初日、「君たちはどう生きるのか」同様に横浜駅最寄り劇場で見ました。

 

■「君たちはどう生きるか」の後での公開■

 先月からの、宮崎駿監督渾身作が上映される中での公開で、ディズニー・ピクサーはかなり厳しいかなと思いましたが、テーマとしては極めて扱いにくいと思われる《移民からの目線》を描いた―米国アニメ業界屈指の2大会社の渾身作に驚きました。

■仏SF幻想アニメ映画「雨の子供たち」翻案のように見えて・・・■

 米国など海外ファンからは、《仏SF幻想アニメ映画「雨の子供たち」を翻案した》と指摘されていたのは、公開以前からかなりツイッターで上がっていたのは見ましたし、実際見る限りではそう見えましたーが、パンフレットの監督に関する記事を見ると、全く韓国移民2世である監督の両親や自身での経験を背景にした、異国から移り住んだ人々の思いや悩みを描いた、全くオリジナルと気付きました。

 とはいえ、やはり「雨の子供たち」の主役カップルを入れ替え、ソフトにまとめたものとも言えますーしかし、「雨の子供たち」は主要制作側が全員フランス人(韓国も共同参画)で

【火が水を侵略し、主役のカップルがその理不尽な状況を変えようとする中、神によって一緒になる事ができたー彼らによって、火と水は共に生きることができるようになる】

とかなり極端な内容だったために、公開されたのは制作した本国と米国も含めてたった5か国―それでも、公開から20年経っても英語圏ツイッターで思い出を語られるほど、今でも人気がある作品ですので、米国NY育ちの韓国移民2世である監督も何かしら頭にあったのかもしれませんー明らかにあるんじゃないかと思わせる、キャラ描写を感じられます。

 それに、「雨の子供たち」でも《触れられない同士が愛でそれを乗り越え、相方の危機を助けに駆け付ける》という展開で、「マイエレメント」が「雨の子供たち」をどうやって万人―子供でも見れる物にできるか、翻案したものに見えてきてもあります。

■移民の人々からの目線で展開■

 《移民からの目線》は昔から米国映画のテーマですが、エスパニック系・黒人・アジア系の監督が感情的になってしまい、どうしてもアート系ミニシアター扱いされたり受け止められにくい作品のようで、なかなか世に広まらないようです。

 それをやんわりと、それでも両親・先祖の苦難や、両親の思いや格差で自分の思いを出せられない、移民たちの悩みや苛立ちをはっきり描いた所が、韓国移民2世である監督の胸にあったのを全て吐き出した最高作品ですーこれで、様々な国にいらっしゃる移民の皆さんの励みとなり支えになってほしいですが、特に移民問題が慢性化した米英仏といった欧米圏で自国の政治家や学校の授業で見て考えてほしいですね。