【2023.11.14 夜公演】

舞台「無駄な抵抗」を観に行きました。


「イキウメ」以外で観る前川さんの作品。
どこか幻想的な雰囲気で、小学校の同級生同士の会話なのに、おとぎ話を語っているよう…。

「オイディプス王」がベースとは聞いていたけれど、終盤はミステリー小説のような展開だった。
前半に散りばめられていた伏線が、どんどん回収されていき、ラストは「そうきたか!」となる。
面白かった。

開場して入ると、ステージにはコロッセオみたいな、すり鉢状(の半分)の公園がある。
一番低い位置の広場には、円筒形の石の椅子みたいなオブジェ7つ。

大道芸人役の浜田信也さんが、ときにストーリーテラーになって進行する。
手前の広場での会話に合わせて、後ろで何かをやっていることがあり、それが面白かった。
芽衣と桜が最初にカウンセリングを開始した時、後ろで「心臓を捧げよ」のポーズしてるなーと思ったら、芽衣が「進撃の巨人の壁みたいな壁があって…」と言い出したのは笑った。
芸が細かい🤣

芽衣が、家族に暴力をふるう父親を殺したいと思った日。
学校で、桜から目を見て「人を殺す」と言われた。
それを「あなたの予言」だと思った芽衣。
それ以降、誰かを殺さないよう、人と深入りせず、予言に縛られて生きてきた。
「人」を殺す、ことがないように。
予言を現実にしないように。

一つずつピースが嵌っていく。
「すごいでしょう、私。ずっと抗い続けてきたのよ」
…それは「無駄な抵抗」なのか?

「予言は『父を殺す』だったわね?」
ああ、今までの芽衣の抗いは、やはり「無駄な抵抗」だったのだ。

運命に抗う人は芽衣の他にもいる。
親から捨てられ、施設で育った二人。
電車が止まらない駅を諦めないカフェ店主(この人の抗いは「テロですけど」と前川さん)。
彼らには、現代の社会問題を投影しているように感じた。

ただ、ラストには希望を感じる。
芽衣は、自ら運命を変えるために動くのだ。
「叔父さんを訴える」
キャスト皆の座っている光景がキレイだった。

池谷のぶえさんが素晴らしかった。
苦悩に満ちた表情で、芽衣と対峙する松雪泰子さんも良かった。


今日はポストトークがあった。
登壇者は白井晃さんと前川知大さん。

前川さんのお話。
テーマの一つは「運命論」。
ギリシャで見た円形劇場を使いたいと思った。
キャストをそこにいる人として登場させたり、コロスとなって観客と同じように観ていたり、観客を繋ぐ役割をさせたかった。
キャストは、この場ではどういう存在なのかを確認しながら作っていった。
コロスを演るので、本来は俳優は先の展開を知らないテイで演じるものだが、先を知っている様子を見せて演じた。
彼らの運命は、半分は自らの選択の結果でもあるし、半分は責任がないものだ。

作・演出:#前川知大 さん

出演:#池谷のぶえ さん #渡邊圭祐 さん #安井順平 さん #浜田信也 さん #穂志もえか さん #清水葉月 さん #盛隆二 さん #森下創 さん #大窪人衛 さん #松雪泰子 さん

#無駄な抵抗
#舞台観劇
#観劇記録