令和となってトランプに振り回されっぱなしの日本株でありますが、世界にはインドや東南アジアのようにこれからの国も多く存在するわけです。
多くの方はそれでも日本株から離れられないと思いますのでインドや東南アジアに投資している企業の株を探してみるのもいいかもしれません。フィリピンとか人口ボーナスが続く若い国ですから有望な投資先だと思います。
代表的な銘柄はやはりソフトバンクになると思いますが、最近はグノシー(キャピタル)もインド投資を行っているようです。今回は今後の成長が非常に期待されるデジタルガレージとBEENOSを再度取り上げたいと思います。
❇️デジタルガレージ
デジタルガレージについてはこれまで何度かコメントをしていますので主力のフィナンシャルテクノロジーセグメント、マーケティングテクノロジーセグメント等については今回は省略したいと思います。
デジタルガレージは5月9日大引け後に19年3月期の連結税引き前利益を従来予想の90億円→134億円に48.9%上方修正したばかりですが、全セグメントで増収を続けており、精査するほどに今後も大いなる成長が期待できます。
BEENOSと共にインド自動車オンラインマーケットプレイスのDroom(ドゥルーム)に投資していることは前回お話しました。
Droomは既にインド100都市以上での事業展開を行っており、オンラインでの自動車取引市場の7割のシェアを獲得しており、売上高約7億5000万ドル、純利益約2000万ドルにまで成長しており、信用供与サービス事業ではブロックチェーンの導入も視野に入れているとされます。
デジタルガレージはインドネシア生活では必須アプリとも言われるGO-JEK(ゴジェック)にも投資しています。
GO-JEKはバイクの配車サービスから事業をスタートし、現在はGO-JEK (配車、物流、フードデリバリーなど)、GO-PAY (モバイル決済など)、GO-LIFE (家事代行サービス、出張マッサージなど)を軸としてビジネスを拡大させており、将来的にはタイ、シンガポール、フィリピン、ベトナムへの展開も計画されています。
デジタルガレージはバイオテクノロジー・ヘルスケア特化型アクセラレータープログラム「Open Network Lab BioHealth」を始動していますが、これにはDG Lab BioHealthで培った事業実績やエンジニアリソースが有効活用されることになります。
デジタルガレージと業務提携している「PureTech Health社」は次世代型製薬会社と評されており、バイオテクノロジーとITの融合、更にはインキュベーション事業にも積極的な企業ですが、デジタルヘルス領域での今後の協力、相乗効果が期待されます。
同様に提携している「ウェルビー」は、PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)サービスを提供するリーディングカンパニーですが、デジタルガレージのブロックチェーンやAIを利用して今後共同開発が行われます。
いずれにしましても「Open Network Lab BioHealth」には多くの日本を代表する製薬会社がパートナーとなっていますので今後の進展に期待したいと思います。
デジタルガレージの投資先は「Twitter」「Droom」「GO-JEK」「PureTech Health社」「パネイル」等多岐に渡りますが、最も有望なものはやはり9000万ドルを投資しているBlockstream(ブロックストリーム)社(カナダ)とのブロックチェーンプロジェクトになるものと思われます。
Blockstream社はビットコインのコア技術ともいえるサイドチェーンやライトニングネットワークの世界的なリーダーであります。
ビットコインにはイーサリアムにおけるスマートコントラクトのようなものが実装できない欠陥が根本的に存在していますが、サイドチェーンはこの欠陥を解消するものです。同様の技術としてライトニングネットワークがありますが、Blockstream c-lightning 等のライトニングネットワークが少額の支払い転送に対応しているのに対し、Blockstream リキッドネットワーク等のサイドチェーンは大口送金にも対応しており、安全且つ迅速な送金を可能にします。
またBlockstreamは通信衛星技術も開発しており、「Blockstream 衛星」と呼ばれるそれは、地球上のどこからでもビットコインにアクセスでき、世界中の人々がネット接続をしなくてもビットコインの利用が可能になりました。停電や大災害時にもビットコインの利用が可能です。
更に一部邦銀がBlockstreamのブロックチェーン技術を利用した個人向けローンの実証実験を行っているともされています。
現在ビットコイン価格は上昇を続けていますが、今後のブロックチェーン革命においてもしビットコインが覇権を取った場合Blockstreamは圧倒的な地位を築くと思われ、パートナーであるデジタルガレージの躍進も目覚ましいものになるはずです。
デジタルガレージ、カカクコム、クレディセゾンで設立したオープンイノベーションの研究開発組織であるDG Lab は日本におけるブロックチェーンサービスをリードする存在とされていますが、DG Lab とBlockstreamは今後Blockstreamのブロックチェーン上で独自の仮想通貨を発行できる決済システム向け汎用フレームワーク「DG Lab DVEP(Digital Value Exchange Platform)」を軸としてフィンテック事業のみならず、地方創生事業、AI自動運転や自動車周辺のビッグデータ活用に向けた事業、ヘルスケア市場等の新規事業創出に取り組む計画とされています。
更にDG LabのコアパートナーであるKDDIとは5G (第5世代移動通信)での事業創出を目指すとされています。
東京短資と進める「Crypto Garage」を雛型として将来的には投資先であるアジアEコマース市場でのブロックチェーン金融に導入していく可能性も高いと思われます。
❇️BEENOS
BEENOSの詳細については前回コメントしてますので控えます。現在の上昇は上限を5万5000株(発行済み株数の0.46%)、または1億1000万円とした自社株買いに対するものだと思いますが、米中貿易戦争再燃の折、インキュベーション事業でネクストチャイナ路線を当初より投資方針としているBEENOSは注目に値すると思われます。
BEENOSの事業構成は 直近決算においてはブランディア等のバリューサイクル部門の落ち込みを 越境EC等のクロスボーダー部門、リテールライセンス部門で補う形となった Eコマース事業 (売上高の約95%、営業利益の約50%を構成)とインキュベーション事業(同:売上高の約5%、営業利益の約50%を構成)となっていますが、BEENOSとしてはインキュベーション事業に対する評価が株価に反映されていないと不満を持っているようです。
実際投資先の株式含み益はこの半年で95億円増加となっているとのことでBEENOSとしては今後1年間で含み益の20%売却して新規投資に回すことを表明しています。
連結対象や持分法適用となっていないのでなかなか評価の難しい投資の含み益ですが、売却益の積極運用となれば今後株価に反映されることになると思われます。
含み益の新規投資はEコマース事業での新規事業の他、インキュベーション投資になりますが、BEENOSではアジア主要新興国へのマーケテットプレイス投資は一巡しているとしており、それ以外の新興国での投資を模索中とされています。タイのファッションスタートアップ企業「ジリンゴ」への追加投資も表明されています。
BEENOSの出資先としてはやはり「Droom」、インドネシアの大手オンラインマーケットプレイス「Tokopedia(トコペディア)」等が注目されますが、これからの成長国であるフィリピンのオンライン決済「Paynamics(ペイナミックス)に10%以上出資しているのも注目されます。
1%未満の出資でありますが、人気のビジネス向けチャット「Slack(スラック)」、デジタルガレージ同様「GO-JEK」に出資しているのも注目されます。