先月の話で恐縮ですが、新橋演舞場にて、錦秋十月大歌舞伎を昼夜通しで見てまいりました。
まずは絵看板紹介。
↓「連獅子」と「加賀鳶」
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新橋演舞場
錦秋十月大歌舞伎
平成22年10月2日(土)~26日(火)
10月11日(祝)昼の部
一、頼朝の死
源頼家 梅 玉
尼御台所政子 魁 春
畠山重保 錦之助
小周防 孝太郎
別当定海 男女蔵
別当慈円坊祐玄 亀 鶴
音羽 歌 江
藤沢清親 市 蔵
榛谷重朝 門之助
中野五郎 右之助
小笠原弥太郎 秀 調
大江広元 左團次
二、連獅子
狂言師右近後に親獅子の精 三津五郎
狂言師左近後に仔獅子の精 巳之助
僧遍念 門之助
僧蓮念 秀 調
三、盲長屋梅加賀鳶
加賀鳶(かがとび)
本郷木戸前勢揃いより
赤門捕物まで
天神町梅吉/竹垣道玄 團十郎
女按摩お兼 福 助
春木町巳之助 三津五郎
魁勇次 錦之助
虎屋竹五郎 進之介
磐石石松 男女蔵
昼ッ子尾之吉 巳之助
お朝 宗之助
御守殿門次 薪 車
数珠玉房吉 亀 鶴
金助町兼五郎 市 蔵
妻恋音吉 門之助
道玄女房おせつ 右之助
天狗杉松 秀 調
伊勢屋与兵衛 家 橘
御神輿弥太郎 友右衛門
雷五郎次 左團次
日蔭町松蔵 仁左衛門
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↓三階左列22-27のブロックからの眺め。最後列ですので、やや前かがみになれば、舞台中央は見えますが、
左の手すりがけっこう邪魔です。
この日の夜の部は、三階左列15-21のブロックから見ましたが、15-21の方が、舞台に近いけれどもツケ打ち場まで見えました。
とはいえ、舞台に近寄りすぎると、それまた見切れる部分が増えますから、どこがベストポジションなのか、
一、頼朝の死
この作品、映像でも見たことがなく、初見の舞台で楽しみにしておりましたが、
梅玉さんの頼家がよくはまっておられて、見終わりました後、隣の席のお客様からも、
「梅玉さん、よかったわねえ~!」と思わず話しかけられたほどでした。
頼家という役は、20歳前後の役柄だろうと思うのですが、(史実を確認しますと、18歳のときに父が急死して
家督を継いだようです。)この、若々しい、悩める青年役が、驚くほどよくお似合いでした。
そして魁春さんの北条政子は、貫録があり、こちらもまた、いい演技を見せていただきました。
この作品で一番おいしそうな役は、錦之助さんが演じられた畠山重保ではないかと思いますが、
端正で若々しい役がよくお似合いになられる錦之助さんに、ぴったりのお役でした。
この役は、演じられる役者さんにおかれましても、役に感情を100%投入して演じることができる、
やっていて気持ちがよく、燃焼感のあるお役ではないかなと思いました。
この作品、どっぷりと「感情」の世界に浸ることができる、濃いお芝居ですね。
二、連獅子
七世、八世、九世三津五郎の追善狂言ということで、当代三津五郎さんと息子の巳之助さんとの
連獅子でしたが、三津五郎さんの踊りは今更申し上げるまでもありませんが、やはり「流石」で、
毛振りのときなど、ほとんど立ったままの姿勢で、少ない動きで毛をシャッシャッと無駄なくキレよく
振っておいで、美しい毛振りでした。
三、盲長屋梅加賀鳶
前半の鳶の連中の場面と、後半の道玄の場面とに場面は大きくわかれますが、
前半では、やはり何と言っても豪華な鳶連中の勢ぞろいが見ものでした。
東京の舞台ではあまりお見かけすることのできない進之介さん、生で拝見するのは私めにとっては
初めてでございました。薪車さんもお初のように思います。上方の役者さんをもっと東京でも拝見できるように
なればいいのに、と思います。
そして後半ですが、まず福助さんのお兼。さぞかし上手く演じられるに違いない、と、観る前から大いに期待して
おりましたが、期待を裏切らぬ、いえ、期待以上の怪演ぶりで、大いに楽しませていただきました。
福助さんの最近の舞台では、美代吉、お今が似た系列の役かと思いますが、
それらの役以上に肝っ玉が太く、声も男声に近い、低い男っぽい声で、拝見していて実に愉快、
楽しませていただきました。こういうお役は、福助さんの右に出る人はいないでしょうねえ。
(ご本人にとって、こういう評判は嬉しいものかどうかはわかりませんが・・・)
そして團十郎さんの道玄、悪党なのに憎めない、愛嬌のある悪党で、
伊勢屋の店先で尻尾をつかまれ、大きな目玉をさらに大きく目をむいて、
「(しまったーっ!)」という表情をする場面など、客席も大いに笑いに沸いておりました。
また、最後の捕りものの場面で、道玄が、「俺だ!俺だ!」「御用だl!」と捕り物方を煙に巻く場面、
何度見ても笑ってしまいます。(笑)
仁左衛門さんの格好良すぎる鳶の松蔵も、贅沢なことで、楽しいお芝居でした。
夜の部のレポートに続く。