
「千里の旅、万卷の書」という中国の古い言葉がある。
ところで、万巻の書物を読破するなどということは、私のような凡人にはとうていできないけれども、千里の旅なら、今は飛行機の時代だから、けっして難しくはない。そこで私は書物を読むようなつもりで旅に出る。そう思って出かけると、世界は一冊の巨大な本のような気がしてくる。
旅は読書と同じように、小さな自分の世界を大きくする。旅とは自分の住む井戸から抜け出て、世界は広いんだなあ、と実感することだ。その驚き、その戸惑い、それがそのまま自分への反省につながってゆくのである。