憲法九条について | 日本への提言

憲法九条について

1947年発布の憲法九条とは

①日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。


これは日本がアメリカに戦争で負けた為に、日本の再軍備を怖れたアメリカが、日本に求めた憲法である。
戦争に敗れた日本は何も言えず、ただ受け入れざるを得なかったが、単なる理想論である事は誰の目にも明らかだった。
その証拠に、日本国憲法発布の1947年から僅か3年後の1950年6月25日に朝鮮戦争が始まると、早速GHQは日本の再軍備を求めた。
朝鮮戦争勃発の翌月7月にはGHQのマッカーサー司令官の指令により、7.5万人の警察予備隊が結成された。

韓国の李承晩大統領は1952年1月18日、サンフランシスコ平和条約の発効3ヶ月前に、突如としてマッカーサー・ラインに代わるものとして李承晩ラインの宣言を行った。これに対し日米両政府は非難の声を挙げたが、日韓間には国交が無かったから如何ともし難い状況だった。
李承晩は竹島を韓国の領土だとしてアメリカに働きかけたが、日本側の主張通りになりそうだったので、軍隊も無い赤子の様な日本なら手出しはできないと確信し、一方的に李承晩ラインを引き、竹島を韓国側に取り込んだのである。

朝鮮戦争は1953年7月27日に国連軍(韓国・米国・英国)と中朝連合軍の間で休戦協定を結び、休戦となった。
憲法九条もアメリカも竹島防衛に何の力も無かった事から翌年1954年自衛隊が発足した。
日韓基本条約締結の際の日韓漁業協定の成立により、李承晩ラインが廃止されるまでの13年間に、韓国による日本人抑留者は3,929人、拿捕された船舶数は328隻、死傷者は44人を数えた。

結局、憲法九条や米軍だけでは竹島一つ守れなかったのであるが、その理由は憲法9条は絵に描いた餅だと言う事である。また米軍も敵対国なら強力に支援してくれるが、同盟国からの武力行使には手も足も出せないのが、現実なのである。そこまで読み切って竹島占領を成し遂げた李承晩という男は日本にとっては許しがたいが、天晴れと言うしかない。


米軍の有効性を見たければ、領土問題を考えたら分りやすい。

①竹島は日本に軍隊が無かった事と、無人島の為米軍が駐留しなかった事が韓国に不法占拠されている理由である。
②北方領土も米軍がロシアの駐留を許した事が、現在のロシアによる不法占領に繋がっている。
③尖閣諸島を含む沖縄は米軍が駐留した為に中国は一切手出しができなかった。

1968年の海底調査の結果、東シナ海の大陸棚に石油資源が埋蔵されている可能性があることが指摘され、1970年に台湾が領有権を主張しはじめ、これに中国も追随した。1972年5月15日に沖縄が日本に返還され、同年9月29日に日中国交回復し、尖閣問題は一旦棚上げされた。中国は最近まで尖閣諸島奪還に向けて色々なアタックをかけているが、間違いなくこれを防いでいるのは米軍・自衛隊・海上保安庁である。

守っているとはいえ、日中中間線の中国側では好き放題ガス油田を16か所も掘りまくっている。領海が未確定の時に日中中間線は日本の外務省が発表したもので、中国はこれ幸いに中国側は日本も認めたものとし、後は日本側からどれだけ領海を奪えるかという事になっている。またガス田開発もアメリカの石油メジャーがガス田採掘をさせて欲しいと言った時に日本側が断ったために、石油メジャーは中国側に話を持っていったと言われてもいる。


つまり、第二次世界大戦終結の年にこの3つの領土問題のある島に米軍が駐留していたら領土問題自体が存在しなかったのである。

結論を言えば、自国の領土を守るのに憲法9条は全く用をなさないし、70年経った現在でも同様の憲法を採用した国はただの1国もないのである。
世界に他国を侵略する国が無ければ軍隊は不要だが、そんな日は永遠に来ないのは自明の理である。
軍隊が無ければ、韓国の様な極めて弱い国にさえ、領土を奪われて取り戻すのは至難の技なのである。

私の好きなジブリアニメの宮崎駿監督は憲法9条を守れと叫んでいるが、中国の軍備増強は止められないとも言っている。
非常に矛盾した言い方だが、本音を語っていると思う。
結局、米軍が世界の警察の様な大きな顔ができるのもその圧倒的な軍事力が背景にある。

東シナ海では何とか防衛できているが、南シナ海の南沙諸島では中国が思い通りに島を占拠し、軍事基地を7か所も建設中である。それは東南アジアの国々の軍事力が脆弱であり、フィリピンが米軍を追い出したからである。
もし、沖縄返還時に米軍が撤退していたらとっくの昔に尖閣諸島は中国に占領されていて、今頃はその周辺の島々も奪われていた事だろう。

それでは憲法9条は役に立たないかというと勿論そんな事は無いし、大いに役立っている。
それはアメリカによる色々な戦争参加要請に憲法9条を盾に拒絶できるというメリットである。
お蔭で、日本はこの70年間一切、戦争に参加しないという奇跡を手に入れられたのである。


結論は憲法9条を守り、自国の軍事力増強に比例して米軍の駐留を削減はしても、必要な所の米軍駐留は絶対に残すべきだという事です。その為にはテロ撲滅や日本に降りかかる様々な事象に対して国連軍と一体となって行動しなければならないという事です。お金だけ支払って、日本人は一滴の血も流しませんというエゴは通用しないのである。