2月27日のNHKBSプレミアムで、「ファンタスティック・プラネット」を見て、その仏国らしい思索に富み、独特の絵柄と世界観に、沼はまりー原作を知り、日本語版を捜しましたがなく、本国の青空文庫で全文をWordに写し、自動翻訳しました。

 最初は、個人で楽しむだけを考えていましたが、ツイッターで国内外の声を見ると、私同様に要求不満な方が多いと知り、ブログで載せる事を決意しました。

 掲載の準備をする中、ツイッターで原作とその翻訳に対しての反応見ていましたら、ある女性作家と会いー内容が時期的に重なる所や表現・描写がえぐい所があると、話すと「オリジナルに忠実すべき」と助言を頂きました。

 その助言と、他の翻訳が酷いという話を考え、可能の限り原文を損なわないよう、自動翻訳を編集し掲載しましたー気付けば、殆ど原文のままでしたw

 その分、表現と描写はかなりきついです ; ;

 

 さて、本題に入りますが、まずは作家ステファン・ウルさんについて紹介します。

■仏国wikiより

 1922年3月27日にパリに生まれ、学生時代に古典を学び、1940年(18歳)に哲学の学士号を所得。幼年期にすでに小説を書き、学友に1ペニーで売っていた。

 しかし、進路を決める際に父親から文学は進まないよう言われ、第2次世界大戦後に歯科外科医として卒業。

 歯科外科医の傍ら、1956年(34歳)にステファン・ウルとしてSFに着手―探偵もので幾つか失敗した後、妻が読んだSFに不平言ったのがきっかけー「もっとうまくやれる」と確信し、1959年(38歳)の4年間に11本発表。

 執筆においては、少しずつ書き溜めたアイデアから書き起こしているという。驚くべき展開の多くは、そこからもたらされている。SF描写においては、絵画に近い芸術的物がある。

 2003年11月26日(81歳)に死去するまで、断続的に短編と詩を製作続けた。

 その他、短期間、同人誌にも参加しSF短編と詩を出版した事もある。

 

―ライオネス・ハドソン名義でも知られていますが、同サイトにはなく確認はできていませんでした。

 黒人の少年が活躍する「ニオールク」が有名です。

 ウルさんがSF作家デビューまでの、SF界隈を紹介します。

■映画

 ウルさんが生まれた1920年代に、仏国は幻想・哲学的、独国は名作を多く制作されました。

 1930年代で米国が娯楽中心になってきました。

 1940年代は戦中だったためにSFの不毛時代で、1950年代前半は戦後で世界の負の部分が一気に噴き出し、それが人々に暗い影を投げかけました。

 こうしたのが、「オム族がいっぱい」にも色濃く出ていました。

 米国製の「地球の静止する日(51年)」「原始怪獣現れる」「宇宙戦争(53年)」「大アマゾンの半魚人(54年)」の4本が、「オム族がいっぱい」を喚起させる物があります。

■文学

 ウルさんデビュー時、またSFは米国中心で大衆娯楽か子供向けと見られていましたーウルさんは死後、2012年から仏国の出版社で5年間をかけ全作漫画化。現在、他国での翻訳出版の予定は分らない状況です。

 

 ここからは、「オム族がいっぱい」の話をします。

■極めて戦中色強い内容

 第一部は、どちらがというと《冷戦色》強い描写―テルの家出先での、《巨樹》と《赤いしげみ》両部族のいがみ合い。

 第二部シン教授登場から《戦中物》が出てきて、話が進むにつれてシンとテルの状況が、第2次世界大戦同様に変化していくのを感じました。

 そういう点で、第2次世界大戦での世情を頭に入れて、読んだ方がいいかもしれませんね。

 それに、これは読み手の国籍や歴史観によって、シンとテルの見方が全く違ってくるようにも、感じます。

■斬新すぎるアイデア

 全体的に古さを感じてしまいますが、アイデアが斬新すぎて全く古さを感じません。舞台になっている惑星イガムの時間尺(地球の45倍)で、もうふっ飛んでいます。ドラーグも同じ時間で生きているので、ちょっと年齢を地球時間で計算すると大変な事態にw(ちなみにシン教授の助手が27なので地球時間では1215歳)

 そのため、ドラーグとしては今回の事件は1年半ほどですが、オムにすれば60年以上―大河ドラマです、もうw

 読んでいると、時間間隔が狂ってきますー原文では地球時間の記載はありません。

 オムとドラーグの設定は、オムは2部目で段々と現れるのですが、ドラーグは断弁で生みの親ザレクが誰で作られた理由が全く見えてこないです。そして、地球人を連れてきたきっかけはシンの口から出て判明しますが、後は不明。

 映画ではオムが不明―どうもドラーグの部分で編集された痕跡があります。

 第1部終わりの2人のドラーグの会話が極めて不自然―展開的には、生みの親が言った言葉に対して、何らかの返しがある筈で、ケンカ腰になる話でもないと思いますが。

 それに、第3部8章後半のシン教授が自然大陸に攻撃している場面や、9章のテルがシンとの謁見のための準備、最終全体も、妙に薄いのもそれまでの流れとしては、所々躓くような断続的な読感があります。

 終わりは急がされ感も強いですが、これも編集されているように感じられます。

 

―話がまとまり切れなくなりましたので、一旦ここでペンを置いて、改めて別口に記事を作成します。