これはなんといっても主演の役者さん(大体の場合女形さん)が「七役」を勤められ、その早替わりを楽しむ演目です~。
今回の場合は成駒屋の中村福助さんが
お染、お染の恋人の久松、久松の姉の竹川、芸者小糸、お染の母、土手のお六、久松の許嫁 お光
の七役を演じられました。舞台の上では決して大変そうに見せないんですが、実は早替わりってすごく大変なんですってね。
お話の筋は、油屋の番頭である善六(坂東橘太郎さん)が、芸者小糸に入れあげている多三郎(市村萬次郎さん)から「折り紙」(お家のお宝みたいなもの)を持ち出させて、それで小糸を身請けさせてやる、ともちかけます。
(芸者小糸は弥忠太という侍に今にも身請けされそうですが、小糸は弥忠太を嫌って言うことをききません)
しかしこれは悪企み。善六は、多三郎にお家の御宝紛失の罪を着せて、自分が油屋を乗っ取ろうという魂胆です。
その悪企みを丁稚の久太に聞かれてしまったので、善六は「この金をやるから駆け落ちをしてこい。二度と油屋に帰ってくるなよ」と、久太に惚れている女の子がいると嘘を話し、見送ったところ 久太は「せっかくのお金だし、駆け落ちして所帯を持つよりもふぐを食べようかなぁ」という気分になって、花道から退場します。
その時に「♪いいぞ がんばれー ドラゴンズ~ 燃えろ ドラゴンズ~」とドラゴンズの応援歌を長唄の方たちが歌っておりました。ドラゴンズの応援歌って、初めて聞きました。やっぱり広島県人なのでカープの応援歌はよ~く知っているんですけれども(笑)
善六は折り紙を、通りがかった嫁菜売りの久作(片岡亀蔵さん)の藁づとに隠し、その嫁菜を買おうとしますが、「もう他の人に売ったものだから」と売らない嫁菜売り。片岡亀蔵さんはご本人様のキャラが立ってるので、どんな役でも美味しいです(笑)
(嫁菜売り久作)
売れ、売らぬの言い合いになり、カッとした油屋の久助が嫁菜売りの額を叩いて割ってしまいました。
詫びて、膏薬代と着物を渡す山家屋清兵衛(坂東彌十郎さん)。親はこの人をこそお染の嫁ぎ先にと考えているようですが、お染の気にはそまぬ様子なのですよ~。
お染(福助さん)と下女のおその(中村芝のぶさん)は橋本へ向かいます。
「橋本へは近道が御座います」と、なんと福助さんと芝のぶちゃんが客席に降りて来られたのですよ!
客席の通路を抜けて、花道を通るという、なんというファンサービス。
「お染久松色読販」にはつきもののお染のご贔屓役者さんのお話。「下女のおそのを演じている中村芝のぶさんが好きじゃわいな~」(場内拍手☆)
おそのの芝のぶちゃんは「私は来年歌右衛門襲名をする中村福助が贔屓です」と。(場内また拍手☆)
するとお染の福助さんが「私ゃ福助は大嫌いじゃわいな~」と笑いを取ってましたw
私が序盤で観に行った時にはお染の贔屓は中村橋之助さんでしたよ(笑)「橋之助は錦絵に出て来るようないい男でございますねぇ~」と芝のぶちゃんが言っておられました。
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竹川のいる座敷の隣で芸者小糸(中村福助さん)を追い回しているのは弥忠太(中村橋吾さん)
ここで、いきなり口上が始まりました!
なんと中村橋吾さんは名題昇進披露の公演だったそうです。「一座高うは御座いまするが、口上をもって~」と始める福助さん。なんでも橋吾さんはドラゴンズファンなので名古屋の皆様にもよろしくと(笑)
そんなおめでたい場面で御座いました。
竹川姿の福助さんはひいおじいさまの五代目の中村歌右衛門さんに少し似てらっしゃった気がしました。
福助さんも貫録が出てこられたのだなぁ、としみじみ。
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場面変わってお六の家。たばこ屋さん。
お六にとっては恩人の竹川からの手紙。油屋に質入れされている牛王吉光(刀です)を取り戻すために百両を工面してくれないか、と。亭主の鬼門の喜兵衛(中村橋之助さん)が帰ってくる。
お六と亭主はおなかが痛くて死んだという死人(しびと)の入った棺桶を預かります。(この死人は、ふぐの毒にあたった=久太です)
そこへ嫁菜売りの久作がたばこを買いに現れます。久作が髪を結ってもらいながら話した油屋さんとのいざこざを聞いて、鬼門の喜兵衛は死人を嫁菜売りに仕立てて、百両をゆする話を思い付きます。
橋之助さんが、この段で登場。悪い役です。橋之助さんは悪い役がいいですね(笑)
お六は旦那と一緒にゆすりに加担しますが、実は竹川のためなので、そんなに悪い人ではないのですねー。
橋之助さんのスケッチはいくつかしております。
鬼門の喜兵衛というのは、なかなか面白い素材です♪
(私のスケッチは参考になりませんが)
福助さんはお六みたいな姐御みたいなご婦人役がいいですね。
あとコミカルな場面がいいと思います♪
というわけで、これで序幕が終わりなんです。
人間関係が複雑でしたが、観劇中にメモを取ってようやくわかった感じです。
続く~
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