ICAC5(アイカック5)=(IoT、Cloud、AI、Car、5G)の需要拡大を背景として半導体関連が底を打った感もあります。IoTや5G、自動車等が 新たなスーパーサイクルを生み出そうとしているのかもしれません。

 

実際 TSMC(台湾  半導体受託製造 世界最大手) の2019年度 設備投資額は2018年度比でそれほどの落ち込みはないようです。SOX(米フィラデルフィア半導体株指数)も2018年末から上昇を続けています。実際 ザイリンクス、ラムリサーチ、テキサス・インスツルメンツ等の直近の決算は市場予想を上回る好調ぶりとなっています。    エヌビディアの決算も市場の懸念を払拭させました。

 

 

世界のメモリー半導体を牽引している サムスン電子とSKハイニックスも ICAC5による需要拡大、更には サーバー向けDRAMの大口取引先であるMAGA(マイクロソフト、アマゾン、グーグル、アップル)のデータセンター増設競争が19年下期からの再開を前提に  19年下期から半導体市況が回復すると予想しています。

 

 

本年の半導体業界で最も期待されているのは 「EUVリソグラフィ 」だとされています。これによって ムーアの法則は蘇り、線幅7nmの半導体の製造を効率よく行えるようになる他、今後10年先、1.4nm世代まで開発が進む可能性が出て来ました。

 

EUVリソグラフィは「ArF液浸露光とマルチパターニング技術の組み合わせ」に比べて、製造コストは15%減~50%減、そして最も微細な薄膜層の加工に必要な時間は 3分の1~6分の1に短くなる といわれています。

 

ASMLが開発したEUV露光装置は 2018年に42台の出荷 となっており、2019年度は既に2018年度を超える予約がある とされています。

 

2018年10月より サムスン電子はEUV露光技術を用いた 7nm世代の半導体ロジックの生産を開始しました。TSMCも本年 第2四半期(2019年4月~6月期)からの量産を発表しています。

日本企業においては 特にテスト分野やマスク関連は好調を今後とも維持するだろう と予想されています。

 

 

 

❇️アドバンテスト

 

10nm、7nm 世代の半導体ロジックが拡大する中、半導体に高い信頼性が求められるようになって おり、テスト項目が増えるとともにテスト時間も長くなる傾向にあるとされています。

アドバンテストサイドでも「2019 年になると、7 nm 製品が主流になる。そう考えると、AI 機能を入れて多機能になるのは確実。テストタイムの長時間化、テストの複雑化につながるため、今後もSoCテスタ(ロジックテスタなどの非メモリ・テスタ)に期待している。」としています。

 

また アドバンテストは 4G携帯基地局向け半導体検査製造装置で8割のシェアを持っており、今後の急増が予想される5G基地局向けにおいても 最も恩恵を受ける企業のひとつになると思われます。

更に アドバンテストは自動車における5G関連技術である 画像センサーや通信モジュール、ディスプレードライバー等の検査システムにも今後注力する とされています。

 

 

1月30日発表の 今2019年3月期の第3四半期累計(18年4~12月期)連結決算は、主力の半導体・部品テストシステムが大きく伸び、売上高が2184億円(前年同期比57%増)、純利益が480億円(同6.4倍)、受注高も2095億円(同29%増)と増加しています。

これを受けて通期予想は売上高を従来の2650億円から2780億円(前期比34%増)、当期純利益も460億円から545億円(同2.0倍)にそれぞれ増額。期末配当も従来の25円から38円に修正しており、23円を実施済みの中間配当と合わせた年間配当は88円としています。

                                                                          (株式会社ストックボイス)

 

   

 

 

❇️レーザーテック

 

オランダ  ASMLは世界で唯一のEUV露光装置メーカーとされていますが、露光工程における マスク/ブランクス分野においては 日系企業のポジションも高い とされています。 

 

レーザーテック株式会社は、1976年に世界で初めて、半導体用マスク欠陥検査装置を開発した マスク検査分野で長い歴史と経験を持つ会社ですが、2017年には 世界で初めて EUV光源を使って ブランクスの欠陥検査を行える装置「ABICS」(極紫外線露光用マスクブランクス検査装置)を製品化しており、現在 マスクブランクス検査装置 世界シェア100% となっています。

 

マスクブランクスとは、半導体露光工程で「原版」の役目を担うフォトマスクの母材ですが、EUVリソグラフィ実用化において 無欠陥多層膜を施されたマスクブランクスの製造が非常に重要とされています。

 

レーザーテック  決算説明においては 半導体用マスク欠陥検査装置が売上げを牽引した とされていますが、今後  世界的にEUVリソグラフィが拡大すると共に「ABICS」の売上げも確実に上昇すると思われます。

なお「ABICS  E120」は、世界に対して強い競争力をもつ製品として、日刊工業新聞社主催の「2017年第60回十大新製品賞日本力賞」を受賞しています。

 

FPDフォトマスク欠陥検査装置 、GaNウェハ欠陥検査/レビュー装置 GALOIS(ガロワ)シリーズ、半導体マスク欠陥検査装置   MATRICS X8ULTRAシリーズ 等の新製品にも期待が高まります。

 

 

レーザーテックの直近の決算においては、売上、営業利益、当期純利益の全てで過去最高額を更新となっており、受注、受注残 共に全ての製品区分で大幅に増加されています。

 

最先端  EUVリソグラフィの分野は米中貿易戦争の影響も受け難く、今後ともレーザーテックの業績拡大に大きく寄与するものと思われます。

 

 

 

 

❇️ホロン

 

ホロンも レーザーテック同様に 「マスク関連」を主戦場としており、EUVリソグラフィ の恩恵を今後大きく受ける企業と思われます。

 

ホロンの会社説明に「当社製品を長年ご愛用頂いている顧客から引き続きリピートオーダーをハイペースで頂いております。また、EUVを用いたパターン転写(リソグラフィ)プロセスの開発を半導体製造メーカーが急いでいる背景より、第3四半期以降には、注目されている欠陥レビューSEM(電子顕微鏡)「LEXaシリーズ」ならびに当社の主力製品である最新鋭のフォトマスク用 CD-SEM「ZX(ジーテン)」等の納入が予定されております。」とあります。

 

ホロンは、19年3月期の経常利益(非連結)を従来予想の3億7700万円→6億7800万円に79.8%上方修正。増益率が3.3倍→5.9倍に拡大し、16期ぶりに過去最高益を更新する見通しとされていますが、上記のように 半導体製造大手がEUVリソグラフィ  の導入を急ピッチで進めるなか、欠陥レビュー電子顕微鏡や最新鋭のフォトマスク用CD-SEMの販売は 今後とも大幅な受注拡大は確実と予想され、時価総額79億円の超軽量級故に株価に与えるインパクトは 今後 非常に大きくなると予想されます。

 

決算(2月7日)内容次第では 一気に前回高値(2848円)を更新する可能性も考えられます。