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 出勤前に歯を磨こうと思い、洗面台の前に立ちました。

 目の前にはコップと歯ブラシがあります。

 (これは・・・何?)

 歯ブラシにとても違和感を覚えたのです。
 自分の歯ブラシではないような・・・。
 歯ブラシをじぃーっと見つめますが、消えない違和感。

 私:「ねぇ、お母さん、この歯ブラシ誰の?」

 母のもとへ駆け寄ります。

 母:「あんたのだよ。何言ってるの?」

 私:「私の・・・?」

 母:「お母さんの歯ブラシは柄が黒であんたの歯ブラシは柄が白だよ。だからそれはあんたのだよ。」

 私:「私のなんだ・・・。」

 私が手に持っていたのは柄が白い歯ブラシです。
 歯ブラシを新しくしたわけではなく、おそらく昨日まで使っていた歯ブラシ。しかし、それを認識出来ません。

 (これは私の歯ブラシ。これで歯を磨けばよい。)

 そう思うのですが、その歯ブラシで歯を磨くことに抵抗感があり、歯磨き粉をつけることすら出来ません。

 歯ブラシを見つめながら立ちつくします。
(歯を磨きたい。でも動けない。)

 歯を磨こうとする自分、その歯ブラシで歯を磨くことを拒否して体が動かない自分。相反する気持ちと体、だんだんと気持ち悪くなってきました。
 そんなことをしているうちに会社に行く時間が近づいていることに気づきました。
 (あっ、遅刻する。もうダメだ。)

 私は手に持っていた歯ブラシを捨て、入院用に買ってあった新しい歯ブラシをおろして使うことにしました。
 新しい歯ブラシは何の抵抗もなく使うことが出来ました。

 会社にも遅刻はしませんでした。


 こんなことは初めてでとても戸惑っています。
 一体何だったのだろう?
 これも物忘れなのだろうか?
 自分のものを認識出来なくなったのだろうか?
 
 考えても答えを出せずにいます。