NY市場に連れ安・・・幻のSQ値・機械受注も圧迫 | 株式祇園精舎

NY市場に連れ安・・・幻のSQ値・機械受注も圧迫

今日の東京株式市場は大幅反落となりました。


今日の指数:
日経平均 17,779.09(-274.29)円
TOPIX 1,756.16(-23.56)
Vol. 344631万株
225先物 17,790(-310)円
225mini 17,795(-305)円


日経JASDAQ平均 2,053.84(-5.97)円
マザーズ指数 901.02(-8.22)
ヘラクレス指数 1,481.05(-27.26)


USD/JPY(16:00) 120.97-121.02


先物・オプションSQ値 17,912.59円(確報値)



今日のところは昨日のように逆襲の気配は全く無かったですね。昨日の欧州市場でモルガン・スタンレーのレポートでDAX指数の大幅な下げをみていてなんだか嫌な感じという気がしていました。



昨日のNY市場は大幅続落となり、主要指数は3月13日以来の大幅な下げ率となりました。米10年債利回りが心理的な節目とされる5%を上回り、一時2006年7月19日以来の水準となる5.13%に急上昇し、金利上昇のペースの速さが嫌気される形となりました。長い間債券ブル派であったピムコのビル・グロス氏が債券について暗い見通しとなったと伝えられると債券が投売り状態となり、そのせいで長期金利が上昇したとの見方がありました。また米小売各社がまとめたチェーンストア売上は前年同月比+2.9%と市場予想を上回ったもののウォルマート・ストアーズの売上高が市場予想を下回り、個人消費の不透明感が意識され、小売株が売られました。また、原油相場が大幅続伸し、インフレ圧力懸念も嫌気され、DJIAは引け間際に205ドル安まで下げる場面がありました。日本株ADRは全面安、CME225先物は大証比315円安の17,785円となりました。



市場筋による寄り付き前の外資系証券の売買注文動向は、売り5710万株、買い3990万株、差し引き1720万株の売り越し、金額ベースでも売り越しとなりました。各社共通の売りセクターは不動産など。買いセクターは自動車部品などとの観測となりました。8時50分に発表された4月機械受注では、電力・船舶除く民需では市場予想の中心+4.5%に対して、内閣日発表のものでは、


+2.2%


と予想レンジの範囲内もネガティブに受け止められ、機械株などに売りが出される形となりました。そして今日の寄り付きではSQ算出となりました。SQに係る売買について、市場観測では225型で1銘柄あたり230万株の売りに対して243万株の買い、差し引き13万株の買い越し、TOPIX型では4000億円の売りに対して4200億円の買い、差し引き200億円の買い越し、SQに係る商いは出来高7億8800万株、売買代金は1兆4690億円となった模様となりました。オープニングは先物で売り気配で始まり、17,880円で寄り付きました。一方、現物のSQ値は前日比140.79円安の17,912.59円となったことで、寄り付き値よりも高かったことから利益確定売りやインデックス売買に伴う買い方の投げ、さらには先物の寄り付き値に対して32.59ベーシスのディスカウント状態となっていたことから裁定解消売りも出される形となりました。


9983 ファーストリテイリング の歩み


9983 ファーストリテイリングの寄り付きからの歩み


このような形で値嵩株がほんの数分で100円超の下げとなると先物にもヘッジ売りが大量に出されていく形となりました。


9時1分からの先物の歩み(大口売り)


9:01 17,870@120・100・117枚
9:01 17,860@110・100枚
9:03 17,850@100+スライス210枚程度
9:04 17,840@264枚
9:04 17,830@100・150枚
9:05 17,820@200枚
9:05 17,810@435枚
9:05 17,800@245・200・200枚
9:06 17,790@233枚


一旦9時6分に17,780円をつけた後は買い戻しの動きもみられ、9時12分には上の歩みの下げを埋めてしまうほどの買いが入りました。しかし、SQ値が幻であったことが確定したことを受けて売りなおされは買戻しも入り、乱高下の様相を呈していきました。下値を切り下げる展開となり、投げが出される一方、買戻しや押し目買いも積極的に入る展開となっていました。そして9時48分に17,770円を付け、現物の下げ幅も300円を超える形となりました。その後数分間は17,770円から17,800円の間で値固めの展開となりましたが、10時8分から駄目押し的な売り物が出され、一段安商況となりました。


