4時間、各部は休憩2回を挟む3幕構成という超大作。長かった…💦

ジョー、ルイス、ロイの物語が同時進行する。
彼らは皆、同性愛者。
ルイスはパートナーが、ロイは自身が、HIVに罹患する。

現実に起こる出来事と、プライアー、ロイ、ジョーの妻ハーパーの3人が見る幻が絡んで話が進む。

同性愛者のカミングアウトや生死のストーリーと、宗教やアメリカ政治が絡む。
アメリカ社会についての知識が無いと、分かりづらい部分はあると思う。
翻訳が難しい脚本だと思うが、冗談を言うシーンも「笑っちゃうわよ、薬なだけに『クスリ』」など、上手いこと日本語にしていた印象。
「共和党員」は、ドナルド・トランプのお陰でイメージしやすくなった。「繊細な共和党員」というジョークで笑いが起きていた。

両方とも、冒頭にロングスピーチ。
いずれも老爺だが、演じるのは那須佐代子さん。

ステージ上に大きなセットは無く、家具やドア等が設置されてシーンが展開する。

<第一部>
雷鳴の中、天使が現れて始まる。

第3幕でロイが、かつて電気椅子に送ったエセル・ローゼンバーグの幻に向かって語るモノローグ。
ここの山西さんが素晴らしい👏👏

その直後、山西さんはプライアーの先祖になってコメディタッチで出てくる。
切り替えにビックリ。
山西さんと言えば「相棒」の角田課長だけど、舞台もとても良かった。

ルイスはユダヤ教徒、ジョーはモルモン教徒。
冒頭に登場する、ユダヤ教のラビが哲学的で面白い。
「残念、懺悔するのはカトリック(ユダヤ教は罪を背負う)」

プライアーの幻影で、炎がぼわっと出るシーンが、手品みたいで面白かった。

プライアーの前に、預言を伝えるために天使が現れたところで第一部は終了。

<第二部>
座席は第一部より前方。

ロイが見る幻影はロイにしか見えないが、ハーパーやプライアーが見る幻は、他の人とも共有するので、ちょっとややこしい。

モルモン教のビジターセンターで、ジオラマの人形家族の母に扮した水夏希さんの動きが、ロボットみたいで再現度高かった。
人形の母は、ジオラマを抜け出し、家族を捨てて去ってしまう。
え?と思ったけど、これはハーパーの未来を暗示していたのかなと思う。

オーボエ、マジで吹いてた。

プライアーの夢に出てきた天使たちは「これから未来に良いことは起こらない」と困難を予言し、楽になれと迫る。
しかしプライアーは「祝福を受けたい。僕はまだ30なんだ、生きたい」と突き返す。

しかし予言どおり、今この時も疫病や戦争で人類は命の危機に晒されている。
だからこそ、プライアーの最後の言葉「大いなる祝福を送ります。もっと生きろ!」に、この作品を今上演する意味を感じた。

ラスト。
モルモン教徒、ユダヤ人、黒人、ゲイの若者が仲良く談議している姿が、違う価値観を持つ人々が共存できる未来を表していたと思う。

"大切なものを手放すことが自由への突破口になることがある。"

作:トニー・クシュナー
翻訳:#小田島創志 さん
演出:#上村聡史 さん

出演:#浅野雅博 さん #岩永達也 さん #長村航希 さん #坂本慶介 さん #鈴木杏 さん #那須佐代子 さん #水夏希 さん #山西惇 さん

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#観劇記録

 

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