久しぶりの観劇でたくさん受信したのか、帰ってきて晩御飯を食べたら眠ってしまいました
(仮眠)
起きたので、色々書こうと思います
「修禅寺物語」
この演目は夏に上演されますね夏の演目です。
台詞の中にも「昨日までは盆休みであったほどに」なんて出てきますし、夏のお話なんですね〜
ひとつ前の記事に書いたように、斜め前の人の頭と戦いながらの観劇でした…努力なしではホント見えなかったなぁ
この演目は客電が落ちていて真っ暗なので、観劇メモも取れません(笑) できるだけ思い出しながら書きます
桂と楓の姉妹は、この物語のヒロインのかつらが中村好蝶さん。
昨年の稚魚の会 歌舞伎会 合同公演では 「与話情浮名横櫛」のお富をされていた役者さん。なかなか艶っぽいお役が似合う方で「あ、この方がかつらなのね」と納得しながら観ました
今観たら歌舞伎俳優養成所の22期の人…
そんなにお若いの… にしては、なかなか上手くない
かえでは片岡市也さん。初めて拝見した役者さん。昨年に片岡市蔵さんのご一門に入門の方だそう。
かえでの夫 春彦は尾上松三さん
松緑さんのご一門の…稚魚の会の公演でいつも拝見してる方。
そして「ええ、騒がしい。静まらぬか」と言う久しぶりの声が響いて…
春彦役の松三さんが御簾の中に入り、開けてくれました
夜叉王、橋吾さん
待ってたよ
私はどんなに感動して、泣いちゃうのかなーとか思っていたら、実際は一所懸命 身をよじったり首を傾けたりしないといけなくて泣くどころではありませんでした(笑)
観劇あるあるです
もし、良いお席で肉眼でずっと見られていたら泣いてたかもしれませんが、マイ初日には神様が『嬉しさで泣かせない演出』を用意してくれました(笑)
…意地悪なものです、泣かせておくれよ
すっごい、ルックスが本当にお爺さんでしたこれは単に髭をつければそうなるわけではなくて、役作りがそう見せるのです
橋吾さんは以前の稚魚の会の時も「心霊矢口渡」の渡守頓兵衛をやってらしたので、老け役が多いなって
夜叉王って、演じる方によって色々と印象が違うのですが、橋吾さんの夜叉王はお父さんとして語る時とか優しかったですよ
(かつらは母に似て〜って語るところ)
夜叉王に関しては、私は今までの観劇で『重々しくて変人みたいな頑固一徹の職人』みたいなイメージでしたが、橋吾さんのはそこまで重々しくはなく家族の『お父さん』て感じがしたかなぁ 温かみのある夜叉王でした。
さあ、春彦が用事で出かけた間にやって来るのが源頼家様…(ここまでのところホームドラマみたいですが、ここからの展開が歴史入ってきてワクワクなところです。ホームドラマかと思いきや、あれ?お殿様が来たよと、演目に新しい風が入ります)
花道から頼家様(私は、この演目では『様』をつけて書いてしまいます)。
中村梅寿さん、中村梅玉さんのお弟子さんですよね。前に拝見した時はもっと無骨な役だったのでそんな感じの印象の役者さんなのかなーと思いきや、白塗りが似合っていてお声も高く… 自分の中での印象がイコールにならずに「あれ?そうなの?」って思ってました(笑)なかなか頼家が似合ってらっしゃる これは嬉しい意外さ
花道は何の障害もなくよく見えました
舞台もこんな風に見えたらいいのになぁ…
ここからのところ、半分は必死で、何とか見ようと斜め前の人の頭との闘いでした
遠くから双眼鏡でしか見れないけど、橋吾さんの目が輝いているのを見て「よかった…」って思ってました
ひとつ前の記事にも書きましたが、このコロナ禍の状況で公演が無事に行われて、やっと見たかった役者さんが舞台に戻って来て…
いまブログを書きながら「よかった」って思うと泣けてしまうくらい、本当に良かった
観劇中は斜め前の人の頭との闘いで、全く泣くような余裕はありませんでしたけど
…なんてこったいw
面ができないと言う夜叉王に憤って斬ろうとする頼家様を、かつらが走って来て止めます!
