今月の歌舞伎座の「盛綱陣屋」、素晴らしいですよね〜
もちろん片岡仁左衛門さんの佐々木盛綱
そして中村勘太郎くんの小四郎
私は中村勘太郎くんのファンなので、書かせてください
勘太郎くんの小四郎、まず可愛い
あぐらもスッと座って足をわなわなさせるところも可愛かったです少しハスキーな声といい、あどけないお顔、お目々の辺りは、ああ中村屋の顔だなぁと
台詞も立派でしたし、亡くなる時の表情も素晴らしかったですよ!形だけじゃなくてちゃんと演じてますよ、勘太郎くん
そして盛綱の息子の小三郎役は寺嶋眞秀くん
眞秀くんは目がパチッとしてお人形みたいに可愛かったです〜
後の場面ではずっと胡座でじっとしているのを健気にがんばってました
小三郎っていつも小さい子で、あんな小さい子が戦に行って手柄を立てられるものなのって私はいつも疑問だったのですが(笑)
こちらの記事の片岡仁左衛門さんのインタビューで謎が語られています
「子供が演じるからこそ、物語に込められた悲しみが一層伝わります」という意味があったそうです仁左衛門さん、ありがとうございます!
この演目に対してずっと抱えていた疑問でした
勘太郎くんは立派に小四郎の大役を勤めていましたどれだけお稽古したのでしょう
後見は中村梅花さんでしたよね?
梅花さんが勘太郎くんのお稽古を見てあげて差し上げているのですね(ドキュメンタリーでもそうでしたね〜)
しかしですよ。
言っていいですか?
親を助けるために自分の腹を切り、痛みに苦しむ勘太郎くんの小四郎
「あー あー 」と、歌舞伎の子役の痛がり方で痛がります。
あれは、あれでいいんです。
ああいうものなのですから
それをですよ〜
竜雲の斜め前に座っていたお婆様(と呼びますよ!)が笑うこと笑うこと
その人だけではなく、一階席からも笑い声が…
歌舞伎を観たことがない人たちってこと??
(歌舞伎の子役はあのように苦しみ、泣くものなんです)
そこ、笑うところじゃないですから
いたいけな子供が腹を切り、今にも亡くなろうかとしている場面です… 勘太郎くんの演技には少しも笑うところなどございません
そして片岡仁左衛門さんの佐々木盛綱も、黒い衣装に着替えてからが、姿だけでも惚れ惚れするほどの絵のように美しくかっこいい姿なのですよ
弟が無事、これは謀り事かと悟った時の嬉しそうな笑顔も素敵でした〜
そして健気にも親を救うために、送られてきた身代わりの首にわざと「父様かー 」「父を先立て、何のめのめと生きていられようか」と小四郎は切腹をしたのですよ!
その甥の気持ちだけは踏みにじれずに、主君に背いても、偽首を弟の首であると言い切った盛綱。
見事だ、あっぱれだと甥の小四郎を褒めてあげる場面は感動的でした
勘太郎くんの台詞で、客席はなんであんなに笑うのさ
そりゃ可愛いですよ、いたいけですよ、つい顔がほころんでしまうほど可愛いですよ
でも本人は真剣に演じているし、台詞回しだって何一つおかしいところはないのです。悲しい場面なのです!
そんなクスクス笑わないでよ〜〜
お笑いの場面じゃないのよ〜〜〜
「可愛いわねぇ、ホホホ」って場面でもないのです
変な笑いが多いと、こちらの感動も気が削がれてしまうのです…次に観劇の時は変な笑いの起きない日でありますように(祈)
しかもですね〜…終わってから、勘太郎くんの演技にあれこれ言っている人がいましたが…
あの「あー あー 」はですね、勘太郎くんが下手なわけでもなんでもなくて
あれは、ああいう言い方の台詞なんです…
歌舞伎の子役はああいう風に言うって決まってるんです
もし何らかのご縁で私のこの記事を目にする機会があれば、何卒それをわかって欲しいです
本当に、次の観劇の時は良い客席でありますように…困ったものでありんすよ
それでは皆さん、良い夜を〜