仏SFアニメ映画「ファンタスティック・プラネット(ラ・プラネット・ソヴァージュ)」原作「オム族がいっぱい」の作家として、日本でも知られるウルさんですが、このほか11本も執筆成されました。

 その内、7作目「ペルディードの孤児」はルネラルー監督による「時の支配者」として、アニメ映画化されました。

 上記の作品リストも含めて、今回参考にしたのは全て仏語Wikiからですー邦訳題は、自動翻訳によるものです。

①《0》に戻る(1956年)

■粗筋

:数学者で原子科学者であるベナルは、ある市の周辺での爆発で多くの人命を奪ったかどで、高等世界裁判所により、月に流刑されるー実は、この著名な科学者は月で200年間送られた死刑囚の子孫による植民地計画の極秘調査の為に送られたのである。

 ベナルは、偽の有罪判決を受け、一人月へ向かった。

 ベナルは、月のテルセ山地側に到着―ベナルは、月で15日間生きられるか、月の支配者に試されるー恐ろしい超能力を持つゴルスから逃れるも、溶岩にのまれてしまう。

 一方で、地球から戻った月のスパイ・テムは高官エクセレンスにベナルが地球のスパイと報告。しかし、それを知らされた月の支配者は、ベナルを利用して地球に偽の情報を流す事を決めた。そして、15日間の猶予を与えられたベナルは、溶岩に埋もれている所を2発のロケット弾により助け出される。

 ベナルは月の首都に着くと、著名な医師カムが彼が月の風土病に苦しんでいるのを気付き、彼を救うために同僚の物理学者テロール博士が最近開発した小型化技術を使用を決断。

 2人の博士は、小型化した医学生によるチームをベナルに注入―医学生たちは、危険なウィルスに対し、白血球の防衛システムを発動させ、ウィルスを倒す。

 一命を取り戻したベナルは、首都の生活を知るー月生まれで地球を知らない者がいれば、人々はドームの中で緑色のペーストを食べ、ブリーフを着て重力を補う厚い人工表皮に守られているだけになっていた。

 そして、女性は夫に従い学びの機会もなく、定期的に全ての作業を辞めさせられ月の栄光を称える歌を歌わされていた。

 ベナルは、月の代理人ニラと出会い、仲間に引き入れる。彼女は、彼を見張る立場だったが、徐々に彼の優しさにほたされていく。

 ニラも彼につくと、命の恩人である2人の博士に連絡をし、彼らも月の支配者の狂気の計画を阻止するのを同意。

 ベナルは、戦略的に設置する小型爆弾の何千ものコピーを設計。全ての月の都市に自分の声を流すためにラジオも小型化し、それで地球は月に和平合意を提案するために話していると、月の住民に信じさせた。

 しばらくして、ベナルは小型爆弾を爆発させ、月の支配者の専制政治に反乱を起こした月の住人らの騒動に、月の政府はベナルとニラを探すも、彼らはテロール博士の許で小型化され、追手から逃れた。テロールとベナルとニラの3人はロケットに辿り着くがテロールは死亡、彼らは追って来た警備員の一人がロケットに乗って飛んでいった。激怒した月の支配者は、月破壊により自分の治世を終わらせる事を決めた。月の爆発は地球上で巨大な気候変動を引き起こし、全人類は地球から消えた。看守の事故死後、ベナルとニラは荒廃した地球に身を置き、10㎝の大きさで立ち往生した。彼らはタヒチ島に居住し、そこで新しい人間文明を見つけた。

■賞

:出版年にSF小説大賞を受賞

 

―SF作家デビュー作で、いきなり上記の賞を取るのはウルさんのSF作家としての非凡さをヒシヒシと感じます。

 極めて、SF―空想科学―的SF―宇宙幻想―作品です。

 仏国は元々、幻想・哲学的に―そのために独白・セリフ過多-になりがちで、特に近年は苦手な分野になっているのかなと思ってしまう所があります。

 ウルさんは、SF作家デビュー作ですでに読者が引き込まれるすべての要素が入った、極上のワインのような作品に仕上がっているように感じました。

 《人間を小型化》というアイデアは、出版当時でもう定番化された物でしたが医療用に利用するのは、本職が医師だけにあって今でも斬新です。

 これだけでも、やはり戦中派作家としての雰囲気があります。作品・作家の雰囲気が、まさに《仏国の手塚治虫》と言った感じです-生前、手塚氏と交流あったでしょうか?