ここ、綺麗でしたね〜 絵になってました
そして頼家様の水色グリーンみたいな薄い色の衣装と、かつらの薄紫の衣装が色合い的にも合っていて美しい
頼家様のお供の下田五郎景安には大谷桂太郎さん。昨年の稚魚の会では「棒しばり」の大名をされてましたよね
決してマニアではないですが「ああ、前の時はあのお役だったなぁ」って思い出すものですね
頼家様はかつらを望み、かつらも奉公することを望み、家を出て行きます。
頼家様とかつらの2人はもう少しロマンチックでもいいかなぁって、いち観客の希望ですが(笑)
この2人がロマンチックであればあるほど、後の悲劇が生きてくるので「素敵ね〜」ってほわ〜んとするくらいロマンチックならいいな
「あれ、ホームドラマがラブストーリーになっちゃったよ」感がもう少しあれば最高かな
せっかくお2人、絵になってますもの
橋吾さんの夜叉王は、わりと抑え気味な感じかなぁ… 丁寧に演じてらっしゃるのかな。
後で書きますが、幕切れのところが真剣に我が道を追い求める感じが凄く良くて、ラストはゾクッとしてとっても素敵だったのですこれぞ!って感じでした。とっても良い幕切れでした〜
自分の意に添わぬ出来の面を頼家様に献上してしまって絶望するところはもっと来てくれてもいいな (いち個人の勝手な感想ですが)
観客として「来て来て!」って思い過ぎてるのかな(笑)…そうなのかもしれません
頼家様とかつらが2人でいるところへ出てくる武士。金窪兵衛尉行親、渋い声で悪役似合ってる!どなたかなと思ったら尾上貴緑さんでした
23期生なので昨年の歌舞伎俳優デビューですよね。悪役の声、ほんと向いてます
木陰で行親たちの頼家様を暗殺する計画を聞いていた春彦は知らせに行こうとしますが、敵に阻まれます、それを行かせようと下田五郎(大谷桂太郎さん)が奮闘。
なんか…変な話ですが、立ち回りがある演目を見られる嬉しさを感じました。
コロナ禍で、できる演目は限られているかもしれないけれど、その中でちゃんとした演目の見られる喜びというか…
そこで場面転換。
幕が開いたら再び夜叉王の家←ニコニコするような場面ではなくて緊迫しているんですが、見たい役者さんが出て来られた嬉しさでニコニコなんです(笑)
花道から、面を付けた者がやって来ます…
かつらが、夜叉王の作った頼家様の面をつけて、頼家様の身代わりにと敵を引きつけて手負いになって、命からがら逃げて来たのですかつら…健気なところがあります
ここで修禅寺の僧も逃げてくるんですが、尾上音幸さんですね。僧は上手に位置して、下手に向かって話すので、私の席からはあまり顔が見えなかったなぁ…
かつらの話を聞いている間も、ずっとかつらが付けて逃げて来た面を見ている夜叉王。
作っても作っても死んだ顔になり、目には怨みが入っていた面…
「うまく出来なかったと思っていたけど、神しか知らない運命がまず、私の作に表れた! あっぱれ夜叉王!」みたいな台詞、ここも『橋吾さんもっと来て来て!』でしたね
一番の見せ場だもの
もっと来ていい!
ここはいくらでも来ていい!
待ってます!
今度の私の観劇はなんとほぼ最後列ですが、そこまでガツンガツン来て欲しい←
そもそも、娘が死にそうな横で気にかけているのが面のことなのかーいという場面ですものね… 実際だったら空恐ろしいですよ…
「お父さん、何やってるの!?」と言いたくなりますし「おかしいでしょう、この人!」とも思えますが、そこまで自分の作に心血を注いでいる奇才ならではでしょうかね凡人には理解できない域のお話です…
そして「姉さんが死にまするぞ」というかえでの声に、夜叉王は「若きおなごの断末魔の面を、後の手本に写しておきたい」と、その顔と向かい合ってスケッチをするのです…
ラスト、ゾクッとしましたね
好蝶さんのかつらの死にそうな体の表情も良く、
そしてそれと向かい合う橋吾さんの夜叉王…
真剣で、ひとつも漏らさず描くぞという感じの目でした…観てて「うわっ」と思いました(凄く褒めてます)
この「うわっ」という感覚、この何とも言えない後味こそが、この演目の醍醐味ですよね〜
幕切れ、本当に本当に良かったな
ちゃんと心根から演じてくださってるので、意図がちゃんと客席に伝わる
このラストの夜叉王の「若いおなごの断末魔の面を後の手本に写しておきたい」って、本当に重要な台詞で…
この演目が上演される時、客席から「え、そんな(笑)」みたいな笑いが起こる時もあるのですが、橋吾さんの夜叉王にはそんなのは皆無でしたね素晴らしい…
さすが橋吾さん
そんな感じの「修禅寺物語」でした
けっこう好きな演目なんです
なので、あと何回か演ずる間に、頼家様とかつらのカップルがもう少し甘くロマンチックになるかなぁ
それから夜叉王、あの「あっぱれ夜叉王」の見せ場でもっとガツンガツン来て欲しいです待ってます(笑)
喜んで待ってます
そんな感じでした〜
それでは皆さん、良い早朝を〜