私の長期保有銘柄のひとつに エムスリー があります。当初は職業柄 色々な付き合いもあって購入しましたが、その後も買い増し、ホールドを続ける理由はチャートを御覧になればお判りかと。
実は 日本の上場企業において 7期以上 連続で 経常利益の最高益更新 (最長は ニトリ で32期) し続けており、更に直近の経常利益増益率 10%以上の企業となると 1%にも満たないわけです。
そこに 長期大化け銘柄法則である ウイリアム・オニールの「CAN-SLIM投資法」の基準のひとつ (ROE 最低17%以上)を追加すると ほんの数社しか残らなくなります。
そこには エムスリー(2413) スタートトゥデイ(3092) エスエムエス(2175) Monotaro(3064) マークラインズ(3901) といった 当ブログでも時々(意図的に)登場する企業が名を連ねます。
今回は 未来のエムスリーを目指す メドピアとMRTについての投稿です。 メドピア、MRT 共に既投稿銘柄でありますので 今回は少しばかり前回と方向性を変えて語りたいと思います。
まずは エムスリー、メドピア、MRT の簡単な営業規模比較をしてみましょう。
売上高 営業利益 ROE EPS
エムスリー 114000百万円 32000百万円 25.5% 64.8
MRT 2100 40 1.4% 3.5
メドピア 2240 300 15.9% 16.3
(四季報 直近予測 参考なので 決算による多少の修正は出てきます)
いかにエムスリーが 医療ポータル (ケアネット等は今回 投稿スペース上 省かせてもらっています) におけるガリバー企業であるか再認識されますが、マッキンゼー出身のエリートビジネスマン社長は 、新規ビジネスにも邁進しているようです。
オプティム「Doc+AI」(ドクエイ)ベースの多彩な診断アルゴリズムの開発、診断サービス や 多磨バイオとの間での人工硬膜「デュラビーム」の国内製造販売承認(クラスⅣ)、ソフィアメディ買収による在宅医療事業の強化 等単なる医療ポータルサイトからは脱却しつつあり、医療総合サービス企業へ変貌しつつあります。
それでは メドピアやMRT が このガリバー企業に立ち向かうにはどうすればいいのでしょうか?
メドピアでは、「MedPeer」ドクタープラットフォーム から「MedPeer」に加えて ヘルスケアソリューション事業を成長ドライバーにする方針ですが、この方向性は正しいと思われます。
医師の8割が登録するエムスリー と 3割が登録する メドピア において どちらのポータルサイトに製薬会社や医療機器企業等がマーケティング支援料を払うかといえば 当然ながら8割の医師にアクセス出来る エムスリーにリーチする場合が多いと思われます。 実際 エムスリーの広告料は高いと聞きますが、それでも広告希望企業は不動産や金融にも広がりをみせています。
従って メドピアとしては ドクタープラットフォーム事業で真正面から対抗するよりは ヘルスケアソリューション事業において特定保健指導や管理栄養士による食生活コーディネートを行う「Diet Plus」、チャットやテレビ電話を使った実名の医師によるオンライン健康相談、遠隔医療 プラットフォーム「first call」において 健康保険組合・企業(実質B2B2C)を中心に収益を上げていく方が将来性、永続性は高いと思われてます。
そして私が最も期待するのは やはりスギHDとの新規事業となります。
スギ薬局が持つリアルな顧客基盤(調剤併設型ドラッグストアを中心に東名阪に1,000店舗以上を展開し、680万人以上のポイント会員、400万人以上のアプリ会員を有する)は絶大です。
この顧客基盤を健康管理、予防、介護サービス等に上手く結びつけられれば 目標となる 「2020年に時価総額500億超」(現在 170億) も達成可能かと思われます。
MRTは非常勤、常勤医師の紹介を主力としていますが、19年3月期第1四半期は、売上高7億900万円(前年同期比79.3%増)、営業利益1億7000万円(同2.1倍)となっており、非常勤医師紹介件数、常勤紹介件数 共に増加 となっています。
そして今後は 遠隔診療「ポケットドクター」事業、医療情報プラットフォームの拡大を実現するためのアライアンス及びM&Aへの取り組みも強化するようです
「ポケットドクター」は、オプティムの持つリモートマネジメントテクノロジーとMRTが培ってきた医療情報および医師、医療機関のネットワークを組み合わせることで、医療を必要としている人々と遠隔地にいる医療の専門家をつなぐサービスですが、MRTの将来的な業績のけん引役として期待されます。 https://www.pocketdoctor.jp/med/
遠隔医療先進国であるアメリカでは既に、「First Opinion」や「Doctor On Demand」「MDLIVE」「Talkspace」といった多くの遠隔診療サービスが存在します。
日本でも2018年度診療報酬改定を機に 遠隔医療は 今後本格的に取り組まれていくと思いますが、「入院より在宅」という流れもあるわけで メドピアやMRT、そしてエムスリー の今後の使命は非常に大きいと思われます。