前回で前11作紹介しましたが、制作年別に発表作品の形態でカウントしてみました。

・1956年―デビュー作のみ

・1957年―長編5/短編1

・1958年―長編3/短編3

・1959年―長編2

・1960/61/74年―各年短編1

・1977年―長編1

・1982/95年―各年短編1

・1996年―詩2

・1997年―詩4

・2000年―短編1

ーその他、別名義のと同人活動もありますので、凄い熱量です。

 

 「オム族がいっぱい」を読むと、《自然・原始回帰・文明への抵抗》と言ったカルチャーカウンター的ヒッピー若者文化が凄く感じましたー実は、先にNHKBSプレミアムシアターで2月中旬に見た映画版で、それを感じましたが

「1970年代じゃあ下火ではないかしら」

と、作品自体に古さを感じてしまいましたが、制作に4年―公開10年前には完成していたという話もあります。それを信じるとすれば、63年となりますのでまさにヒッピー文化ど真ん中になります。

 しかし、ウルさんは早くからそうした物を作品に取り入れていました。

 デビュー作「《0》に戻る」で女性尊重・原始回帰、「ニオールク」では黒人解放、「シダールの光線」では東洋・インドへの目線(惑星シダール)、「巨大な恐怖」「オム族」は中東・アジアへの目線―まで描かれ、3作飛んで「ザルカスの罠」で様々なヒッピー的思想が爆発させたような描き方がなされているように感じました。

 

 ヒッピー文化は、1950年代末の米国から始まり、仏国にも広まりましたー戦中、学生時代過ごしていましたので、戦後の若者たちが輝しく見えたのでしょう。

 それに戦後-特に自国の負の面を見て、色々思いを付き込んでいったのでしょう。

 そうした中での長編小説群―一気に読みたいですね。

 

 それに、ウルさんの作品群は子供でも楽しめる(?)内容でもありますー「オム族」だけ読んでも感じましたが、他11作もそう感じられました。

 ウルさんは、割と最初はほんわりして進んでいく内に、こわい展開になっていくー極めてクセの強い作家と思います。

 いわゆる「黙示録」物と言われる、終末系はいきなりエグい物はあるそうです(「ニオールク」「生ける死」)。