今回は、仏SFアニメ映画「時の支配者」の原作のみですー

⑦ペルディードの孤児(1958年)

 物語は3部16章でなり、3週間で仕上げたという。そして、ラストの《時空嵐》は予定になかったと、ウルは語っている。

■粗筋

:惑星ペルディードで、父親とその息子で4歳のクロードは、巨大バチの群れから逃れようとした。動けなくなった父親は、友人のマックスに遭難メッセージを送り、クロードに早く丘の上に森に行くように言い、無線機を渡して死ぬ。

 森に入ったクロードは、卵のようなモノといる事に気付く。

 マックスが、宇宙船で友人の遭難メッセージを見つけ、一人になっていたクロードに連絡を取ると、彼の許に向かった。その船には、マーティン夫婦が惑星シドワーヌに行くために、多額の金子を払っていたのでそれに抗議する。

 マックスはクロードと連絡し続け、行き抜くための助言をしていった。

 マックスは、美しい惑星デビルボールに着くと、シルバッド老人を加える。彼も、子供の頃にペルディードで巨大バチに襲われ、頭蓋骨に金属板を付けている。クロードの話に感動した彼は、マックスの船に乗り込み、クロードに話をし続け彼に森から身を守る事に費やした。

 船では、4人がクロードと交流し、マーティンはシルバッドを捕まえ、クロードを危険な洞窟に行かせた。その後、シルバッドは早くシドワーヌに行きたいがために、クロードを殺そうとしたマーティンを殴る。マックスはマーティンを船の倉庫に押し込むと、彼の妻は夫の行動にショックを受ける。

 彼らは、惑星ガンマ10で途中で降りている間に、マーティンが脱走―マックスは彼を追うと、彼は元シドワーヌの囚人だったギャングに、連れ去られていく。マックスを捜しに来たシルバッドもギャングに捕われ、2人は植えた怪物の所に連れていかれ、そこでマーティンが死にシルバッドはマックスと共に脱走。マックスは、シドワーヌ元反乱軍捕虜リーダーであるギャングたちのリーダーに、怪物に放牧場を与え、取り残された彼らを助けに来ると、約束する。

 クロードが待つペルディードに近づくと、船は激しい星間交通に巻き込まれ、星間警察から連絡を受ける。

 マックスとシルバッドは、ペルディードは60年ほど前に開発され、都市化によって大部分は植民地化された事を知り、驚く。2人は光速に近い速度で移動した事で、ペルディードとの間に100年のタイムラグを生じた事に理解した。

 それを聞いたシルバッドは、心臓発作を起こしてしまう。

 マックスはペルディードに着くと、100年前にクロードの最期を知るために彼の事を知る人を捜した。そこで、巨大バチからクロードを助け、彼を養子にしたベイダー老人に出会う。クロードはシルヴァン・ベイダーと改名し、「シルバッド」と皆に呼ばれていた事を知る。

 真実を知ったマックスは、シルバッド≠クロードの病室に戻ると、クロードは真実を知らずに苦しみの中で亡くなる。

 そして、マックスは残されたマーティンの妻と惑星デビルボールに新しい世界を見つけに旅立った。

 

―予想できない展開がウリのウルさんですが、シルバッド登場で察しがいいorSF慣れしている人ならもうオチに気付いてしまう、アニメ版ではタイトルの時点でバレてしまうような展開でした。

 日本では《ウラシマ効果》で知られる光速移動理論を使った展開で、主人公たちは一人の子供を助けるために《本来の時間軸から外れてしまった》のですがークロードも含め、皆、《時間という、リスの回し車に閉じ込められた》悲劇的な人々でもあります。

 作中、マックスたちが4歳のクロードと連絡し続けられたのは、光速移動による時間逆行理論で可能だそうですが、助ける相手がもうすでに自分たちの傍にいて、その真実を知った途端にその人が苦しみの中で亡くなるのは、読者にとってもやるせない、せつない話ですー何となく、戦災孤児が目の前にいる人が小さい時に自分を助けようとした相手と気付かず、老衰で亡くなるー今だと、中国残留孤児を思い浮ばせられるような描写にも感じます。

 

 後一つ・・・ルネラルー監督、「ファンタスティック・プラネット(ラ・プラネット・ソヴァージュ)」同様に原作によって欲しかった気もします・・・画像検索で見る限りでは・・・映画版も未見なんですけどね、私(;´∀`)―話的には、石ノ森章太郎・星新一・藤子F不二雄・松本零士・手塚治虫的で、この人たちの手で漫画化して欲しかったです。