10時8分からの先物の歩み(大口売り)
10:08 17,780@200枚
10:08 17,770@112・120・200枚
10:09 17,760@245枚
10:10 17,750@250枚


その後やや押し目買いも入り、一旦は戻していくも10時15分からさらに売りが出され、安値圏でのもみ合いとなりました。そして10時21分に先物が17,720円を付けると10時22分に現物は17,770円台を割り込み、今日の安値、前日比356.87円安の17,696.51円を付ける場面がありました。ただ、ここがちょうど25日移動線が走っている(17,707.49円)ことからそこでテクニカル的なフシが意識されたこともあり、それ以上売り叩く向きがあまり無かったことから次第に押し目買い優勢、下値を切り下げる展開となっていきました。9984 ソフトバンク がプラス転換していったことも下げ一辺倒の相場の中でもやや買い安心感を誘った形となりました。その後前引けに掛けて下値を切り上げる形で推移し、先物で一瞬17,800円台を付ける場面もありました。戻り基調の中で前引けとなりました。


225先物の日中足


225先物 日中足

SGX225先物の日中足


SGX225先物 日中足

債券先物の日中足


債券先物 日中足

東証昼休みのバスケット取引は645億円成立し、市場では「やや売り決め優勢」となりました。後場寄りは先物で売り優勢、20円のギャップダウンで始まりました。その後一旦は17,760円を付けるも、下値では底堅さが確認され、その後は17,770円から17,790円の間でのボックスの展開となっていきました。そして13時に先物にまとまった買い物が入り、戻りを試す展開となりました。そして13時3分に17,830円まで買われる場面があったものの、その後は失速、週末要因や17,800円台半ばの先物の売り指値が800枚~1100枚程度入っており、上値圧迫感を抱かせるものとなり徐々に戻りも試しづらい展開となっていきました。その後上値の重さが確認されるとそれを嫌気する売り物が出された後は17,800円を挟んで売り買い交錯の展開となっていきました。その後もう一度17,820円まで買われる場面があったものの、14時に内閣府から発表された5月の景気ウォッチャー調査で、


景気の現状判断DI・・・46.8(前月比-2.9)
先行きDI・・・50.0(前月比-1.9)


となり、気ウォッチャー判断を4月の「景気は回復が緩やかになっている」から「景気はこのところ回復に弱い動きがみられる」と下方修正したことを受け、先物に断続的な売りが出されていき、17,800円台を固められず、また週末ということもありポジション調整の動きとなり、一時17,760円まで売られる場面があったものの、買戻しも入り、大引け直前には17,800円を挟んで売り買い交錯の動きとなりました。大引けでは現物で直近の値よりもおよそ4円ほど安いところで引けました。その後のヘラタイムの先物市場では17,790カイ、17,800ヤリで推移し、17,790円で引け、225では現物に対して10.91ベーシス、TOPIXでは2.34ベーシスのプレミアム(順鞘)状態で引けました。債券市場では米債安の地合を受け継ぎ、安く始まるもその後は小動き、長期金利は一時1.920%を付けるも現物債に押し目買いが入り、債先ももみ合いの展開となりました。


商いはSQ算出に伴うインデックス売買が膨れ、出来高は34億4631万株、売買代金は過去最高の5兆1325億円となりました。SQ分(1兆4690億円)を差し引いても3兆6600億円程度の商いが出来ていたことになります。先物市場もそれなりに商いが膨れ上がり、12万3226枚となりました。225miniでは18万6200枚となりました。


オプション市場では中心限月が交代したことで商いの権利行使価格は分散化、プット17,000円の9289枚の商いが目立つ形となりました。今日現在の7月限のプレミアムはプット14,000円で2円、コール20,000円の4円となりました。IVはプット・コールOTMで上昇、ややボラタイルな相場展開とみている市場参加者が多い形となっています。建玉動向ではプット17,000円の4909枚増加が目立ち、このあたりはやや先安観がにじみ出ている感じもします。


新興市場も総じて軟調、ただ、日経JASDAQ平均やマザーズ指数の下げは小幅なものに留まりました。しかし、時価総額上位に金利上昇に対して弱い不動産関連(4314 ダヴィンチ・アドバイザーズ2337 アセット・マネージャーズ )を抱えているヘラクレス指数は大幅続落となりました。


