【2023.4.4 夜公演】

舞台「ブレイキング・ザ・コード」を観に行きました。


主演の亀田さんをはじめ、上手い役者が揃っていて、じっくり物語の世界に入り込んだ。

第二次世界大戦中にドイツの暗号「エニグマ」を解読した数学者、アラン・チューリングの生涯を描く。

Breaking the code
暗号(code)を解いた後の人生がメインストーリーなのに、なぜこのタイトルなのか。
もしや?と思って調べると…codeには「法令」の意味もあった。

アランが自宅に空き巣が入ったと通報し、警察に事情を聞かれる。
しかし、そこから別の犯罪の取り調べを受けることになる。被疑者として。
それが「同性愛」。
当時のイギリスでは単なる性的指向ではなく、違法行為(breaking the code)だった…。

清潔感が無く、神経質そうな数学者アラン。
ずっと爪を噛んでて、正直、こういう人が同僚にいたら嫌…🫣
学者にありがちな、超ロジカルなやり取りは、ときに客席から笑いが起こる。

数学は明確な答えを導き出す学問のようで、実際は正解と間違いを分けることはできない、と言う。
「答えが出せない」という解が有り得る。
そして、アランが答えを出せなかったものが「人の心とは何か」だったのかな、と思う。

エニグマを解いたのは、今で言うコンピュータープログラムのロジック。
それが進化するとAIになる、との論理を見出していた。
やがては、感情や味覚も認識するだろう、と。

⚠️以下は、史実なので知ってる人もいると思いますが、ラストにかかわる内容です。


最後の「魔法の秘薬を浸けよう、死の眠りが染み込むように…」は、実際にアランが言った言葉だったようだ。

「クリスの心は、身体が無くても存在するのか?」
毒リンゴをかじったのは、白雪姫の模倣ではなく、身体を無くした心の行方を、身をもって知りたかったからではないかと思った。
アランの母が「実験中の事故だ」と言ったが、まさに、実験をしてみたのかもしれない…。
(ギリシャでエニグマ解読のプロセスを語ったシーンの後だったため、一瞬「消された?」と思ってしまった💦)

なお、同性愛を違法とするcodeが無くなるのは1967年。
イングランドとウェールズで、21歳以上の男性同士の同性愛行為を合法化した。

開演前のステージ奥には、テーブル、机+椅子、ソファ、本棚、電話台、コートハンガーが並べられている。
これらを、キャストがステージ中央にセッティングしてスタートする。
大きなセットは無く、この家具のみ。

天井には、蛍光灯みたいな棒ライト。3×3の9個が並んでぶら下がっている。

左右の舞台袖は無く、奈落へ続く階段があり、そこから出入り。
昨年観た「凪げ、いきのこりら」でもこの仕掛けが使われていた。
あとは、ステージ後方も左右にはける導線があった。

作:ヒュー・ホワイトモア
演出:#稲葉賀恵 さん
翻訳:#小田島創志 さん
音楽:#阿部海太郎 さん

【出演】
アラン・チューリング:#亀田佳明 さん
ロン・ミラー:#水田航生 さん
パット・グリーン:#岡本玲 さん
ディルウィン・ノックス:#加藤敬二 さん
クリストファー・モーコム:#田中亨 さん
ジョン・スミス:#中村まこと さん
サラ・チューリング:#保坂知寿 さん
ミック・ロス:#堀部圭亮 さん

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