「重戀雪関扉」@十二月大歌舞伎 | 油絵で歌舞伎! KABUKI OIL PAINTING

油絵で歌舞伎! KABUKI OIL PAINTING

絵師のはしくれ、西本竜雲のブログです。自分で描いた歌舞伎役者絵をこちらでご紹介させていただきます。ほぼ毎日歌舞伎関連のことを綴ってます♪★励ましのお便り、歌舞伎の役者絵(油絵)のご依頼等はryuun . kabuki . pictures@gmail . com まで♪←スペースなしで

皆さん、おはようございま~すラブラブ竜雲です。

今日は歌舞伎座の昼の部を観に行きました~。
{DA9B8600-CF84-4AE6-8E17-7CAEA2102C7F:01}
これは休憩時間に2階桟敷席に行ってみた眺めですニコニコなかなかステキな眺めなのですね音譜

昨日も家に帰ったのが23時半でして(仕事のみ)かなりおつかれですので、今日は行かずに家にいようかと思っていたくらいですあせる

でも…先日観た時の「関扉」の玉三郎さんが省エネモードでしたから…
同じ日のお三輪は凄かったんですよ。なので、あの方はあんなもんじゃないって知っているだけに、墨染を楽日近くであと一度は観ようと思ったのでした。

楽日前ならば全開でやってくれるかなと思って行きました。結果、行って良かった!!

桜の精である墨染の、恋人の仇を打たなければ収まらない恨みと哀しみ!!
玉三郎さんだからこその、立女形だからこそのあの表情!!

そしてね、闘いのシーンが良かったんです!

玉三郎さんの墨染と尾上松緑さんが息を合わせて闘いの場面を作っていることがわかって感動しました!「息を合わせて」ってなかなか感動するものですキラキラ
黒主と墨染は、二人で作る見得の形が多いんですよ。そのひとつひとつが本当に良かったおねがい

最後の、幕切れの見得の時に、玉三郎さんの桜の枝を持った手に自分の手を添えるようにして松緑さんは手を挙げ…
表情も玉三郎さんのタイミングに合わせるぞ!っていう気迫がわかって、なんだか感動してしまったんです。
「関扉」は私の大好きな演目キラキラ
玉三郎さんと松緑さんの作られるこの演目の形、良かったなぁと思って照れ

前にちょこっと書いたんですが、松緑さんが意外にこの演目の大伴黒主が良いんですニコニコ
ダークになってからがいいですねぇ。
ダークな雰囲気をお持ちみたいで、悪のパワー満載の黒主が意外にはまります。
関兵衛の時は、痩せてらっしゃる役者さんなので「細いなぁ」と思ったりもしたのですが(笑)
星が降りてきてダークになってからは「アリだな」と思います。
{032EFD1F-8881-41F7-8193-63629A5C3F78:01}
ダークな関兵衛、らくがきです(笑)

そんななので、玉三郎さんと作る見得に感動してしまいました照れ

尾上松也さんに関しては、武田勝頼は良かったと思いました。夜の部の「妹背山婦女庭訓」の求女もまさにハマり役で良かった!
しかしこの良峯少将宗貞は…残念です。
厳しいことを書くようですが、色気が足りなくて動きが固いんです。引っ込む時の後ろ姿に惚れ惚れとするような色気がない。

錦之助さんが一人舞台に立って歩まれた様は「ほお…」とため息が出るくらい風情があって綺麗だったんですが、そういうのがない。

また台詞が、ただ口にされているだけのような?自分流に歌舞伎調に言ってるだけのような…
昔からの形とも、抑揚も情感を込めるところも違っておりまして。

私の大好きな「そなたの歌の徳によって 盛りの色を増したれば こま~ち~    ざくらと言い伝ふ」という少将宗貞の台詞があります。
恋人の小野小町の名を口にしたあと、一瞬その名前を愛しく思うように情感の空白があります。またこの少将の台詞のトーンはとても優しいものです。尾上梅幸さん然り、中村錦之助さんもそうでした。

松也さんにはその情感の空白がないのです(T_T)
教わった形が違うからなのか、それはわかりませんが…梅幸さんや錦之助さんのがいいなと思った身としては、あれが聞きたくてちょっと残念。

これだけ何役も一ヶ月にやっていれば一役くらいお稽古不足というか準備不足のものがあっても仕方がないのかもしれませんが…

『役者は普段が勉強』といいますが、このお役に関しては普段が見えてしまってあんまり少将らしくなかったような松也さんでした。
『妹背山婦女庭訓』の求女はほんとに良かったのになぁ…

この良峯少将宗貞は他人が端で想像するほど簡単なお役ではないということかもしれません。
実はめちゃくちゃ難役とか??

あと、同じ音羽屋の梅幸さんがこのお役の時は紫色の拵えです。錦之助さんの時も紫色でした。
{7BE171AE-6CF1-446F-8C0F-B1AD17F99B69:01}
でも今月の松也さんは紫色ではないんです。
薄い灰色みたいな着物で…
竜雲はこのオーソドックスな色の少将が好きなので、なんで変えてるのかなぁと思いましたうーん

それから、今日の舞台を観て玉三郎さんの美しさの秘密がわかりました。
あの方は観客がため息をつくくらい美しいキラキラ
確かに外見も美しい方ですが、あの玉三郎さんにしても、舞台で人の心を震わせる美しさというものはご本人の気迫が作り出しているものなんだと分かりました。
先日の墨染と本日の墨染は明らかに美しさが違いましたキラキラだから気づきました。

なので、女形の方を「美しい」と思う時は、単なる外見的なものではなくて、その方の気合いというか気構えが作り出しているものなんだと分かりました。

玉三郎さんの後見さんがすごく小さく丸まってらっしゃるのが健気でしたキラキラ
{828495C8-6EDF-43D6-80F3-E50B41265DA3:01}

墨染が正体を顕わす前は太夫の姿なんですが、怪しさよりも美しかったですね~
バクバクするほど今日の玉三郎さんは綺麗でした。桜の精だ、と歌にも歌われてましたが、本当にそう見えました

七之助さんの小野小町姫は文句なしに美しいですが、それも外見的なものだけではなくて、ご本人の肚づもりあってのことなんだなぁと思いました照れ
{44C4A6C4-1084-4C63-B230-B96A55F7A4FA:01}

観劇中は、やっぱり観ることに忙しくてまともに描けないですね~(笑)

それから常磐津ですが、私がDVDで聴いていたバージョンより今月のは部分的に随分と調が低くて、歌詞は一緒なんですが別ものみたいに印象が違いました!!
歌の人の声の高さ低さで、その辺はいかようにでもするものなのかな(笑)

色んな要素が重なって『舞台は一期一会』の意味をしみじみと感じた私でございました。

今日、がんばって観に行って良かった~チョキ
それでは皆さん、良い一日を~ラブラブ