今日のところは、東証一部では、


値上がり 289銘柄
値下がり 1,372銘柄
変わらず 71銘柄


となりました。ほぼ全面安でしたが、前引けの時点では値下がりが1,466銘柄ありましたので、やや後場に戻していく銘柄も多かった感じもします。規模別では中型株のパフォーマンスが悪く、以下大型、小型の順となりました。業種別では33業種中2業種のみプラス、金利上昇が好感視される保険業(構成全銘柄がプラス)、銀行が高いほかは全て安い形となりました。特に下げがきつかったのは、金利上昇を嫌気する不動産業、利食いに大幅安になった海運、こちらも金利上昇が嫌気されたその他金融などでした。


TOPIXではプラス寄与度トップは8766 ミレアHD 、以下8411 みずほFG8795 T&DHD が上位に入り、指数を1.911ポイント押し上げました。指数寄与上位には金融株がずらっと並ぶ感じでした。銀行と保険などが上位に入る形になりました。一方でマイナス寄与度トップは7203 トヨタ 、以下6758 ソニー8802 三菱地所 の順で、指数を3.311ポイント押し下げる形になりました。米国株に連動しやすい国際優良株や金利上昇を嫌気した不動産、直近の物色の対象になっていた商社などが上位に入る形になりました。225ではマイナス寄与度トップは9433 KDDI 、以下8253 クレディセゾン8035 東京エレクトロン の順となり、指数を37.871円指数を押し下げました。一方でプラス寄与度トップは新値街道を突き進む6762 TDK 、以下ソフトバンク、ミレアHDの順となり、指数を19.759円下支えしました。TDKやソフトバンクが大幅安の展開になっていた場合にはもう少し225は安くなっていたわけで、このあたりはこういった銘柄に救われたのかな?という感じがします。



今日のところの下げはNY市場に完全にお付き合いしてしまったということになります。ここのところ、全世界的に金利が上昇しており、これが株安を誘う形になった形です。


Tノート10年物金利のチャート


Tノート10年物金利の日足チャート

直近の長期金利上昇が急ピッチであったことが完全に響いた感じです。米国では高配当銘柄が利回り妙味が薄れていたりしており、売りに拍車がかかっています。長期金利の上昇に関しては、緩やかな上昇であれば景気拡大を示すものとして株式にも好意的に捉えられますが、急ピッチに上昇してしまうとやはり金融市場に混乱が生じてしまう形になってしまいます。また、ニュージーランドが突然の利上げを実施したり、ECBが更なる利上げに余地を残していた事もインフレ懸念を映し出している側面もあり、これも嫌気された感じです。もしかしたら来週のGDP改定値でサプライズが出たりすれば日銀も利上げに踏み切る可能性まで浮上している事も押さえたいところです。さらに金利上昇下のさえない経済指標も嫌気されたという側面も心理を悪化させた感じもします。今日のところは債券先物市場で寄り付きこそ大幅安だったもののその後は小動きでしたので、昨日みたいな債先売り/株先買いのペア・トレードも出されなかったのか、株安を受けて債先がやや買い進まれていたことから昨日のペアトレードのアンワインドの動きもあったのかもしれません(あくまでも個人的な推測の域を出ませんが)。


さらに需給的にはSQ値が幻となってしまったことも嫌気されました。当然市場観測で1兆4690億円の商いが1ショットで出来ていたわけですので当然米株安を受けて心理的に利益確定売りを出したい向きにとっては案外いい値で決まっていましたので、やはりそれで利益確定売りや、またインデックス売買での買い方は損失覚悟の投げを出さざるを得ないところ、もしくは先物でヘッジ売りを出されやすいわけですので、その点で下げに拍車がかかってしまったのかな?という気がします。


あとは、こんな相場展開ですから、やはりクレディスイスの大量売りが先物で出されていました。225では売り6302枚(買い手口は20位以下のため非公表)、TOPIX先物でも4994枚(買い手口は上位20位以下ですので非公開)売っていました。いつもの通りのことですが、この業者の売りが先物に出されるときにはハイ・ボラのときですので、今日みたいな相場展開では大暴れのチャンスだったのかもしれません。


ただ、25日移動平均線で止まった事はテクニカル的には好ましいところでしたので、あとはSQ値を早々に抜いていく事が今後大事になってくるところだと思います。



それでは今週もお疲れ様でした。良い週末をお過ごしください。



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