②ニオールク(1957年)

 物語は5部から成り、48章に分かれている。

 著者のスタイルと、冷静で正確な、そして語りのシンブルさは、幅広い読者を引き付けるー10代向けのもある。

■粗筋

:核災害により海が全て干し上がった荒廃した地球で、米国地域にある部族の長老は神々の領域と言われる所に加わるためには、部族の黒人の少年をいけにえにする必要があると、言う。しかし、そこを目指した長老は帰ってこないため、子どもたちのリーダーで狩人が長老を捜しに行ったが、見つからず戻ってくる。そこで、いけにえに指名されていた黒人少年が一人探しに向かい、神の領域と呼ばれる所で凍死した長老を見つける。

 少年は、葬儀のために長老の骨と光線銃を取り、戻ると村は火事で焼失し皆はどこかに去っていた。

 少年は、北に続く仲間の足跡を追っていた-やっと仲間を見つけると、皆、放射能で巨大化したタコに苦しめられていた。何とかタコを倒し、それを食べて食いつないでいった。

 少年は光線銃で身を守り、仲間を北に導き、ニオールクの街を探す。途中、仲間はヘリウムの原因で全員死に、少年だけが仲間にした熊と共にニオールクに着く。

 ニオールクは実はニューヨークで、偶然入った研究所で空腹のミュータントラットを放してしまい、それにより熊は死に、少年は何とかラットから逃れた。その後、金星から来たアンドロイドに助けられる。

 一命を取り戻した少年は、放射能によって10倍に知性が増幅していることに気付くー彼らの船にあった本を全て読み、ニオールクの街の電力を再起動させ、命の恩人たちの船を修復し、自分の部族のクローンまで生成できる知識を得た。

 少年は、全ての知識を得たアルファベットに権威を示し、アルフと名付けられた。

 アルフは地球を動かし太陽の代わりにすると、金星のクローンにニオールクを託し、元の生活に戻っていった。

 

―「オム族がいっぱい」と並ぶ、ウルさんの代表作で海外のファンも良く上げる作品です。

 日本でも、「ユーロマンガ」誌掲載された漫画版で紹介されています。

 よく2作目でノリに乗った内容になりがちですが、デビュー作は奥さんが読んでいたSF物のを意見したきっかけで書いた物だったので、この作品が本当のSF作家としてデビュー作を取って差し障りないと考えていいと思われる、内容ではないかと思います。

 前作も読みたいですが、まずこれから読みたいと考えています。

③シダールの光線(1957年)

 3部で29章からなる物語。

■粗筋

:21世紀―惑星シダールで、地球の天文学者ロランが自分のロボット・ライオネスを捜しに、ジャングルを旅する。

 地元のガイドと共に、先住民の村の領土行政を占める地球人マルコの許に行く。ロランは、地球人の避難が差し迫っていて、できるだけ早くライオネスを見つけなければならないと、明かす。一方で、地球とシダールは、知的で攻撃的なネズミ人間クレッシア人に委ねる条件に署名。

 ロランは、住民のもてなしを楽しみ、怪獣から逃れた後、ガイドと共にジャングルに戻る―野性的ホルグ族の土地を一人で越さなければならなくなった。可燃性ガスの川を渡り、ロランはホルブ族に捕まる。ホルブ族の儀式中に、空が衛星により赤く染まり、それに乗じてロランは逃げだす。そして、両足が壊れたライオネスと再会。

 ロランはライオネスを連れて、ホルブ族の土地中心にある工場に行く。ロランはそこで、命を落としてしまうーライオネスは彼の遺体を冷凍室に保存し、自分の部品をロランに移植、マルコからもらった地図でロランの体を冷凍バックに入れ、ジャングルを行く。多くの危険をかいくぐり、ある村に辿り着く、そこに祭られた偶像―ロボット・マンシャルの頭部を盗み、彼の体の一部を取り出し、別の村に向かう。

 その一方で、植民地化の準備にクレッシア人の船がシダールに入る。

 村に着くと、ライオネスはロランと土地政府から特務を任されていて、クレッシア人からシダールを救うために早く行動しなければならないと、明かす。村人は、クレッシア人の動きを遅らせ、全ての地元人を地下に隠す事を成功した。その後、ロランを生き返させ、2人は電離した宇宙線により、シダールを構成する重水素を水素に変換し、シダールを太陽系に向かって動かす計画―クレッシア人は恒星間航行を習得していないので、追跡を放棄しざるおえなくなるーを立てる。 

 ロランとライオネス、マルシャルは街で計画を決行―その後、土地当局からロランは最高技術者、マルコはシダール総督の地位が与えられた。

 

―人よりロボットが頑張る、という日本のロボット物みたいな内容になっています。それも、ロボットが主人を生き返させてしまうーウルさんの発想には驚くばかりです。米国だと、最悪に事態になるバターンですが・・・