サーミスタ(温度変化により、抵抗値が変化する電子部品) は 芝浦電子、SEMITEC、大泉製作所の3社で世界シェアの7割を握っているとされています。

SEMITECは 先行して急騰しておりますので 今回は大泉製作所について語りたいと思います。

 

EV/HEVのバッテリーは厳密に定められた動作温度下において最適なエネルギー出力を発揮します。 過熱によるバッテリーセルや駆動系のダメージ、更には発火という最悪の事態は 自動車メーカーの死活問題になってしまいます。 NTCサーミスタ等の温度センサーによる温度の確実な監視、制御は 今後のEVシフトにおいてますます重要性が増してくるわけです。

 

 

大泉製作所は、サーミスタを利用した温度センサーを主力としていますが、60.1%が自動車向けで その殆どがデンソー向けである他、最近は ボッシュ、コンチネンタル、ヘラー、ヴァレオ 等にも拡大中です。 

 

つまり 大泉製作所 ⇒ デンソー ⇒ トヨタ のラインが確実に存在するわけで トヨタの今後のEV計画は ダイレクトに大泉製作所の業績に反映されると思われます。

 

 

トヨタは20年に広汽トヨタ(広東省)で生産予定の小型SUV「CHR」と天津一汽トヨタ(天津市)で生産を予定する兄弟車をベースとして自社開発のEVを販売予定でいます。

そして 2020年以降バッテリーのみで駆動する車種10シリーズの発売を予定しています。また2025年の終わりまでに、全車種をハイブリッド車ないしEVに置き換える予定としています。

 

 

当ブログ「トヨタとパナソニックとALBERT・・・」にも掲載しましたが、トヨタはパナソニックと提携しており、トヨタでは 2030年までに1.5兆円がパナソニックとのバッテリー開発計画に投じられる予定であり、EV車(ハイブリッドを含む)の販売台数を550万台以上にするという数値目標を掲げられています。

 

 

デンソーは 今後1130億円をテネシー州メアリービルの工場拡張に投じて EVやコネクテッド・カー、自動運転車に必要な部品を製造し、米ビッグスリー や日本の自動車メーカーのハイブリッド車やEV向けに供給する計画であります。

 

また 当ブログ「スズキと・・・・」のように スズキ、東芝、デンソーの合弁でインドのスズキ グジャラート工場内で200億円を投じてEV/HEV向けのバッテリーの生産準備を進めており、2020年を目途に量産を予定です。

 

トヨタ、マツダ、デンソーの3社は、EV開発の新会社「EVシー・エー・スピリット」を設立し、軽自動車から乗用車、SUV、小型トラックまでの幅広い車種のEVを効率的に開発できる体制をつくる計画ですが、トヨタ、ダイハツ、スバル、マツダ、スズキという世界最強の1600万台アライアンスでの今後のEV開発は 大泉製作所にとっても 温度センサーの莫大な需要が今後待ち構えていることを意味します。

 

 

 

大泉製作所では 24%が空調向けでダイキン、日立 等の他 中国最大手空調メーカー Greeエレクトリックも取引先となっていますが、空調向けの売り上げは減少傾向にあり、逆に「空調・自動車関係は今後も成長するが、通常より売上の増加・通常よりずっと利益の増加するのはインフラ関係」としており、光通信関係、中継機器、風力発電・蓄電池等のインフラ関連への供給にも期待がかかります。

 

 

 

810日 決算においては、経常利益が対前年同四半期比で90.1%増、 営業利益が25.4%増と会社側計画を上回る業績で推移しており、大泉サイドの通期経常利益 59700万円(55日公表の業績予想)の据え置き予想に対して 四季報においては 64000万円の上振れ予想となっています。