前回は、サイト紹介と自分が読みたいテーマを書きましたが、今回は感想&私見を述べていきます。

 

■Vol.0ーSFに何かできるか

 ここでは、「いつでもSF入門」を始めるにあたり、SFについてー作家から定義・発展・趣向・現状と、様々な角度で解説していく回ですが、ここでもうー

《そもそもSFって何だろう?》

と、今SFと言われる物を述べていきますが、そう聞かされると確かにぼんやりとした認識と気付かされます。 

 「いつでもSF入門」の著者は、

《境界線があいまいだからこそ、ここではっきりさせよう》

とは言わず、

《古今東西の作品・作家を巡って、SFを様々な角度で見ていく思考旅行を提供します》

と、意気込みを述べています。

 

 ここだけでも、もうわくわくーそして、SFについて考えたくなる問いかけがなされている点では、刺激的なエッセイブログです。

 

■Vol.1ーまとうSF

 ここからは、本格的に切り込んでいく内容になります。

 

 第1回目は、《ファッション》視点でSFを見ていくーですが、呪術的。儀礼的な特徴がある化粧や衣服といったファッションは、SFというよりもファもンタジー、それもアイテムや設定といった立ち位置になり易いようで、紹介される作品もそういった物が多いです。

 著者がSF物として取り上げたのは、SFでは定番のパワードスーツ物でしたーでも、「パーマン」や戦隊物で出てくる強化服もSFといえるのではないでしょうか?―後一つ、ドラ映画「ひみつ秘密博物館」の怪盗ドラックスもありますが・・・・

                                          ↓これは反則ですw

 

■Vol.2ーサイバーパンクとは何か?

 サイバーパンクというと、アニメなら「AKIRA(の同名原作漫画)」「ゴーストシェル(の原作漫画「攻殻機動隊」)」、硬派なら「ブレードランナー(の原作小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」)」「ニューロマンサ―」「マッドマックス」、TRPGファンなら「シャドウラン」「パラノイア」が、浮かんでくるのではないでしょうか? 

 

 誰でも、一つは通った事あるサイバーパンクですがーいざ振り返ってみると、かなり奇妙な代物と感じてきました。

 著者の解説を読むにつれて、《サイバーパンク≠SFにおけるカウントカルチャー》―発生地も、その基盤となる思想が全く1960年代のヒッピー文化と同じですが、向かう方向がインドでなく日本―それも、日本ともつかない東洋色が強い暗たんたる未来―が描かれるようになりました。

 《サイバーパンク≠怪しげな日本描写》という構造は、「ニューロマンサ―」からだそうですがーヒッピー文化同様に東洋に夢想している感が強く感じましたが、当の日本人が逆に取り込んで自文化のものにしてしまう所は凄いーそもそも、日本娯楽文化の殆どは欧米の模範からですが、気付くと発生地が日本から逆輸入しているというー逆転現象がここでも起こっています。

 サイバーパンク発生地の作家たちがどうして舞台を日本にしたかはー発生時期を考えると、察しがつきますがー筆に任せて描いていた側が勢力持つ現在では、発生地の作家たちはどう捉えていて、今時の作品を書いているか知りたいですね。

 

■Vol.3ーさよならアフロフューチャリズム

■Vol.4ー女性とSF(前篇)

 ここからは、欧米白人男性中心と考えられているSF周辺に、存在するのに深く注目されていなかったー黒人と女性作家・作品を取り上げていますー実は当初から、多くの女性作家のコメントや評論・作品が紹介されていましたので、「女性とSF」と来た所で何となく気づいた人がいるのではないでしょうか?

 

 これはあくまで著者の考えなので何とも言えませんが、「いつでもSF入門」はこれを軸に展開されているのではないかと思ってしまう、論の展開をさせていますー今後の展開を楽しみにしていますが、この論文が終わった後にシリーズも終わってしまうようにも感じています(;´Д`)。

 とはいえ、極めて思索に飛んだ評論で楽しく読ませてもらっていますので、わがままは言えませんが・・・