手術を終えて2回目の夜。
傷口、処置をした場所が痛くて中々寝付けず、痛み止めの点滴を入れて貰った。
俺の身体頑張れ、俺の身体頑張れ。
一人ベッドで何度も呟いた。
僕のベッドの向かい側には、先に僕と同じ病気で同じような手術をした年配の男性が入院していた。
手術日は僕が入院した日の前日だったらしい。
僕の入院の支度を横目に見ながら、必死なリハビリを開始していた。
とても辛そうだったが、日に日に良くなる姿に勇気付けられた。
僕の手術日の前日、洗面室で顔を洗っていると、それまで言葉を交わしていなかったその人が声を掛けて来てくれた。
「明日なんだってね。大丈夫だよ。目が覚めたら終わってるから。」
手術を終えた後、僕に声を掛けてはこなかったけど、その人が今日、退院の日を迎えた。ご家族とベッド周りを片付ける声が聴こえる。
確かに、過ぎてしまえばあっという間だ。
そして、病室を出る間際、僕のベッドのカーテンを開けてくれた。
「これ、テレビカード、余ってるからあげるよ。先に出るけど君も元気でね」
と。
ぶっきらぼうだけど、優しい言葉に何だか、それまで抑えていたものが溢れてしまった。
言葉に詰まってしまったけど、心からのお礼と「どうぞお元気で」と声を掛けさせてもらい、一人になってベッドの上で泣いた。
早く、良くなりたい。
頑張る。